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株式会社 日立製作所 執行役常務 馬島知恵/バレエダンサー 二山治雄氏
17歳でローザンヌ国際バレエコンクールにおいて1位を獲得し、パリ・オペラ座バレエ団を3年経験。現在国内外でフリーのバレエダンサーとして活躍する二山治雄(にやまはるお)氏27歳。そして日立の社会イノベーション事業を取りまとめる、バレエファンの執行役常務 馬島知恵(ましまちえ)。対談第5回は、日本バレエと日立の次世代への課題について。

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「第5回:次世代の課題」

日本バレエの課題

馬島
今日本には約36万人もバレエを習っている人たちがいて、バレエ人口は世界で一番多い国だそうですが、二山さんは日本バレエの現在の状況をどうお考えですか。

二山
私の体感としては、バレエを習われている方の割合は大人の方が多くて、学生や子どもは減っていると思います。

馬島
それは私も感じます。

二山
その理由はさまざまで、僕が正確にお答えすることはできませんが、お金がかかるとか、子どもたちがバレエと接する機会が少なくなっているとか、いろいろあると思います。ひとつ言えるのは、プロになれる人が限られていて、あまりに狭き門だということが知れ渡ってしまっているので、残念なことに最初からバレエを選択肢からはずしてしまうご家庭が多いということです。

僕は姉が3人いまして、2世帯住宅で一番上の姉家族と今住んでいます。僕も姉も、バレエをやるように勧めたことはないのですが、今年5歳になる姪はバレエをやりたいと3歳からはじめています。3歳という年齢で、音楽に乗って踊ることや何百人という観客の前で発表する機会というのは、バレエ以外ではなかなかないと思います。子どもは感受性も豊かですし、バレエでなければ得られない学びがあるので、もっとそれを知っていただけたら日本のバレエの未来はより明るくなるのかもしれません。

馬島
そうですよね。小さい頃にそんな経験ができる機会なんて普通はないですから。

二山
ただ、僕たちバレエダンサーにとっての最大の問題は、バレエ人口が多くても舞台を見に来られる人が少ないということです。先ほどお話した他の業界とのコラボなど、できることにトライはしているつもりですが、まだまだ解決には遠い状態です。

画像: 日本バレエの課題

これからの日立の人財育成

馬島
次の世代を育てるという意味で考えると、日立の場合も必要な人財、力を発揮する人たちのタイプに変化が出てきていると思います。デジタル事業の拠点をシリコンバレーに持ち、グローバルロジック社(※)という海外の新しい仲間が加わったこともあり、日立自体が内側から多様な組織へと変化し、それが加速しています。

※ グローバルロジック社:2021年に日立が買収した米国のデジタルエンジニアリングサービス企業。

私が入社した頃の日立は、どちらかというと組織としての強さが重要視されていました。一人ひとりの個性や能力より、組織力や現場力でビジネスを進めていく。そんな時代だったと思います。しかしこれから海外の人たちと協創したり、新しい領域を開拓していくには、日本でも組織に頼らず多様性を力にして人を動かせるような強いリーダーシップやパーソナリティが求められます。

そのためには、組織力の強化という観点だけではなく個人個人がしっかりと渡り合える人財育成が必要でしょうし、そういう組織文化を作っていく必要があると思います。例えば海外では一人でお客さまやパートナーのところに出かけていって話をまとめてくることが普通ですから、日立も多様性や個性を伸ばす人財育成に変えていく必要があります。

バレエダンサー二山治雄の自己管理

馬島
二山さんは日本のバレエダンサーでも卓越した技術と端正な動きで観客を魅了しますし、オープンクラスでも時間が空くと腕立てや腹筋などで体を鍛えられているのをよく見かけます。普段の自己管理はどうされているのか、例えば毎日をどのように過ごされているのか、教えていただけますか。

二山
ひとことでいうと、とても不規則です。バレエでは、バーレッスン(※1)とセンターレッスン(※2)を1時間半ほどかけてやるトレーニングがあるのですが、それは毎日リハーサル後でも必ずやると決めていますが、それ以外は食事も睡眠も不規則です。

※1 バーを使い、バレエに必要な体づくりの要素を網羅した練習方法。
※2 バーから離れてフロアで行う練習方法。

馬島
そうなのですか。私はストイックに食事も生活も自己管理されている方だと勝手に思っていました。

二山
そうなんです。そういうストイックな人間だと思われていることが多くて、別にそれが嫌なわけではないのですが、毎晩お酒を飲むとか、ワインが好きで1本空けるという話をすると、すごく驚かれるのです。

馬島
私も驚きました。でも、少し普通の人の部分もあって安心しました。

画像: バレエダンサー二山治雄の自己管理

目標はいつも目の前にある

馬島
それでは最後になりますが、二山さんのこれからの目標を聞かせてください。

二山
僕は、いつもその質問が一番難しいのですが、バレエダンサーである限りお客さまに喜んでいただける舞台を演者として演じること、それは決して変わることのない目標です。あとは感謝の気持ちを忘れずに、どんなものにも挑戦していきたいと思っています。馬島さんは具体的な目標があるのですか。

馬島
私もその質問が一番難しいです。私は会社に入ってから今日まで、人生の大きなビジョンがあるというよりは目の前のやるべきことをひとつずつクリアすることで信頼を築いてきた人間ですから、この姿勢は変わらず継続していきたいと思っています。それと二山さんのような若い人たちや次世代へとつなげていける環境づくりは、自分の役割としてしっかりやっていきたいと思います。個人的な目標としては、ほんの少しずつでいいからもっとバレエがうまくなりたいですし、公演にも時間の許す限り足を運んで感性を磨いていきたいと思います。

二山さん、今日は本当に楽しかったです。これからのご活躍や来年出版される写真集も楽しみにしております。ありがとうございました。

二山
こちらこそ、ありがとうございました。お仕事もバレエも、引き続きがんばってください。

撮影協力 JustCo DK Japan 株式会社

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「第5回:次世代の課題」

画像1: バレエと社会イノベーション
【第5回】次世代の課題

二山 治雄(Haruo Niyama)
1996年長野県松本市生まれ。7歳よりバレエをはじめ、小学校5年より白鳥バレエ学園にて塚田たまゑ・みほりに師事。2014年第42回ローザンヌ国際バレエコンクール第1位、ユースアメリカグランプリ シニア男性部門金賞。ローザンヌ国際バレエコンクールのスカラシップでサンフランシスコ・バレエスクールに留学。2016年ワシントンバレエ団スタジオカンパニーに入団。2017~2020年パリ・オペラ座バレエ団契約団員として入団する。アブダビ、シンガポール、上海ツアーにも参加。2020年、コロナ禍の中帰国。以降フリーのバレエダンサーとして、さまざまな舞台で活躍中。2023年に東京新聞制定で日本の洋舞界で活躍する若手ダンサーに送られる「第29回中川鋭之助賞」を受賞。来年には初めての写真集も出版予定。

画像2: バレエと社会イノベーション
【第5回】次世代の課題

馬島 知恵(Chie Mashima)
1989年、日立製作所入社。2018年、社会ビジネスユニット 公共システム営業統括本部 営業統括本部長。2019年、理事/日立オーストラリア社 社長。2023年4月、執行役常務 営業統括本部副統括本部長 兼 デジタルシステム&サービス担当 CMO兼 社会イノベーション事業統括本部長。

画像3: バレエと社会イノベーション
【第5回】次世代の課題

『HARUO NIYAMA』
(フォトグラファー:井上ユミコ/編集・ライター:富永明子,株式会社EDITORS)
表現者としてのバレエダンサーの魅力を、1人1冊の洗練された写真集で伝えるプロジェクト「ASSEMBLĒS(アッセンブレ)」。その第一弾を、二山治雄氏が飾ります。

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