日立グローバルデジタルホールディングス Deputy CEO兼CSO 兼 日立ヴァンタラ CSO 熊﨑裕之
2021年7月、M&Aによって日立の一員となった米国のGlobalLogic Inc.(以下GlobalLogic社)。デジタルエンジニアリングサービスのリーディングカンパニーであり、お客さまとの協創によってDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速する日立のLumadaといかにケイパビリティを融合し、どのような価値をもたらすのか。日本におけるGlobalLogic社のシナジーとは。2021年9月28日に行われた報道機関向け説明会を取材した。

「前篇:GlobalLogic社のケイパビリティ」
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GlobalLogic社のアウトライン

日立が買収を発表したとき、GlobalLogic社が何をしている企業なのかすぐに答えられた人は少ないだろう。日本ではほとんど無名の企業を日立が95億米ドル(約1兆300億円)で買収したことは、国内外にさまざまなインパクトをもたらした。それだけに買収後日本で最初の記者発表会となった9月28日には、オンラインにもかかわらず多くのメディアにご参加いただいた。

詳しくはHitachi Social Innovation Forum 2021 JAPANにおけるハイライトセッションで、GlobalLogic社のプレジデント&CEO シャシャンク・サマントが講演を行っているので、ここではその概要をご紹介しておこう。

画像1: GlobalLogic社のアウトライン

まず、アウトラインを数字で見てみる。GlobalLogic社は2000年創業のデジタルエンジニアリングの会社で約23,000人の従業員が世界14か国で働いている。この成長のスピード感は、次々にお客さまを乗り換えているイメージを持ってしまいがちだが、現在400社以上の顧客を持ち、10年以上の取引継続を実現している。これはお客さまとの長期的信頼関係がベースにあることを示している。売り上げは9億2,800万米ドル(約1,030億円)、調整後EBITDA率は約24%を達成している。(21年3月期)

画像2: GlobalLogic社のアウトライン

GlobalLogic社の強み

GlobalLogic社は、DXをスピーディーに実現するための3つの重要な能力を持っている。まず1つ目は、お客さまのビジネスの将来像を可視化するためのエクスペリエンスデザイン。2つ目は、生み出されたアイデアやデザインを、Chip to Cloudのすべてのレイヤーで最新の技術を駆使し、実現するための高度なエンジニアリング。3つ目は、システム導入後のデータ収集と分析を行うコンテンツエンジニアリング。これらによりお客さまの資産であるデータを意味のあるインサイトに変換し、ビジネスを継続的に改善していく。

この3つの強みを発揮することで、スピーディーなDXの実現と、そのブラッシュアップを一貫して行うことができる。

プレゼンターの日立グローバルデジタルホールディングス社 Deputy CEO兼CSO兼日立ヴァンタラ社 CSO 熊﨑裕之は、「GlobalLogic社のこうした考え方は、日立がLumadaを通してお客さまとの協創を進めてきたものと合致しています。したがって、これらの特長や能力が、デジタルプラットフォームのLumadaをさらに強化し、Lumadaの新しいソリューションを生み出すことにつながっていきます」と語った。

画像: GlobalLogic社の強み

GlobalLogic社のアプローチ

GlobalLogic社のアプローチの特長は、お客さまごとのデジタルジャーニーをEnd・to・Endで支援するところにある。デザイン思考でユーザーエクスペリエンスを形にするデザイナー。デジタル戦略とロードマップを作成するアドバイザー。豊富な専門知識と開発ツールを活用し、短期間でデジタルプロダクトを開発・実装していくエンジニア。収集されたデータを分析し、機械学習モデルを使ったインサイトの獲得をするコンテンツエンジニア。

こうした専門家がリアルあるいはバーチャルで「ラボ」としてチームを組み、取り組むことにより、End・to・Endのカスタマージャーニーを支援する。これがGlobalLogic社ならではのアプローチとなる。

画像: GlobalLogic社のアプローチ

DX事例:『Steller』

具体的に取り組んだDX事例として紹介されたのが、スタートアップの『Steller』という航空会社だ。従来の面倒だったプライベートフライトの手配プロセスを変革するために、GlobalLogic社のデザイナーがユーザーの声を聞き、スムーズな航空機の利用を実現するためのオペレーションシステムを構築した。

リアルタイムの見積もりや安全な取引、航空機の運航管理ソフトなども組み込むことで、プライベートフライトの空き状況など適切なリソースが適切なタイミングでわかるようになり、スムーズな航空機の利用を実現するオペレーションを構築。その結果、ユーザーはプライベートフライトの予約の利便性が向上した。

画像: DX事例:『Steller』

DX事例:『McDonald’s』

2つ目の事例は、グローバルブランド、『McDonald’s』だ。『McDonald’s』でハンバーガーを食べるというのは私たちの普段の生活の中に溶け込んでいて気づきにくいが、世界中どこの『McDonald’s』でも温かい状態で商品を受け取れるということも、オペレーションのDXの結果だ。しかしGlobalLogic社は、さらに世界中の『McDonald’s』の顧客の行動を観察し、『McDonald’s』のカスタマージャーニーを再定義した。

それに基づき、モバイルアプリやホームページ、デジタルメニューボードといった顧客接点のチャンネルの役割を明確化してプロトタイプを作り、世界各国でリサーチを行い、ユーザー視点での顧客体験をデザインした。これにより、『McDonald’s』はグローバルに統一されたサービスが提供できるようになった。

このようにGlobalLogic社は、スタートアップから世界の人が利用しているグローバルブランドまで、さまざまな業種や業務においてもDXを実現している。

GlobalLogic社とLumadaの融合が日本のDXを加速する

それでは、今後日本でこのGlobalLogic社の技術やノウハウをどう活用していくことになるのか。その役割を担うのが、2021年4月15日に開設した『Lumada Innovation Hub Tokyo』だ。ここが、GlobalLogic社のケイパビリティとLumadaの融合によるDX推進の拠点の一つとなり、日本のDX加速を支援していく。

DXのプロセスである関係構築・価値創出・社会実装でのGlobalLogic社とLumadaのケイパビリティをプロットしたものがこのスライドだ。

画像: GlobalLogic社とLumadaの融合が日本のDXを加速する

GlobalLogic社には、海外で400社以上の豊富なDXの実績があり、価値創出においてはビジネスデザイナーと呼ばれるプロフェッショナル人財がDX戦略を策定する。それをエンジニアが即座に実装をイメージしたプロトタイプにして価値検証のスピード化を図る。実装においては、Chip to Cloudのあらゆる階層でのエンジニアリング能力がある。

一方の日立の場合、関係構築では日立がこれまで日本市場で築いてきたお客さまとの信頼関係があり、価値創出では協創方法論であるNEXPERIENCEを活用してデジタル人財が課題解決に当たる。社会実装においては、日立ならではのOT(Operational Technology)を含むドメインナレッジを生かした実装が可能となる。

今後、GlobalLogic社とLumadaのケイパビリティの融合を図りながら、Lumada Innovation Hub Tokyoを通じて日本のお客さまもGlobalLogic社の能力を活用することができ、海外のお客さまは日立の能力を活用することができるような場をめざす。

熊﨑は「GlobalLogic社と連携したサービスは、2022年度に提供していく予定」だと語った。
後篇では、この『Lumada Innovation Hub Tokyo』を取り上げる。(後篇へつづく)

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画像: 日本のDXを加速する『GlobalLogic社』のシナジー
【前篇】GlobalLogic社のケイパビリティ

熊﨑裕之 Hiroyuki Kumazaki
1988年4月 株式会社 日立製作所 入社。2020年4月にサービス&プラットフォームビジネスユニットのChief Lumada Business Officerに就任、Lumada事業の拡大に向け、Lumadaアライアンスプログラムの開始やLumada Innovation Hub Tokyo開設など協創のメソッドの準備を指揮してきた。2021年4月からは、日立グローバルデジタルホールディングス社 Deputy CEO兼CSOおよび日立ヴァンタラ社 CSOとして、 Lumada事業のさらなるグローバル拡大を牽引する。

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