「正統」が壊れたとき、コスモスに還る
その1 不条理を前に、本質的な問いを立て直す
コロナ禍と呼ばれる状況下、通勤や移動、街での飲食、イベントやレジャーなどのあり方も変化を余儀なくされ、それまで当たり前と考えられていた日常は非日常となった。感染症と共生しながら社会を動かしていくという「新しい日常」が模索される今、医学や生物学だけでなく社会学の知見に学ぶ意義が高まっている。神学・宗教学を専門とする森本あんり氏は、宗教史の切り口からアメリカ社会の奥底に流れる反知性主義を分析、異端と正統の生態を解明し、現代社会の深層に鋭く切り込んできた。森本氏をゲストに迎えた今回のオンライン対談では、宗教の果たす役割について掘り下げながら、大きな転換点に差しかかった社会との向き合い方を読み解...