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2024年2月29日、『デジタルの力が導く日本の未来 ~共にめざすSociety 5.0』をテーマに日立製作所主催のイベントを開催した。ゲストは、EXILE/EXILE THE SECONDのパフォーマーとして、また所属するLDH JAPANのSocial Innovation Officerとして活躍されている橘ケンチ氏。Lumada Innovation Hub Senior Principalの加治慶光の進行のもと、日立製作所 執行役常務 馬島知恵、Lumada Innovation Evangelistの澤円の4名で行われたトークセッション。イベント採録の第1回は、LDHの地域創生の取り組みについて。

Social Innovation Officer

加治
日立のイベントでゲストが橘ケンチさん、少し意外だと感じておられる方がいるかもしれません。しかし、実は非常に相性のいい組み合わせなのです。ケンチさんはEXILE/EXILE THE SECONDのパフォーマーであると同時に、LDH JAPAN(※)の中でSocial Innovation Officerという役割を担っておられる方です。日立も社会イノベーションを基軸に事業を展開していますから、どちらも同じ方向をめざしている。今日はそこを掘り下げていきたいと思います。まずはこの役割について教えていただけますか。

※ 株式会社LDH JAPANは、日本の芸能事務所、エンターテインメント企業。社名はLove、Dream、Happinessの頭文字。

画像: Social Innovation Officer


橘ケンチです。よろしくお願いいたします。Social Innovation Officerという役割は、2023年10月にLDH JAPANが新体制になったタイミングで与えられたものです。僕が地域創生と社会貢献の担当になることになりまして、どういう役職名にしようかいくつかの候補から僕の中で決めかねている時、澤さんに相談させていただきました。


その候補の中にあったSocial Innovation Officerという肩書きを見て、もうこれ一択でしょうと即答しました。決まりましたっていう連絡があった頃に、このイベントの企画が動き出したので、「これはケンチさんを呼ぶしかないでしょう」となって打ち合わせの場で名前を挙げたら、みんなびっくりしていました。

加治
そういうふうに意外に見える組み合わせが、これからの社会課題に向き合うにはとても重要だと思います。LDHが組織として地域創生の部門を作ったのはまだ最近ですが、取り組み自体はかなり以前から行っていると聞いています。


2010年にEXILEははじめてスタジアムツアーを経験させていただきました。その時ライブをやる1週間ぐらい前から、地域をお祭りのようにEXILEが盛り上げるという企画をみんなで考えました。電車をEXILEでラッピングしたり、地域に居酒屋や駄菓子屋などいろいろなお店を出させてもらったり、少しずつ盛り上げていき、最後にEXILEのライブがある。その企画をやった時に、すごく地域の方々に喜んでいただけた実感がありました。アーティストが地域や社会に貢献する方法はいろいろあると、その可能性を強く感じました。

翌年の2011年、東日本大震災が起きました。僕たちは無力感にさいなまれながら、いったい何ができるんだろうということをメンバーみんなで考えて、『Rising Sun』という東日本大震災復興支援ソングをリリースし、その印税を全額寄付させていただきました。そして「日本を元気に」という僕たちなりのテーマを掲げて、音楽活動やエンタメ活動と同じように、社会への貢献ということを強く意識しはじめました。

加治
われわれは、どうしてもアーティスト、パフォーマーとして見てしまいがちなのですが、実はさまざまな活動をされている。今日はケンチさんに、LDHさんの地域創生への取り組みをご紹介いただきたいと思います。よろしくお願いします。

LDHの地域活動の軌跡


先ほどお話したスタジアムツアーを行ったタイミングから、ライブ会場のすぐ横で“EXILE CUP”という小学校4年生から6年生までを対象としたフットサルの大会を開催しています。これまでに4,800チーム、約4万2,000人に参加していただきました。もともとEXILEがサッカーワールドカップの時に、日本代表の応援ソングで『VICTORY』という楽曲を作らせていただきました。その時に岡田武史監督との出会いがありまして、サッカーの裾野を広げるためにEXILEとしてもぜひ応援させていただきたいということから、こういう大会を開催することになりました。

画像1: LDHの地域活動の軌跡

今年は全国9地区10会場で予選大会を開催しまして、決勝大会は岡田さんのお膝元である愛媛県今治市の里山スタジアムで行っています。

画像2: LDHの地域活動の軌跡

こちらは2014年、小中学生を対象にスタートした“DANCE CUP”というコンテストです。2014年から2019年で3部門合計2,800チーム以上、約1万人の方々にご参加いただきました。僕たちが踊りをはじめたのは10代ですが、最近は本当にキッズのころからダンスを始めるという文化、風潮が浸透していて、僕的にすごくうらやましい環境でもあります。この子どもたちが20代になったときに、今の僕たちよりももっとレベルの高いダンサーになっている、それは確信しています。

画像3: LDHの地域活動の軌跡

「夢の課外授業」という、スポーツ界や芸能界など各界で活躍する方々が小中学校を訪れて、自分の専門分野に関して子どもたちに講義を行うというプロジェクトがあります。この「夢の課外授業」で、東日本大震災の復興支援ソングである『Rising Sun』という曲を全国の小中学生と一緒に踊って、踊り伝えていこうというプロジェクトです。数年前、実際に踊ってもらった子どもたちをEXILEのコンサートへ招待して、一緒にステージで踊るという経験もしてもらいました。

画像4: LDHの地域活動の軌跡

LDHにはアーティストだけでなく、スポーツ選手であったり、モデルや俳優といった人たちも所属しています。その中で、アンジェラ・磨紀・バーノンさんというハワイ在住のプロサーファーの方が、LDHに入られる以前から“Ocean's Love”というプロジェクトを続けています。これは知的障がい児であったり、発達障がい児の子どもたちを対象にしたサーフィンスクールです。僕も何回か参加させていただきました。この活動も2005年から2022年の18年間で、延べ約2,000人の子どもたちが参加しています。

画像5: LDHの地域活動の軌跡

LDHは企業ともさまざまな取り組みをさせていただいていますが、ここでご紹介したいのが自治体との取り組みです。2019年の3月にLDHは長野県と包括連携協定を結びまして、子どもの育成や地域社会の発展に向けた取り組みをスタートさせました。具体的には県のお祭りや伝統芸能、イベントを中心に地域文化やスポーツ振興へのサポートであったり、県内の中学校における「新たなダンスの授業のデザインづくり」をテーマにダンス教育の支援を行っています。

画像6: LDHの地域活動の軌跡

僕が最初に日本酒に興味を持ったのは、2016年頃にある方から日本酒のバーをご紹介いただいて、日本酒と料理のペアリングを体験して衝撃を受けたことがきっかけです。日本酒の酒蔵は今日本に1,200蔵ほどあり、一番多かった時には8,000蔵ぐらいあって年々数は減っているのですが、その中でがんばっている方々はたくさんいらっしゃいます。そういった酒蔵の方々と知り合うことで、地域のいろんな方とのつながりができたり、日本酒を通じて地域の食を知ることができます。ひとつの酒蔵を知ると、その地域の魅力の全てを知ることができると僕は感じていて、日本全国を回っていろんな方とのご縁を深めてきました。

自身で見つけたそんな日本の魅力を発信していく中で、LDHも社会貢献や地域創生というものに興味を示していくタイミングが2023年頃でした。今も会社スケールでいろいろなことを進めている最中です。

画像7: LDHの地域活動の軌跡

最後になります。LDHはチャリティーや寄付もいろいろさせていただいております。今年1月1日に起きた能登半島地震の被災地でも、これから炊き出しを行う予定です。LDHという会社をあげて引き続き自主的な社会貢献活動、困った方への本気の支援を続けていきたいと思っております。

ご清聴ありがとうございました。(第2回へつづく

「第2回:ビジネスとしての地域創生」はこちら>

画像1: デジタルの力が導く日本の未来 ~共にめざすSociety 5.0〜
【第1回】LDHの地域創生

橘 ケンチ(Tachibana Kenchi)
2007年に二代目J Soul Brothersのメンバーに抜擢され、2009年にEXILEに加入。EXILE/EXILE THE SECONDのパフォーマーとして活躍する傍ら、ライフワークとして日本酒の魅力を発信。多くの実力派酒蔵や醸造家とコラボを実現している他、2023年SAKEの魅力を網羅した書籍『橘ケンチの日本酒最強バイブル』(宝島社)及び処女小説『パーマネント・ブルー』(文芸春秋)を上梓。2018年13代酒サムライ、2021年福井市食のPR大使に就任。2023年10月より所属するLDH JAPANのSocial Innovation Officerに就任。

画像2: デジタルの力が導く日本の未来 ~共にめざすSociety 5.0〜
【第1回】LDHの地域創生

馬島 知恵(Mashima Chie)
1989年、日立製作所入社。2018年、社会ビジネスユニット 公共システム営業統括本部 営業統括本部長。2019年、理事/日立オーストラリア社 社長。2023年4月、執行役常務 営業統括本部副統括本部長 兼 デジタルシステム&サービス担当 CMO兼 社会イノベーション事業統括本部長。

画像3: デジタルの力が導く日本の未来 ~共にめざすSociety 5.0〜
【第1回】LDHの地域創生

澤 円(Sawa Madoka)
株式会社日立製作所 Lumada Innovation Evangelist。株式会社圓窓 代表取締役。元・日本マイクロソフト株式会社業務執行役員。武蔵野大学 専任教員。SBテクノロジー株式会社 社外取締役。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年に大手外資系IT企業に転職。情報共有系コンサルタントを経てプリセールスSEへ。最新のITテクノロジーに関する情報発信の役割を担う。2006年よりマネジメントに職掌を転換し、ピープルマネジメントを行う。

画像4: デジタルの力が導く日本の未来 ~共にめざすSociety 5.0〜
【第1回】LDHの地域創生

加治 慶光(Kaji Yoshimitsu)
株式会社 日立製作所 Lumada Innovation Hub Senior Principal。シナモンAI 会長兼チーフ・サステナビリティ・デベロプメント・オフィサー(CSDO)、鎌倉市スマートシティ推進参与。青山学院大学経済学部を卒業後、富士銀行、広告会社を経てケロッグ経営大学院MBAを修了。日本コカ・コーラ、タイム・ワーナー、ソニー・ピクチャーズ、日産自動車、オリンピック・パラリンピック招致委員会などを経て首相官邸国際広報室へ。その後アクセンチュアにてブランディング、イノベーション、働き方改革、SDGs、地方拡張などを担当後、現職。2016年Slush Asia Co-CMOも務め日本のスタートアップムーブメントを盛り上げた。

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