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日立グループの社内ネットワーク活動「Team Sunrise」の働きかけで今年6月に実現した、『「変化を嫌う人」を動かす』の著者、デイヴィッド・ションタル氏の講演イベント。通訳として“サポーターシップ”を発揮したTeam Sunriseメンバーが、株式会社日立マネジメントパートナーの郷家達也だ。この日は裏方に徹した郷家だが、普段のTeam Sunriseの活動では数々の英語勉強会を企画・運営する“プロデューサー”の顔も持っている。

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「第2回:『変われる組織』のロジック」はこちら>
「第3回:思考停止からの再起動」はこちら>
「第4回:コロナ禍で挑む『イノベーションのDX」」はこちら>
「第5回:Team Sunriseはなぜ続くのか」はこちら>
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「第8回:グローバルマインドセットと英語力」

多彩な英語勉強会、重点は“スピーキング”

今年6月23日、SHIBUYA QWSで開催された「デイヴィッド・ションタル教授講演会」。アメリカから来日したションタル氏の傍らで、通訳として参加者との橋渡し役を担った人物が、Team Sunriseの郷家達也だ。日立グループの財務・人事業務を代行する株式会社日立マネジメントパートナーに勤め、外国人従業員向けに、人事給与系システム画面の英語化などに携わっている。

「2012年に入社するまで、長らく北米で働いていました。日系自動車メーカーのカナダ工場での通訳・翻訳業務をはじめ、アメリカに本社を持つ国際規格の審査登録機関でアジアパシフィック部門のR&Dマネジャーも経験しました」(郷家)

画像: ションタル氏(左)の隣で通訳する、日立マネジメントパートナーの郷家達也

ションタル氏(左)の隣で通訳する、日立マネジメントパートナーの郷家達也

英語圏でのビジネス経験が豊富で、日立マネジメントパートナーでは英語の社内研修にも携わってきた郷家。Team Sunriseの活動では自ら英語勉強会を企画・運営し、日立グループ従業員の英語力向上に一役買っている。現在、Team Sunriseに関連した日立グループ内の英語勉強会は5つあるが、そのすべてに郷家が関係していると言う。ときには300人もの聴講者が集まるなど社内の注目度は非常に高く、コロナ禍以降、Team Sunriseは郷家を中心に一大英語サークルの様相を呈している。

「わたしが企画する英語勉強会のコアは“スピーキング”です。頭で考えるだけでなく、しゃべるという行為をコンスタントに続けないと、スピーキング能力は身につかないからです」

例えば、英会話学校と提携し、外国人講師が聴講者とインタラクティブにやりとりするオンラインセミナー。取り上げるテーマは「成功するオンラインミーティング」「議論のきっかけをつくるトーク」など、ビジネスに役立つものだ。ほかにも、海外でのビジネス経験が豊富な著名人や英語コーチングの専門家によるトークイベント、日本語のスピーキングを練習したい外国人従業員と英語を練習したい日本人従業員とをマッチングする社内コミュニティ、「パターンプラクティス」という手法の英語教材を用いた3カ月間のオンラインレッスンなど、趣向をこらした多彩な英語学習の機会を提供している。

外国人従業員の参加のハードルを下げる

2023年4月。郷家はTeam Sunrise代表の佐藤雅彦からの打診で「デイヴィッド・ションタル教授講演会」での通訳を担当することになった。実は、Team Sunriseの活動に対しある危惧を抱いていた時期だった。

「Team Sunriseは2016年に『グローバル若手会』から名称を変更して軸足を“イノベーションの創出”に移し、年々活動が活発化しています。一方で、もともとあった“グローバル”の視点が抜け落ちつつあることに、わたしは危機感を覚えていました。『Team Sunriseのイベントに興味があるのだけれど、どれも日本語。どうせ日本人対象なんでしょう?』――近年、外国人従業員からそんな声も聞かれるようになり、彼らのために通訳としてイベントに協力できないかと思っていた矢先でした。ションタル先生の講演会のお話は、わたしにとって願ったり叶ったりだったのです」(郷家)

画像: 外国人従業員の参加のハードルを下げる

偶然にもその頃、『「変化を嫌う人」を動かす』を題材にした“読書会”がTeam Sunrise内で開かれた。参加した郷家は、「自分が日頃“ステークホルダーをいかに説得するか”にばかりこだわっていたことに気づかされました」と、同書への理解を深めた。そのときのファシリテーターが、のちにションタル氏のイベントでプレゼンターを務めることになる、日立製作所 社会システム事業部の草間隆人だった。

画像: 「デイヴィッド・ションタル教授講演会」当日の郷家と草間(右)。オンラインでは何度も交流のある2人だが、実はこの日が初対面だった

「デイヴィッド・ションタル教授講演会」当日の郷家と草間(右)。オンラインでは何度も交流のある2人だが、実はこの日が初対面だった

日本人従業員のグローバル化こそ急務

Team Sunriseを通じて日立グループの従業員に英語学習の機会を提供し続ける郷家。根底には、長年海外のビジネスの場を目にしてきたからこその忸怩たる思いがある。

「今、世界における日立グループの従業員の実に過半数が外国人従業員です。日立全体としてはグローバル化が進む一方で、日本人従業員のグローバル化が遅れがちなのではないかと、わたしはかねがね感じていました。おそらく、その原因は意識の持ち方にあるのではないかと。多くの日系企業に言えることかもしれませんが、せっかく海外拠点で働いているのに日本人従業員同士で固まってしまう――いわゆる“コンフォートゾーン”から出て外国人従業員と関わり合おうとする姿勢がまだまだ足りないのではないか、と。

それを改善する手段の1つが、英語のスピーキング能力の向上だと思うのです。もっと英語をしゃべれるようになれば、もっと自信がついて、自分から一歩踏み出そうと思えるはずです。その手助けとなるよう、英語の勉強会を地道に続けるとともに、外国人従業員も気軽に参加できるイベントを少しずつ増やしていきたい。まずはTeam Sunriseそのものがグローバル化することで、日本人従業員のグローバルマインドセットを醸成していけたらと考えています」

画像: とある英語勉強会のワンシーン。日本人従業員だけでなく外国人従業員も積極的に参加している。手前のテーブル左奥が、ファシリテーターとして活躍する郷家

とある英語勉強会のワンシーン。日本人従業員だけでなく外国人従業員も積極的に参加している。手前のテーブル左奥が、ファシリテーターとして活躍する郷家

次回、最終回。「デイヴィッド・ションタル教授講演会」でプレゼンターとしてサポーターシップを発揮した、草間が登場する。

「第9回:ボトムアップでイノベーションが起きる組織へ」はこちら>

画像: イノベーションを育てる社内ネットワーク「Team Sunrise」
【第8回】グローバルマインドセットと英語力

郷家達也(ごうけ たつや)

株式会社日立マネジメントパートナー 事業企画本部 部長代理
日系自動車メーカーのカナダ工場における通訳・翻訳業務のほか、アメリカに本社を持つ国際規格審査登録機関のアジアパシフィック部門のR&Dマネジャーなど、英語力を生かし海外でビジネス経験を積む。2012年に株式会社日立マネジメントパートナーに入社。人事給与系システム画面の英語化や英語の社内研修に携わっている。実用英語検定1級取得、TOEIC 990点(7回受験中、4回)

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