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女優、歌手 ナタリー・エモンズ氏/株式会社日立製作所 理事 システム&サービスビジネス統括 本部CSO 松原康範
日本で女優や歌手などの芸能活動を行うとともに、文化庁が認定する「日本遺産」を広く世界に発信する「日本遺産大使」としても活躍中のナタリー・エモンズさん。スポンジのような吸収力で、日本語や日本の生活文化を吸収し理解を深めているナタリーさんに、日本でのコミュニケーションや日本の歴史や伝統の良さについて、新鮮な視点で語っていただきました。

まだ知られていない「日本遺産」をめぐって

松原
ナタリーさんのご活躍は、いつもテレビで拝見しています。

ナタリー
ありがとうございます。

松原
ナタリーさんは、毎週日曜日の朝にTBSテレビで放映されている「じょんのび日本遺産」という番組に出演されていますね。あの番組は、文化庁が認定する「日本遺産」を巡るものですが、私は毎週楽しみにしています。

ナタリー
それは、嬉しいですね。世界遺産に登録されている場所は、とても有名なところですが、日本遺産は日本の人もまだ知らないような場所が多いですね。でも、歴史や伝統があって、どこも素敵なところばかりです。そういう所を、少しでも多くの人に知ってもらえればと願っています。

松原
日本遺産の紹介は、たいへん意義のある仕事だと思います。実は、私たち日立のお客さま向け情報誌『はいたっく』でも、日本遺産を紹介する企画を行っているのですよ。ナタリーさんは、今年5月に文化庁の日本遺産大使にも就任されましたね。番組でも文化庁長官と成田や銚子の日本遺産を巡っているのを拝見しました。そしてナタリーさんは、毎回いろいろな所に伝わる日本の伝統や歴史などを、楽しそうに紹介されています。ナタリーさんが共感を持って、各地の文化に接しているので、その楽しさがよく伝わってきます。

ナタリー
そう言っていただけると嬉しいです。私自身は、特に楽しさを演出しようとしているわけではないのですが、日本各地の伝統や文化に触れて、ほんとうに楽しんでいます。それが画面から自然に伝わるのですね。

画像: まだ知られていない「日本遺産」をめぐって

特別な思い出が残る津和野の「石見神楽」

松原
あの番組では、毎回、その土地の人との触れ合いとともに、その土地の食べ物も召し上がっていますね。中には苦手な食べ物があるのでは? と心配になりますが、日本の食べ物はいかがですか。

ナタリー
いえ、これまで食べたものは、どれも全部美味しかったです。特に苦手なものは何もありません。

松原
鰻などは、いろいろな所で召し上がっていますね。アメリカにいらっしゃる時から、鰻は食べていましたか?

ナタリー
アメリカでもお寿司屋さんなどで鰻が食べられるので、若い人は食べますね。でも、日本で食べる鰻は、脂が乗って美味しくて、アメリカのものとはクオリティが全然違います。日本でないと、あの鰻は味わえません。

松原
そう言っていただくと、誇らしいですね。ナタリーさんは、すでにたくさんの日本遺産を訪れていると思いますが、その中で一番印象に残っているところは、どちらですか?

ナタリー
島根県の津和野を訪ねた時に、「石見神楽」という伝統的な踊りに参加させてもらいました。あれは特別な思い出です。

松原
テレビで拝見しましたよ。よくテレビ番組ではレポーター役のタレントの人が、地元行事に飛び入りで、少しだけ参加したりしますが、石見神楽の時はかなりしっかりと練習されて、舞台でも長い時間演じられていましたね。一生懸命取り組んでいる様子が、伝わってきました。

ナタリー
実は、私も少しだけ出させてもらえるのだろうと思っていました。ところが、実際に練習に参加したら、少しではなくて、かなり長時間舞台に立つことが分かりました。地元の皆さんは、長い期間にわたって練習を続けて、舞台に立つわけでしょう。そこに私が入っていって大丈夫? と思いました。ですから、地元の人の演技のジャマにならないよう、自分もちゃんとやらなくてはと思い、練習も本番も一生懸命にやりました。扇子を使った舞いに、難しいところがあったので、旅館に帰ってからも練習をしました。

松原
倉敷に行かれた時は、学生服を着ていらっしゃいましたね。たいへん印象的でした。

ナタリー
アメリカには学生の制服というのがないのです。学生はみんな私服で学校に通っていますから。それで、私も学制服を着て学校に通いたかったと思いました。仕事をしたり、勉強をしたりする時に、それに合わせて服装を変えることは大切だと思います。たとえば、ダンスでも、ゆったりした服装を着ればヒップホップという気分になるし、タイツやレオタードならバレエという気分になります。服装によって、気持ちも切り替わるのですね。ですから、私も制服を着て勉強がしたいと思いました。

松原
それは、たいへん日本の考え方に近いかもしれません。日本の文化は、「形」を大切にしています。服装というのも、そういう「形」の一つで、場所や状況に合わせた服装ということを大切にしています。ナタリーさんがおっしゃったように、服装によって気持ちを切り替えるというような意味があるのでしょうね。もっとも最近では、制服のかわいらしさで学校を選ぶ女子校生もいるようですが。

ナタリー
なるほど、私なら緑の制服の学校が良いかな(笑)。

画像: 特別な思い出が残る津和野の「石見神楽」
画像1: 心から認め合えば文化の違いを超えた絆が生まれる
【第1回】日本文化への思い

ナタリー・エモンズ

アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴ出身。2010~2013年 ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでシンガー、ダンサー、MCとして活動、1日4,000人以上が鑑賞に訪れるショー『ユニバーサル・レインボー・サーカス』ではリングマスター役(主役)を演じ、数々の賞を受賞。その後、ジブリ映画のテーマ曲をカバーした動画がYahoo! JAPANに掲載されるなど話題となる。NHKワールドの歌番組"We Love Japanese Songs"では司会も務めた。現在、毎週日曜放映の「じょんのび日本遺産」(TBS)ほか、多数のテレビCM、TV番組に出演。シンガーソングライターとしても活動中。

画像2: 心から認め合えば文化の違いを超えた絆が生まれる
【第1回】日本文化への思い

松原康範(まつばら・やすのり)

1984年 株式会社 日立製作所入社、2005年 営業企画本部 企画部 担当部長、2009年 情報・通信グループ 金融システム営業統括本部 ビジネス企画本部長、2012年 営業統括本部 営業企画本部長、2016年 ICT事業統括本部 経営戦略統括本部長、2017年 システム&サービスビジネス統括本部 経営戦略統括本部長、2018年 理事/システム&サービスビジネス統括本部CSO

「第2回:異文化コミュニケーションの肝」はこちら>

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