EFOが2020年9月4日にイベント形式でオンライン配信した公開取材「ブロックチェーンを活用した企業間情報連携という新たな潮流」における、NEXCHAIN参画企業4社による座談会の様子をお届けする、第5回。企業が持つ固有のデータやアセットを活かし、オープンイノベーションを起こせる場としてNEXCHAINに寄せる期待を、各社が熱く語った。

「第1回:企業の連鎖で、未解決の社会課題に立ち向かう」はこちら>
「第2回:ブロックチェーンで解決する、引っ越し・相続・基地局の困りごと」はこちら>
「第3回:NEXCHAIN参画企業の『危機感』」はこちら>
「第4回:イノベーションの壁、オープンイノベーションの可能性。」はこちら>

拠点、チャネル、決済というアセットの可能性

大森(東京ガス)
弊社がNEXCHAINで検討させていただきたいのは、東京ガスならではのアセットを活用した社会課題の解決です。現在、首都圏の約900万軒のご家庭と契約しており、機器の販売やメンテナンスの機会を通じ、多くのお客さまと直接お話しできる機会があります。これを活かしてオープンイノベーションを起こせないものかと考えております。

齊藤(日立)
ほかの会社さまにはなかなかないアセットですね。わたしが思うに、拠点がメッシュ状に張り巡らされていて、ご家庭に何かあるとすぐに駆け付けられるのも、東京ガスさまならではのアセットであり、強みなのではないでしょうか。例えば、電力も東京ガスさまの拠点で提供することで、EVの充電拠点として活用していくといったビジネスチャンスもありそうだなと、お話を伺って思いました。今、拠点はどのくらいあるのですか?

大森(東京ガス)
約160店舗ですね。主に検針やガス機器の販売を行っているグループ会社のアセットなので、活用の際には協力をお願いすることになりますが、斎藤さまがおっしゃるようなビジネスがもし実現できれば、電気の販売量の拡大につながる可能性があります。さらに、弊社の拠点は特に都市部に多いので、充電拠点として活用するならEVだけでなく、もっと小回りの利く小さい乗り物のほうが向いているかもしれません。日本でも電動キックボードのような乗り物がもっと使えるようになったらいいのになという個人的な思いもあるので、実現できたらすごく面白いですね。

画像: 東京ガス株式会社 大森隆平氏

東京ガス株式会社 大森隆平氏

齊藤(日立)
そういった小型の乗り物やEVなどのユーザーさまとの接点を新たに持つのは、東京ガスさまの既存のチャネルだとなかなか難しいと思うのですが、例えば、損保会社さまならそうした接点をお持ちだったりするのでしょうか。いかがでしょう、市川さま。

市川(損保ジャパン)
まさに当社の事業のメインですね。自動車保険がこの先どうなっていくかわからない状況で、当社としても指をくわえてただそれを見ているわけにはいかないという危機感がございます。実際に、株式会社ディー・エヌ・エーさまと合弁でカーシェアリングの事業体「株式会社DeNA SOMPO Mobility」を立ち上げ、個人間カーシェアのプラットフォームを展開しております。こういったアセットは東京ガスさまと親和性が高いかもしれませんし、カーシェアリングの決済の部分はゆうちょ銀行さまの決済サービスとコラボレーションができるかもしれません。

橋本(ゆうちょ銀行)
決済サービスはまさに弊行の本業です。料金の授受の方法にいろいろな工夫ができる時代ですので、そこに知恵を出せたらいいかなと思います。お客さまがストレスのない決済ができるようになれば、より利用が進みますからね。

市川(損保ジャパン)
ほかにも、当社やディー・エヌ・エーさまとの合弁会社による「akippa(アキッパ)」という駐車場のシェアリングビジネスを同時並行で展開しております。例えば日中はご家族が自動車で出勤しているため空いているご家庭の駐車場を、時間貸しするというビジネスです。このしくみを活用して、EV専用のakippaのようなサービスができたら面白そうだなと、皆さまのお話を聞いて思いました。

マネタイズにとらわれすぎず、社会課題ドリブンのオープンイノベーションへ

齊藤(日立)
では、そろそろお時間も差し迫ってきましたので、各社が今お持ちのアセットをこういうふうに活用したいですとか、こういうパートナーさまを探していますとか、そういったパートナーの候補となり得るような企業さまに、何かメッセージをいただけたらと思います。

大森(東京ガス)
繰り返しになりますが、弊社が活かしたいアセットはお客さまとのリアルな接点です。お客さまのお宅にお伺いして保安点検をさせていただいた後に、エネルギーの使用状況についてお尋ねしたり、いろいろなお悩みやご要望を聞いたりと、直接お話を聞くことができるのが弊社の強みです。しかし、お客さまが使用しているのは弊社のサービスだけでありません。多くのお客さまがインターネットを通じて、実にさまざまな会社さまのサービスを使っていらっしゃいます。

弊社ならではのリアルな接点がもたらすお客さまのデータと、デジタルサービスがもたらすお客さまのデータを組み合わせることができれば、より深くお客さまのことを理解でき、一人ひとりに対して一番喜んでいただけるご提案ができるようになる。そんな世界を弊社はめざしています。ぜひ、いろいろな企業の方々とお話しさせていただきたいと思っております。

橋本(ゆうちょ銀行)
新しい事業を立ち上げようというときに、やはりマネタイズのことを考えるとどうしても手が止まってしまう。そういったことは今まで多々経験してきました。ただ、データ活用という分野において新しいことを始めるには、まさに「社会課題を解決する」という目的から議論に入っていくのが一番よいのではないかと、個人的には思っています。そういったところの意識は参画企業の皆さまと非常に合っていると感じますので、今後のコミュニケーションを楽しみにしております。どうぞよろしくお願いします。

画像: 株式会社 ゆうちょ銀行 橋本佳和氏

株式会社 ゆうちょ銀行 橋本佳和氏

市川(損保ジャパン)
当社は保険を通じてほぼすべての産業とつながっているので、「こういうプレーヤーはいないですかね」とご相談をいただければ、ほぼご紹介できると思います。また、当社がデータ活用の観点で強いのは、やはり事故データでございます。個人情報の壁をどうクリアするかという課題はありますが、事故が起きたというファクトを知っているのは強みです。事故データを活用して何か新しいことができないかといったご相談をぜひ頂戴できたらなと思っております。それから、介護事業を行っているSOMPOケア株式会社というグループ会社がありまして、実は介護施設利用者数国内1位というユニークなアセットも持っています。高齢者の方々の課題を解決するという観点でも、いろいろなノウハウを共有させていただけるかと思います。

画像: 損害保険ジャパン株式会社 市川裕邦氏

損害保険ジャパン株式会社 市川裕邦氏

わたしがNEXCHAINの活動に共感するのは、あまりマネタイズにとらわれすぎず、社会課題ドリブン、あるいはユーザー起点、利便性、付加価値といったキーワードを大事にしていることです。新しい事業を創っていこうとすると、どうしても最終的に「それは金になるのか」という話になりがちです。でも、マネタイズはビッグネームの企業さまと組ませていただくことで後からついてくる話であって、それよりも今できること、世のため人のためになることを諦めずにやっていく。そういう志を持った方々と知り合うことができるエコシステムとして、NEXCHAINには非常に期待しております。

日本の企業にはとかく「うちの会社だけでやっていこう」という閉鎖的な一面があろうかと思います。しかしその分、思慮深くて、品質が高いというよさもあります。そういった日本の大企業であればこその、独自のオープンイノベーションの形があってもよいのではないでしょうか。欧米企業のように完全なオープンではなく、各社とも閉鎖的な面は保ちつつ、オープンにやるべきところは他社に共感を求めながらディスカッションしていく。それを実現できる座組みであるNEXCHAINを通じ、皆さまと志高く、自信を持って社会課題にチャレンジしていきたいと思っております。

齊藤(日立)
ありがとうございます。では、そろそろお時間となりましたので、本日のセッションを終了させていただきたいと思います。皆さま、どうもありがとうございました。

次回は、座談会の配信終了後に交わされたトークをご紹介する。大企業ならではのイノベーションに関する悩みやNEXCHAINへの切実な期待など、本編では見られなかった本音が各企業の登壇者から飛び出した。

「第6回:座談会を終えて。NEXCHAIN参画企業の本音」はこちら>

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