2021年10月11日より5日間にわたって開催された、日立最大のイベントHitachi Social Innovation Forum 2021 JAPAN(HSIF 2021 JAPAN)。リモート開催となった本イベントにおいて、「Lumadaのグローバル展開の加速」~グローバルDXパートナーに向けて~をテーマに、日立製作所 副社長德永俊昭、グローバルロジック社 プレジデント&CEOシャシャンク・サマント、日立ヴァンタラ社 CEOガジェン・カンディアのリレー講演を配信した。第3回では、ガジェンのスピーチをお届けする。

「第1回:株式会社日立製作所執行役副社長 德永俊昭 HSIF2021講演」はこちら>
「第2回:グローバルロジック社 プレジデント&CEO シャシャンク・サマント HSIF2021講演」はこちら>
「第3回:日立ヴァンタラ社CEO ガジェン・カンディア HSIF2021講演」

加速するデータドリブンへの変革

皆さん、こんにちは。日立ヴァンタラ社 CEOのガジェン・カンディアです。

この1年半で世界のあらゆるリーダーは、ひとつのことを学びました。それは、パンデミックにより産業界では「データドリブン型への変革」が劇的なスピードで進んでいるということです。その結果、私たちの生活・仕事・学び・買い物・移動はもちろん、健康管理の方法も変わりました。そして世界中の誰もが、この変化が一時的なものではないことに気づき始めています。

データドリブン、つまりデータに基づく意思決定こそ21世紀のこれから、組織を成功に導く上で鍵となります。デジタルトランスフォーメーションを成功させるためには新たにデータドリブンな製品や体験を創り出す必要がありますが、デジタル製品やデジタル体験の提供には、それを支える強力なデジタルインフラが必要です。

また、デジタル体験の実現には、すぐれたソリューションや世界に通用するアプリケーションも必要です。さらにデジタル体験というのは、エッジからクラウドまでのネットワーク上のさまざまな機器を通じて実現する必要があります。

日立ヴァンタラ社は、こうした分野のデジタルソリューション開発における専門的な知識や技術を持っており、デジタルソリューションの基盤となるデータ管理や分析用のツールを提供しています。さらに、このデジタルソリューションを、世界トップクラスの性能、信頼性、拡張性を持ったデジタルインフラストラクチャーとあわせて提供することができます。

その事例をご紹介しましょう。

画像: 加速するデータドリブンへの変革

ヘルスケア分野での事例

まず、ヘルスケア分野です。昨年来、世界中の多くの病院が非常に厳しい状況に置かれています。救急治療室は新型コロナウイルス感染症の患者であふれ、医療資源がひっ迫しました。患者の命を助けるには、救急医療用のベッドや人工呼吸器などの医療資源を確保し、医師と看護師の適確な連携が必要となりました。

日立ヴァンタラ社は、この問題を解決するためのデジタルソリューションを、イギリスの『サルフォードNHS病院』向けに開発しました。開発したデジタルコントロールセンターは、患者の入退院状況や病状、病床、医療機器、手術室の空き状況などをリアルタイムに把握することができるソリューションです。

このソリューションはMicrosoft Azureクラウドを通じて提供され、病院内のオンプレミス環境のシステムと統合されました。このソリューションには病院内の人々とIoT機器の場所をリアルタイムで把握する機能があります。その結果、病院は患者により良い治療を提供し、治療計画や資源をより効率的に活用できるようになりました。デジタルコントロールセンターの導入の結果、効率性は15%向上しました。

画像: ヘルスケア分野での事例

熱帯雨林の保全事例

別の例をご紹介しましょう。皆さんは、世界の熱帯雨林の保全をデータで解決できることをご存知でしょうか? オーストラリアと同じくらい広大な熱帯雨林で、不法伐採が行われる場所を特定することは極めて困難な作業です。この問題について、日立ヴァンタラ社は『RAINFOREST CONNECTION』向けに開発したデジタルソリューションで取り組んでいます。

『RAINFOREST CONNECTION』は、熱帯雨林上に太陽光発電を使った集音装置を設置し、違法な森林伐採を検知しています。日立ヴァンタラ社の挑戦は、収集した音源データにディープラーニングを適用することで違法伐採の予兆を行い、一般的に14日程度かかっていたレンジャーの介入までの期間を短縮することでした。

そのために、動物が通常発する鳴き声と、侵入者が近づいた時に発する鳴き声の違いを検知する分析ソリューションを開発しました。熱帯雨林では通信状況が不安定なため、ソリューションをエッジデバイス上で稼働させ、通信が可能になったときにAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)クラウドにデータを送信するように開発しました。開発したアルゴリズムは、不法伐採の可能性をレンジャーに5日前に96%の精度で通知することを可能にしました。この5日間は、熱帯雨林の破壊防止に大きく貢献しています。

画像: 熱帯雨林の保全事例

eコマースの事例

既にお話したように、アプリケーションをクラウドで提供することはデジタルトランスフォーメーションには欠かせません。しかし、その全てを「パブリッククラウド」に上げるわけではありません。今でも70%の企業が何らかの形のプライベートクラウドを運用していますが、オンプレミス環境においてもパブリッククラウドと同等のアップグレードの柔軟性、俊敏性、利便性が求められています。データドリブン型プライベートクラウドを実現した『ラボバンク社』の事例を紹介します。

『ラボバンク社』はオランダの重要なお客さまです。パンデミックで購買習慣が変わり、急増したオンラインショッピング取引数に対応するために短期間でインフラを拡張する必要がありました。パンデミック下でスタッフがデータセンターに出勤できない時期に、急増する取引を処理するために仮想マシンを2,000台から22,000台に増設する必要がありました。これを実現するために必要だったのは、高度な自動化でした。

日立ヴァンタラ社のクラウドアーキテクチャーおよび自動化ツールにより、『ラボバンク社』は仮想マシン構築に必要な時間を物理サーバー1台当たりわずか8分にまで短縮できました。その結果、『ラボバンク社』はスタッフを増員することなく、インフラ規模を10倍に拡張できました。

画像: eコマースの事例

顧客に共通の3つの課題

このようにデータの利活用は、ビジネスはもちろん、難しい社会問題や環境問題の解決においても目覚ましい前進を見せています。しかし、データドリブンな組織になることは簡単ではありません。実はとても難しい課題です。複数のお客さまに現在直面している課題について伺ったところ、お客さまの多くは、これからお話する3つのカテゴリーの課題のいずれかを抱えていることがわかりました。

1つめは、急増するデータ量と急速に進むデジタル化への対応です。『ラボバンク社』の事例はその好例です。2020年4月、ヨーロッパのeコマースは前年比で30%拡大しました。その結果、データインフラに対する要求は大幅に高まりました。2025年までに世界のデータ量は5倍拡大すると予想されています。想像してみてください。皆さんの会社のデータも、2025年までに5倍増えるかもしれません。このような状況になると、データドリブン型組織になるためには、高性能なデータストレージとデジタルインフラが不可欠になります。

2つめは、社内データの一元管理の実現です。データがサイロ化していたり、統合・整理されていない状態では、適切なデータを適切な専門家に届けることができず、適切なタイミングで適切な決断を下すことが難しくなります。『サルフォードNHS病院』は、この問題を抱えていました。デジタルコントロールセンターの導入によって機器・患者・施設のデータを統合できなければ、院内のあらゆる資源をより効率的に活用することはできませんでした。

3つめは、全く別のタイプの課題です。いくつかのお客さまは、データ分析によりインサイトを獲得し、新しい製品や顧客体験を設計・開発し、業界独自のプロセスを強化することができる協創パートナーを必要としていました。このようなお客さまは、デジタルエンジニアリングやデジタルプロセス設計、あるいはデータドリブン型の業種独自ソリューションの専門性を必要としていました。

『RAINFOREST CONNECTION』は、その代表例です。団体のメンバーはとても意欲的ですが、違法な森林伐採者に対抗できるデジタルソリューションを開発する手助けを必要としていました。こうした課題を踏まえて、日立ヴァンタラ社の戦略をご紹介したいと思います。日立ヴァンタラ社は、お客さまがこれらのどの課題を抱えていたとしても、お客さまのデジタルジャーニーをサポートします。

画像: 顧客に共通の3つの課題

デジタルコアのモダナイジング

日立ヴァンタラ社は、世界最高クラスのデータストレージ製品やインダストリアルIoTプラットフォームを駆使し、エッジからクラウド、データセンターまでをつなぐお客さまのデータアーキテクチャーの策定を支援します。また、日立ヴァンタラ社はアプリケーションモダナイゼーションの分野でもリーディングカンパニーで、これまでに何百ものお客さまの重要なERPシステムをクラウドアーキテクチャーに刷新する支援をしてきました。日立ヴァンタラ社ではこの事業を「デジタルコアのモダナイジング」と呼んでいます。

画像1: デジタルコアのモダナイジング

Lumada DataOps Suite(ルマーダ・データオプス・スイート)には、お客さまがデータ利活用環境をモダナイズするために必要なデータ管理や分析用のツールが搭載されており、日立ヴァンタラ社はお客さまのデータ活用における課題解決の支援ができます。日立ヴァンタラ社は、お客さまが適切なデータを、適切なタイミングで最適な場所に届ける支援ができます。

さらにデータ・ガバナンス・ソリューションを用いてデータを適切に管理すれば、データへの不正アクセスを防ぐことができます。

画像2: デジタルコアのモダナイジング

日立ヴァンタラ社のビデオソリューションや業種向けソリューションは、お客さまの安全性やセキュリティ、効率性、生産性の向上や収益の向上を迅速に支援します。日立ヴァンタラ社は、こうした実績のあるソリューションと蓄積したデジタルエンジニアリング力を組み合わせて、お客さまの課題解決を加速します。もちろん、日立ヴァンタラ社のデジタルエンジニアリング力は、グローバルロジック社のデジタルエンジニアリング力で大幅に強化されました。日立ヴァンタラ社とグローバルロジック社が協力し、今後どんなことができるのか、本当に楽しみです。

画像3: デジタルコアのモダナイジング

『Disney Parks』の事例

最後に、『Disney Parks』にソリューションを提供した事例と、その経験から得た未来の街についての気づきをお話したいと思います。

2019年、日立ヴァンタラ社はフロリダのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートと、カリフォルニアのディズニーランド・リゾートのアトラクションやショーのオフィシャルアナリティクスプロバイダーに認定されました。ディズニーは一部の人気アトラクションの運営効率を最適化するために、日立ヴァンタラ社のLumada DataOps Suiteとpredictive analytics Solution(プレディクティブ・アナリティクス・ソリューション)を導入しています。

日立ヴァンタラ社は『Disney Parks』の人気アトラクションの稼働時間を最大化することで、お客さまがアトラクションを楽しめる機会を増やす支援をしています。最近では体感型アトラクション「スター・ウォーズ:ライズ・オブ・ザ・レジスタンス」にも導入されています。ディズニーのテーマパークを訪れるお客さまには喜んでいただけることと思います。

このパートナーシップを通じて、私たちはディズニーのテーマパークは、それぞれがスマートシティのようであることに気づきました。また、日立が設備管理・公衆衛生・電気や水の供給・人やモノの輸送・セキュリティ、そしてヘルスケアなどの課題に対して包括的に取り組むことで、今後日立が都市全体にどのように貢献できるかのヒントを得ることができました。

画像: 『Disney Parks』の事例

スマートシティ化との取り組み 

スマートシティ分野における日立のケイパビリティをご覧下さい。これだけのポートフォリオを持つ企業は他にあるでしょうか? IT、OT、データが交差するこの分野で業界をリードできるのはエキサイティングです。

では、日立ヴァンタラ社とグローバルロジック社はどんな方法で業界をリードするのでしょうか? 答えは、データで「繋ぐ」ことです。これまでの事例でおわかりのように、ビジネスがデータドリブン型になると、その変化がもたらす効果は大きくなります。私たちは、すべてのお客さまにこのメリットを提供できると確信しています。

なぜなら、日立ヴァンタラ社はデータドリブン志向な企業だからです。

画像: 「Lumadaのグローバル展開の加速」~グローバルDXパートナーに向けて~
【第3回】日立ヴァンタラ社CEO ガジェン・カンディア HSIF2021講演

ガジェン・カンディア Gajen Kandiah
2020年7月、日立ヴァンタラ社の最高経営責任者に就任。CEO として1万1千人の従業員を率い、クライアント対応チームが同社のデジタルインフラストラクチャー、ソフトウェア、およびサービス機能を活用して、世界中のクライアントの業界固有の変革ニーズを満たすことを支援。

日立ヴァンタラ社入社前は、20年以上にわたり、多国籍企業やスタートアップ企業でITビジネスを構築。Cognizant社での15年間、彼は会社の年間収益が3億6,800万ドルから160億ドル以上に成長するのに貢献。 2015年から2019年まで、Cognizant社の数十億ドル規模のデジタルビジネス部門の社長を務め、ソフトウェアエンジニアリング会社のSoftvision社、マーケティングソリューションプロバイダーのNetcentric社、およびデジタルイノベーションとテクノロジーサービスの会社であるIdeaCouture社の買収を主導。また、企業の機能とサービスを、業界とクライアントに焦点を合わせた統合された製品とソリューションのスイートに変換するためのCognizant社全体のイニシアチブを主導した。

それ以前は、Cognizant社の情報、メディア、エンターテインメント、製造ロジスティクス、消費財、および通信業界のシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを担当。 Cognizant社に入社する前は、ベンチャーキャピタルが支援する経営コンサルティングおよびシステム統合会社であり、後にWipro社に買収されたNerveWire, Inc.,を共同設立した。

シリーズ紹介

[特集]ポストコロナの社会とビジネス

破壊の先にある創造へ――。「グレート・リセット」後に求められる社会とビジネスのあり方を、各界の有識者の言葉から探ります。
※グレート・リセット:2021年夏に開催される予定の次回世界経済フォーラム年次総会、通称ダボス会議におけるテーマ

楠木建の「EFOビジネスレビュー」

一橋ビジネススクールの楠木教授の思考の一端を、切れ味鋭い論理を、毎週月曜日に配信。

山口周の「経営の足元を築くリベラルアーツ」

山口周氏をナビゲーターに迎え、経営者・リーダーが、自身の価値基準を持つための「リベラルアーツ」について考える。

八尋俊英の「創造者たち」~次世代ビジネスへの視点~

八尋俊英日立コンサルティング社長を導き手とし、新世代のイノベーターをゲストに社会課題の解決策や新たな社会価値のつくり方を探る。

協創の森から

社会課題の解決に向けたビジョンの共有を図る研究開発拠点『協創の森』。ここから発信される対話に耳を傾けてください。

新たな企業経営のかたち

パーパス、CSV、ESG、カスタマーサクセス、M&A、ブロックチェーン、アジャイルなど、経営戦略のキーワードをテーマに取り上げ、第一人者に話を聞く。

Key Leader's Voice

各界のビジネスリーダーに未来を創造する戦略を聞く。

経営戦略としての「働き方改革」

今後企業が持続的に成長していくために経営戦略として取り組むべき「働き方改革」。その本質に迫る。

ニューリーダーが開拓する新しい未来

新たな価値創造に挑む気鋭のニューリーダーに、その原動力と開拓する新しい未来を聞く。

日本発の経営戦略「J-CSV」の可能性

日本的経営の良さを活かしながら利益を生み出す「J-CSV」。その先進的な取り組みに迫る。

ベンチマーク・ニッポン

日本を元気にするイノベーターの、ビジョンと取り組みに迫る。

デジタル時代のマーケティング戦略

マーケティングにおける「デジタルシフト」を、いかに進めるべきか、第一人者の声や企業事例を紹介する。

私の仕事術

私たちの仕事や働き方の発想を変える、膨らませるヒントに満ちた偉才たちの仕事術を学ぶ。

EFO Salon

さまざまな分野で活躍する方からビジネスや生活における新しい気づきや価値を見出すための話を聞く。

禅のこころ

全生庵七世 平井正修住職に、こころを調え、自己と向き合う『禅のこころ』について話を聞く。

岩倉使節団が遺したもの—日本近代化への懸け橋

明治期に始まる産業振興と文明開化、日本社会の近代化に多大な影響を及ぼした岩倉使節団。産業史的な観点から、いま一度この偉業を見つめ直す。

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