竹有上下節
~しなやかな強さをもつ竹にまつわる禅語~
秋の季語に「竹の春」という言葉があるそうです。
おのが葉に 月おぼろなり 竹の春 蕪村
竹は秋にもっとも翠々(みどりみどり)として勢いを増し、自らの葉で月の姿がおぼろげにしか見えなくなっている情景を詠んだ与謝蕪村の句です。
禅宗では、竹は松や梅とともに「歳寒の三友」といわれ、いわゆる寒さに耐えるというところから喜ばれる樹木です。竹と松は常緑樹で寒い中でも翠を失わず、梅は寒さの中で百花に先んじて花を咲かせていち早く春を告げます。なかでも竹は、禅宗の宗祖達磨大師がインドから中国に渡り、禅を普及させた江南(※1)の地が竹の名産ということもあってか、竹にまつわる禅語はいくつもあります。美しく涼や...