「第1回:初老初心者」はこちら>
「第2回:ナイスか?」はこちら>
「第3回:還暦カーニバル」はこちら>
「第4回:糖尿の光明」
「第5回:針仕事」はこちら>
※ 本記事は、2024年7月4日時点で書かれた内容となっています。
病院で検査した上で診断されてしまうと、さすがにもう糖尿病から逃げるすべはありません。しかもいろいろな人から、重症化した糖尿病の話で脅されるので、もう医師の言うことを忠実に実行する以外に選択肢はない。まずは食生活を変える必要があります。自分でも驚いたのですが、それまで絶対にやめられないと思っていた甘いものが、一切食べたくなくなりました。我慢しているのではありません。糖尿病が深刻だと理解した瞬間から脳のスイッチが切り替わったのか、甘いものが食べたくなくなったのです。
今でもうちの物置には、買い込んであったレモンスカッシュとカルピスウォーターが大量に残っているのですが、それを見ても全く飲みたくなりません。コンビニのスイーツコーナーでシュークリームなどが置いてあるのを見ても、全くそそられません。我慢しているわけではないので、楽なものです。
糖尿病が発覚してから3カ月ほど経ちましたが、その間1回も甘いものや甘い飲み物を口にしていません。それが全く苦にならない。人間はつくづくゲンキンなものだと思います
大学病院では、実際に栄養指導も受けました。糖尿病の食事で気をつけるべきことは、世の中で言われている通りではあるけれども、食事は全部玄米にしなければならないとかあまり突き詰めると長続きしなくなる。総カロリーという基準さえ守れば、1日ご飯1膳、250グラム以内なら食べても大丈夫。大切なのは3食きちんと食べること。そんなアドバイスをいただきました。
運動に関しては、有酸素運動を増やすのがいいと聞いていたので実際にはじめたのですが、詳しい人に話を聞くと、有酸素だけをがんがんやっているとマラソン選手のようなカロリーを消費しにくい体になると言うのです。筋肉が落ちて基礎代謝で消費するカロリーが減少してしまうので、むしろ逆効果の面がある。大切なのは何よりも筋トレ。筋肉量が多いほうが基礎代謝は大きくなり、カロリーを消費しやすい体になる。有酸素運動と筋トレは、日を分けてやるようにするといいと言われました。
もともと週3か4でジムに行っていましたが、もう今は放っておくと週6ないし7はジムに行って運動するように脳が切り替わってしまいました。有酸素運動をやったら、次の日は筋トレ。これを繰り返す。ジムに通う頻度は上がりましたが滞在時間は減りました。もともとジムでやっていた筋トレを強化し、苦手であまりやらなかった有酸素運動のためにマシンを使った早歩きのウォーキングをはじめました。心拍数120から130ぐらいの軽めの負荷の早足で、だいたい30分から45分ほど歩く。サウナへ入り、シャワーを浴びて体重を測る。今は激痩せも止まって74キロ台で安定するようになりました。
ジムは自宅から2キロほど離れたところにあるのですが、糖尿病が発覚してからは余程の雨の時以外は歩いて行くようにしています。2キロ歩いてジムに行き、4~5キロをマシンでウォーキングし、また2キロ歩いて家に戻る。習慣になってしまえばこれが非常に心地よい。
なぜ糖尿病で痩せるのか。腸の機能が破壊されて全く栄養を吸収できなくなってしまうからで、それが便秘の原因でもあったわけです。今は腸がおそらく栄養を摂りはじめるようになって、きちんと運動もしているので体重も安定してきている。183センチ、74キロ。BMI(肥満度を表す体格指数)も標準。血糖以外の全数値はコレステロールも中性脂肪も適正範囲に収まっています。
今の僕は、この30年間で一番体の調子がいいという実感があります。還暦カーニバルで僕の生活は一変しました。
第5回は、9月30日公開予定です。
楠木 建
一橋ビジネススクールPDS寄付講座特任教授。専攻は競争戦略。一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。一橋大学商学部専任講師、同助教授、ボッコーニ大学経営大学院(イタリア・ミラノ)客員教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科助教授、同ビジネススクール教授を経て2023年から現職。有名企業の経営諮問委員や社外取締役、ポーター賞運営委員(現任)などを歴任。1964年東京都目黒区生まれ。
著書に『絶対悲観主義』(2022年,講談社+α新書)、『逆・タイムマシン経営論』(2020年,日経BP,共著)、『「仕事ができる」とはどういうことか?』(2019年,宝島社,共著)、『室内生活:スローで過剰な読書論』(2019年,晶文社)、『すべては「好き嫌い」から始まる:仕事を自由にする思考法』(2019年,文藝春秋)、『経営センスの論理』(2013年,新潮新書)、『ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件』(2010年,東洋経済新報社)ほか多数。
楠木特任教授からのお知らせ
思うところありまして、僕の考えや意見を読者の方々に直接お伝えするクローズドな場、「楠木建の頭の中」を開設いたしました。仕事や生活の中で経験したこと・見聞きしたことから考えたことごとを配信し、読者の方々ともやり取りするコミュニティです。
この10年ほどX(旧・Twitter)を使ってきて、以下の3点について不便を感じていました。
・140字しか書けない
・オープンな場なので、仕事や生活経験の具体的な中身については書きにくい
・考えごとや主張をツイートすると、不特定多数の人から筋違いの攻撃を受ける
「楠木建の頭の中」は僕のXの拡張版というか裏バージョンです。もう少し長く書ける「拡張版」があれば1の問題は解決しますし、クローズドな場に限定すれば2と3の不都合を気にせずに話ができます。加えて、この場であればお読みいただく方々に質問やコメントをいただき、やりとりするのも容易になります。
不定期ですが、メンバーの方々と直接話をする機会も持ちたいと思います。
ビジネスや経営に限らず、人間の世の中について考えることに興味関心をお持ちの方々のご参加をお待ちしております。DMM社のプラットフォーム(月額500円)を使っています。
お申し込みはこちらまで
https://lounge.dmm.com/detail/2069/
ご参加をお待ちしております。
シリーズ紹介
楠木建の「EFOビジネスレビュー」
一橋ビジネススクール一橋ビジネススクールPDS寄付講座特任教授の楠木建氏の思考の一端を、切れ味鋭い論理を、毎週月曜日に配信。
山口周の「経営の足元を築くリベラルアーツ」
山口周氏をナビゲーターに迎え、経営者・リーダーが、自身の価値基準を持つための「リベラルアーツ」について考える。
協創の森から
社会課題の解決に向けたビジョンの共有を図る研究開発拠点『協創の森』。ここから発信される対話に耳を傾けてください。
新たな企業経営のかたち
パーパス、CSV、ESG、カスタマーサクセス、M&A、ブロックチェーン、アジャイルなど、経営戦略のキーワードをテーマに取り上げ、第一人者に話を聞く。
Key Leader's Voice
各界のビジネスリーダーに未来を創造する戦略を聞く。
経営戦略としての「働き方改革」
今後企業が持続的に成長していくために経営戦略として取り組むべき「働き方改革」。その本質に迫る。
ニューリーダーが開拓する新しい未来
新たな価値創造に挑む気鋭のニューリーダーに、その原動力と開拓する新しい未来を聞く。
日本発の経営戦略「J-CSV」の可能性
日本的経営の良さを活かしながら利益を生み出す「J-CSV」。その先進的な取り組みに迫る。
ベンチマーク・ニッポン
日本を元気にするイノベーターの、ビジョンと取り組みに迫る。
デジタル時代のマーケティング戦略
マーケティングにおける「デジタルシフト」を、いかに進めるべきか、第一人者の声や企業事例を紹介する。
私の仕事術
私たちの仕事や働き方の発想を変える、膨らませるヒントに満ちた偉才たちの仕事術を学ぶ。
EFO Salon
さまざまな分野で活躍する方からビジネスや生活における新しい気づきや価値を見出すための話を聞く。
禅のこころ
全生庵七世 平井正修住職に、こころを調え、自己と向き合う『禅のこころ』について話を聞く。
岩倉使節団が遺したもの—日本近代化への懸け橋
明治期に始まる産業振興と文明開化、日本社会の近代化に多大な影響を及ぼした岩倉使節団。産業史的な観点から、いま一度この偉業を見つめ直す。
八尋俊英の「創造者たち」~次世代ビジネスへの視点~
新世代のイノベーターをゲストに社会課題の解決策や新たな社会価値のつくり方を探る。