Hitachi
お問い合わせお問い合わせ
Z世代のリーダー2人のキーノートスピーチに続いて、東急株式会社の東浦亮典氏、日立製作所の森正勝、日立アカデミーの迫田雷蔵が加わり、サステナブル時代の人事政策や人財開発戦略についてのパネルディスカッションが行われた。多くの企業や自治体がサステナブルな社会の実現に向けて、不確実な時代の中で社会課題の解決という難題に挑戦している。ただ、そのスケールの大きさにひとりの社員としてどう行動すべきなのか、そこに戸惑いを感じてしまう人も多いことだろう。それに立ち向かうために必要なものは何か?人事や新規事業開発のプロフェッショナルの意見に耳を傾けていただきたい。

「第1回:サステナブルを自分ごとに」はこちら>
「第2回:気候危機下で私たちができること」はこちら>
「第3回:イノベーションの敷居を下げるには?」はこちら>
「第4回:起業の原点となった志とは?」はこちら>
「第5回:サステナブル時代の人財開発戦略とは?」
「第6回:サステナブル時代の人財育成のあり方とは?」はこちら>
「第7回:組織におけるイノベーションの仕組み」はこちら>
「第8回:社会課題を自分ごと化して創る未来」はこちら>

新人類が持てなかった、Z世代の3つの感覚

佐藤
パネルディスカッションでは人財育成の視点から話を始めます。まずはここからご登壇いただく皆さんの自己紹介をお願いします。

画像: 東急株式会社 常務執行役員 東浦亮典氏

東急株式会社 常務執行役員 東浦亮典氏

東浦
私は1985年に東急に入社しました。新社会人になった頃は新人類と言われていました。Z世代ほどインパクトはありませんが、先輩からすれば生意気だし、言うことは聞かないし、何を考えているんだと。そんな世代も定年退職を迎えるようになり、いつの間にか元気をなくしてしまい、新人類はあまりスケールできなかったように思います。逆にいつまでも大人になれないのが私の特質で、組織の論理、社会の不条理に違和感を持ちながらやってきました。経歴としては都市開発を中心に、新規事業開発を多くやってきました。上司や会社から「この分野の新規事業を立ち上げなさい」と言われたことはなく、自分で企画してきました。ただ、山内さんのおっしゃる「must have」ではなく「nice to have」ばかりやってきている気がします。

(佐座さん・山内さん)2人の話を拝聴していて、3つの感覚が素晴らしいなと思いました。我々の時代にはデジタルコミュニケーションなんてありませんでした。携帯電話すらない時代でしたから。今日も明日も上司と同僚しか顔を合わせないような村社会にどっぷり浸かっていましたから、グローバル感覚もありません。また、ジェネレーションの越え方が、同世代と群れるのではなく、違う世代とも関係性を持ちながら、自分たちのやりたいことを実現していくのがすごい。我々の頃は10歳も違うと会話が成立せず、20歳違うと恐れ多くてコミュニケーションどころではありませんでしたから。

ヨーロッパと日本の環境意識の違いを実感

佐藤
続いて森さんお願いいたします。

画像: 株式会社日立製作所 森正勝

株式会社日立製作所 森正勝


私は日立のイノベーション部門にいるんですが、基本は研究所におりました。1994年に入社しましたが、すぐにWindows95が登場し、わずか3台しかなかったWindows3.1のパソコンを割り当てられました。プロフィールにはサービスソリューションに従事とありますが、ほぼ失敗の歴史しかありません。

実は2018年から2年間ロンドンにおりまして、ケンブリッジ大学との共同研究をやりましたが、その先生が「いまは環境を看板にしないと学生が来ない」と嘆いているのを聞きましたし、地元の小学校に通う娘も「牛のゲップが環境を破壊するから食べてはいけないんだ」と教わって帰ってきたりと、ヨーロッパの環境意識の高さと、帰ってきた日本のギャップは大いに感じることがありました。日本もここ1、2年は変わってきていますが、佐座さんがプラネタリーバウンダリーについて説明されていたように、そうした視点も当社も取り組まなければいけないと考えております。

もう一つの経験としては、2020年からお客さまと一緒に協創して新しいイノベーションをつくろうということをやっています。コロナ禍になって、日本からアメリカのR&D部門をリモートで見ていました。朝から夜まで全世界が動いているので、辛い思いはしましたが、ネットワークは広がりました。グローバルの中に否応なく巻き込まれていく感覚のなかで、意思決定や、オペレーションの本質を考えないと、企業としてやっていけなくなるのではないかと実感しているところです。

中国やインドのイノベーションに衝撃を受ける

佐藤
では迫田さんどうぞ。

画像: 株式会社日立アカデミー 取締役社長 迫田雷蔵

株式会社日立アカデミー 取締役社長 迫田雷蔵

迫田
私自身1983年に日立製作所に入って、現在コーポレートユニバーシティである日立アカデミーの社長をやっています。もともと人事畑で、電力、ICTなど社会のインフラ事業の人事部門で長らく仕事をしております。

また、組織改革という面では、年功制をなくしてのジョブ型制度への改革、グローバル人財マネジメントをリードしていきました。それから、働き方改革、ジョブ型マネジメントについても従事してきました。そのバックグラウンドとなったのは海外の経験です。最初は20代でアメリカ東海岸に、2回目が40代でiPhoneが出た頃にシリコンバレーで仕事をしました。直近では香港で中国アジア担当として、韓国・中国・ASEAN・インドを見ておりましたので、ほぼ毎週、どこかの国に出張していました。中国・深圳のイノベーションであるとか、インドのバンガロールでどんどんと事業が起こってくるのを目の当たりにして、大変ショックを受けたのを覚えています。

帰国して日立アカデミーの社長として社外から呼ばれる機会も多くなりました。そこで感じた問題意識として、大学を中心とした高等教育のあり方、産学の連携、あるいは日本の雇用のシステムなどがあります。そうしたことに対して、いろいろと発言をさせていただいてます。

画像: 株式会社日立製作所 佐藤雅彦

株式会社日立製作所 佐藤雅彦

佐藤
Z世代に新人類、大変興味深い方々にお集まりいただけましたので、いろいろ対話を重ねていければと思います。(第6回へつづく)

協力:SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)

「第6回:サステナブル時代の人財育成のあり方とは?」はこちら>

画像1: Z世代と語る!社会貢献をビジネスにするには?
【その5】サステナブル時代の人財開発戦略とは?

東浦亮典(とううら・りょうすけ)
東急株式会社 常務執行役員(フューチャー・デザイン・ラボ、 沿線生活創造事業ユニット 管掌 沿線生活創造事業部長)
1985年、東京急行電鉄(現・東急)入社。 自由が丘駅駅員、大井町線車掌研修を経て、都市開発部門に配属。 その後、東急総合研究所に出向し、復職後は、商業施設開発やコンセプト賃貸住宅ブランドの立ち上げなど、新規事業を担当。

画像2: Z世代と語る!社会貢献をビジネスにするには?
【その5】サステナブル時代の人財開発戦略とは?

山内萌斗(やまうち・もえと)
株式会社Gab 代表取締役CEO 
2000年、静岡県浜松市生まれ。静岡大学情報学部行動情報学科2年次休学中(22歳)
東京大学起業家育成プログラムEGDE-NEXT2018年度、同プログラムシリコンバレー
研修選抜メンバー、MAKERS UNIVERSITY 5期生 水野雄介ゼミ代表。大学一年次の2月にシリコンバレーを訪れた際に、人類の存続に必要不可欠な「must haveな事業」をつくることを決意し、同年12月に「ポイ捨てをゼロにする。」ことをミッションに掲げ、株式会社Gabを創業。現在3期目。フォロワー3.9万人のInstagramアカウント「エシカルな暮らし」の運営や、ゲーム感覚ゴミ拾いイベント「清走中」を全国展開など、「社会課題解決の敷居を極限まで下げる。」ことをミッションに掲げて複数の事業を展開中。

画像3: Z世代と語る!社会貢献をビジネスにするには?
【その5】サステナブル時代の人財開発戦略とは?

佐座槙苗(さざ・まな)
一般社団法人SWiTCH 代表理事
1995年生まれ。カナダUBC卒業。ロンドン大学大学院 サステナブル・ディベロプメントコース在学中。2020年、COP26の延期を問題視した若者たちが設立した「Mock COP26」のグローバルコーディネーターに就任。140ヵ国の代表をまとめ、COP26と各国首相に18の政策提案を行い世界的な注目を浴びる。2021年1月、若者のアイデアや意見を大人世代がサポートし、循環型社会をつくるプラットフォーム「一般社団法人SWiTCH」を設立。代表理事として活躍。

画像4: Z世代と語る!社会貢献をビジネスにするには?
【その5】サステナブル時代の人財開発戦略とは?

森正勝(もり・まさかつ)
株式会社日立製作所 イノベーション成長戦略本部副本部長
1994年京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、日立製作所入社。システム開発研究所にて先端デジタル技術を活用したサービス・ソリューション研究に従事。2003年から2004年までUniversity of California, San Diego 客員研究員。横浜研究所にて研究戦略立案や生産技術研究を取り纏めた後、2018年に日立ヨーロッパ社CTO 兼欧州R&Dセンタ長に就任。2020年より研究開発グループ 社会イノベーション協創統括本部(統括本部長 兼 東京社会イノベーション協創センタ長。2022年より現職。
博士(情報工学)

画像5: Z世代と語る!社会貢献をビジネスにするには?
【その5】サステナブル時代の人財開発戦略とは?

迫田雷蔵(さこだ・らいぞう)
株式会社日立アカデミー 取締役社長 
1983年日立製作所入社。電力,デジタルメディア,情報部門の人事業務を担当後,2000年から本社にて処遇制度改革を推進。2005年米国駐在,Hitachi Data SystemsでHR部門Vice President(~2009年)。2012年本社グローバルタレントマネジメント部長,2014年中国・アジア人財本部長,2016年人事勤労本部長,2017年日立総合経営研修所取締役社長。2019年4月に日立アカデミーが設立され,初代社長に就任。

画像6: Z世代と語る!社会貢献をビジネスにするには?
【その5】サステナブル時代の人財開発戦略とは?

佐藤雅彦(さとう・まさひこ)
株式会社日立製作所 Team Sunrise代表
NGOのIT責任者を経て、2001年日立製作所に入社。情報通信事業のシステムエンジニアリングや新会社設立、M&Aなど新事業企画に従事しながらMBAを取得。本社IT戦略本部などを経て、現在、研究開発グルーブ 社会イノベーション協創センター主任研究員。2006年より社内ネットワーク活動「Team Sunrise」の代表を務める。

シリーズ紹介

楠木建の「EFOビジネスレビュー」

一橋ビジネススクール一橋ビジネススクールPDS寄付講座特任教授の楠木建氏の思考の一端を、切れ味鋭い論理を、毎週月曜日に配信。

山口周の「経営の足元を築くリベラルアーツ」

山口周氏をナビゲーターに迎え、経営者・リーダーが、自身の価値基準を持つための「リベラルアーツ」について考える。

協創の森から

社会課題の解決に向けたビジョンの共有を図る研究開発拠点『協創の森』。ここから発信される対話に耳を傾けてください。

新たな企業経営のかたち

パーパス、CSV、ESG、カスタマーサクセス、M&A、ブロックチェーン、アジャイルなど、経営戦略のキーワードをテーマに取り上げ、第一人者に話を聞く。

Key Leader's Voice

各界のビジネスリーダーに未来を創造する戦略を聞く。

経営戦略としての「働き方改革」

今後企業が持続的に成長していくために経営戦略として取り組むべき「働き方改革」。その本質に迫る。

ニューリーダーが開拓する新しい未来

新たな価値創造に挑む気鋭のニューリーダーに、その原動力と開拓する新しい未来を聞く。

日本発の経営戦略「J-CSV」の可能性

日本的経営の良さを活かしながら利益を生み出す「J-CSV」。その先進的な取り組みに迫る。

ベンチマーク・ニッポン

日本を元気にするイノベーターの、ビジョンと取り組みに迫る。

デジタル時代のマーケティング戦略

マーケティングにおける「デジタルシフト」を、いかに進めるべきか、第一人者の声や企業事例を紹介する。

私の仕事術

私たちの仕事や働き方の発想を変える、膨らませるヒントに満ちた偉才たちの仕事術を学ぶ。

EFO Salon

さまざまな分野で活躍する方からビジネスや生活における新しい気づきや価値を見出すための話を聞く。

禅のこころ

全生庵七世 平井正修住職に、こころを調え、自己と向き合う『禅のこころ』について話を聞く。

岩倉使節団が遺したもの—日本近代化への懸け橋

明治期に始まる産業振興と文明開化、日本社会の近代化に多大な影響を及ぼした岩倉使節団。産業史的な観点から、いま一度この偉業を見つめ直す。

八尋俊英の「創造者たち」~次世代ビジネスへの視点~

新世代のイノベーターをゲストに社会課題の解決策や新たな社会価値のつくり方を探る。

This article is a sponsored article by
''.