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「Hitachi Social Innovation Forum 2016 TOKYO」において、株式会社日立製作所 執行役社長兼CEO 東原敏昭が「デジタル技術と協創で加速する社会イノベーション」と題した基調講演を行いました。「協創」「つなぐ」をキーワードにした日立の社会イノベーション事業の進化について、ヒューマノイドロボット「EMIEW3」によるデモンストレーションや、具体的な事例の紹介をまじえてお話ししました。

1. 世界の変化と日立の社会イノベーション

本日は、日立の取り組む社会イノベーション事業の進化について、具体的なソリューション事例や新しい取り組みなどもご紹介しながら、説明してまいります。はじめに、「世界の変化と日立の社会イノベーション」について。次に、新たな価値を創出するキーワードである「協創」と「つなぐ」取り組みについて。そして、協創して、つないで創り出した、「価値創出事例」をご紹介し、最後に、「豊かな社会の実現に向けて」、日立がめざすべき姿についてお話ししたいと思います。

まず、世界の変化と日立が取り組んでいる社会イノベーション事業についてお話しいたします。いま、グローバル化、デジタル化の進展に伴い、人々の価値観や社会の環境が多様化、複雑化しています。また、UberやAirbnbなど、デジタル技術を活用した革新的なサービスが出現しています。皆さま方もスマートフォンの登場により、生活パターンが大きく変わったのではないでしょうか。このように現在、プレイヤーやライフスタイルが劇的に変わりつつあり、その変化のスピードは飛躍的に高まっています。一方で、英国のEU離脱や世界各地の自然災害、紛争など、人々の想定を超えた「ブラック・スワン」的事象が頻発し、「不確実性の時代」ともいわれます。

同時に、世界各地でデジタル化の取り組みが加速しています。北米では「Industrial Internet」、欧州では「Industrie4.0」、中国では「中国製造2025」といった、産業や社会インフラを中心に新たなイノベーションを創出する取り組みが加速しています。デジタル化の進展に伴い、人々の嗜好も「モノからコト」へ、「占有からシェア」へ、「クローズドからオープン」へ、「個別最適から全体最適」へと大きく変化しており、サービスや技術においても、人や社会を中心に考える方向へと、パラダイムシフトが起きています。

このような中、課題先進国といわれる日本は、超スマート社会を実現する「Society5.0」を進め、世界をリードしていこうとしています。第5期科学技術基本計画で提唱された「Society5.0」においては、「スマート生産システム」「高度道路交通システム」「エネルギーバリューチェーン」「新たなものづくりシステム」「地域包括ケアシステム」など11分野のシステム開発を先行して進めるとともに、一人ひとりがイノベーション創出に参加することで「社会課題の解決」と「経済発展」を同時に実現する、ということをめざしています。

画像: 1. 世界の変化と日立の社会イノベーション

「不確実性の時代」「デジタル化」を先取りし、「新たな価値」を創出していく原動力の一つは、デジタル技術で裏打ちされた「データの利活用」です。これによって課題を見える化し、解決策を構築し、新たな価値創出につなげていきます。原動力のもう一つは「オープンイノベーション」です。変化のスピードが飛躍的に高まる中で、組織や産業、地域などの枠を超え、人々が一体となって知を結集して新たな価値を創出する「オープンイノベーション」のアプローチは、欠かすことができません。この「データの利活用」「オープンイノベーション」により、不確実性の脅威やデジタル化の潮流を価値創出のチャンスに変えることができると、私は確信しています。

こうした中で日立は、社会インフラ事業を通じて培った現場システムのOT(Operational Technology)と、状況を分析して経営を支援するIT(Information Technology)、そして多彩なプロダクトやシステムの組み合わせによる「社会イノベーション事業」を展開し、デジタル化の潮流を先取りしてきました。

日立は「電力・エネルギー」「産業・流通・水」「アーバン」「金融・公共・ヘルスケア」の4分野を中心に、進化した社会イノベーション事業で皆さまとの協創を加速し、新たな価値を創出することで、IoT時代のイノベーションパートナーになることをめざしています。その際に皆さまと共有したいキーワードは、「協創(Collaborative Creation)」、そして「つなぐ(Connect)」です。

2.「協創」――お客さまの新たな価値創出に向けて

それでは、一つ目のキーワードである「協創」について、それを加速させる取り組みをご紹介します。日立の「協創」は、お客さまの新たな価値を創出するため、お客さまの課題やビジョンを共有し、見える化し、ビジネスモデルをデザインし、できたコンセプトやプロトタイプを検証・シミュレーションすることで具現化していくプロセスです。日立ではこの一連のプロセスを「NEXPERIENCE」というフレームワークとして体系化し、お客さまとともに活用しています。

画像: 2.「協創」――お客さまの新たな価値創出に向けて

「NEXPERIENCE」の中には、お客さまの真の課題とビジョンを共有するための以下の取り組みがあります。

○エスノグラフィ調査:ビジネスやサービスの現場で実際の行動をつぶさに観察し、隠れたニーズや本質的な課題を明らかにする手法。

○Exアプローチ:お客さまと日立のコンサルタント、デザイナー、エンジニアなど、異分野の専門家をまじえたワークショップなどを通じて課題を徹底的に共有し、ビジョンを定め、その上で解決策としてのビジネスモデルやサービスをお客さまとともに考えていく取り組み。

○ビジョンデザイン:10~20年先の社会課題や、人々の価値観の変化の潮流(きざし)を踏まえて、あるべき未来像を描くアプローチ。

1)エスノグラフィ調査

エスノグラフィ調査は、徹底した観察を行うことで現場の潜在的な課題やニーズを深く理解し、本質的な課題を把握するための手法で、2003年から導入しています。エネルギーや鉄道などの大規模な社会インフラの現場や製造現場、駅・街づくり、身近な生活シーンまで、あらゆるフィールドを対象としています。

調査においては、お客さまの現場に、現場の方々と同じ服装のリサーチャーやデザイナーが入り込んで、終日、行動をともにします。現場のチームの一員として信頼関係を築きあげ、作業の深い部分や作業している人のメンタリティまで把握していきます。机上の調査やアンケート、ヒアリングでは得られない本質的な課題や知見を現場から抽出する手法として、日立では世界中で活用しています。

2)「NEXPERIENCE/Cyber-Proof of Concept(Cyber-PoC)」

課題やビジョンを共有し、ビジネスモデルを構築した後は、それがしっかりと機能し、適切なリターンが上がるかどうか、事前の効果検証が必要となります。「NEXPERIENCE/Cyber-Proof of Concept」というデジタル・シミュレーション・ツールを用いれば、サイバー空間上で、短期間に効率的に検証することができます。

また、投資コストや運用コスト、投資対効果などのKPIや事業価値を日立のシミュレーション技術を用いて見える化することで、スピーディーな経営判断に貢献することができます。すでにエネルギー、ロジスティクス、駅ナカ、病院経営など、さまざまな分野のソリューションに活用しています。

○駅ナカソリューションの例
駅構内の人流解析により、朝のラッシュ時間の混雑緩和を見える化した例をご紹介します。

画像1: 2)「NEXPERIENCE/Cyber-Proof of Concept(Cyber-PoC)」

首都圏のある駅では、駅改札内の階段やホームに監視カメラを設置し、駅構内の状況を駅務室などでモニタリングしています。しかし、カメラの設置場所が限られており、死角になった箇所の混雑状況は把握できません。ここに駅構内の可視化ソリューションを導入すると、人流推定技術により、駅全体の人の流れを俯瞰できるようになります。さらに、ホームやコンコースの混雑度、混雑のためにかかる余分な移動時間の累計など、駅構内の問題を的確に把握できるようになり、駅のサービスレベルをさまざまな形で評価することができます。

では、駅構内の問題に対し、どのような策を打てるでしょうか。人流制御ソリューションを導入すると、過去の人流データを用いてさまざまな混雑緩和施策を試し、その効果を測ることができます。まず、改札付近の混雑を緩和するために、9台ある改札すべてを両側通行から片側通行に変えてみましたが、混雑はそれほど緩和されることなく、混雑による損失時間がごくわずかに改善しただけでした。

次に、乗客の流れから、ホームへ向かう2個の階段のうち一方のみで混雑が生じていることがわかったため、サイネージを設置して人の流れを左右の階段に分散させる方法を考えてみました。すると人の流れが分散されて混雑が緩和され、損失時間も改善されました。これらのソリューションによって得られた業務ノウハウは蓄積、伝承できることから、駅のサービスレベル向上に寄与します。

画像2: 2)「NEXPERIENCE/Cyber-Proof of Concept(Cyber-PoC)」

3.「つなぐ」――IoTプラットフォーム「Lumada」

次に、二つ目のキーワード「つなぐ」の取り組みをご紹介します。デジタル化の急速な進展の中で「協創」のプロセスをスピーディーに回していくには、多くのステークホルダーがより多くのアイデアやデータを持ち寄る、オープンでセキュア(安全)なプラットフォームが欠かせません。日立はIoTプラットフォーム「Lumada」を立ち上げ、5月よりサービスを開始しました。この「Lumada」は、お客さまのデータに光を当てて輝かせるという意味の、“illuminate”+“data”の語をもとに名づけられました。

画像: 3.「つなぐ」――IoTプラットフォーム「Lumada」

「Lumada」はお客さまとの課題共有や分析、見える化、ビジネスモデルデザイン、検証・シミュレーション、そしてソリューションやサービスの提供に至るまで、お客さまとの一貫した「協創」を可能にします。同時に、お客さまの経営課題と、現場から集めてきたマシンデータ、ヒューマンデータ、ITシステム上のビジネスデータをデジタル技術で「つなぎ」、新たな価値を創り上げるIoTプラットフォームでもあります。

「Lumada」の特長は三つあります。まず、多くの方が利用可能な「オープン」なアーキテクチャであること。次に、「適用性」が高く、お客さまがお持ちのシステムと簡単につなげられるだけでなく、「Lumada」上でお客さまが業種を超えたさまざまなシステムとつながることができること。三つ目が、日立の社会イノベーション事業の経験・実績に裏づけされた「高信頼」なプラットフォームであることです。

将来的には、皆さま方に「Lumada」に参加していただき、資材調達や品質保証、財務、人事、コミュニケーションなど企業活動に不可欠なオペレーションも含めて、「Lumada」上のデジタルソリューションとしてご利用いただける形に発展させていきたい。そして、皆さまと「Lumada」上でつながることで「Lumada」を「Society5.0」を支えるエコシステムとして育て上げ、日本がリードする超スマート社会の実現に貢献していきたいと考えています。

この「Lumada」を支えるコア技術として、人工知能とアナリティクス、ロボティクスについて紹介いたします。

1)人工知能

日立の考える人工知能は、人を代替するのではなく、人と共存し、人を支援するテクノロジーです。人間にとって脅威となるものではなく、人の思考パターンを超え、多様化する社会やビジネスに自動で適応し、人が気づかない知見を見出すことで新たな価値創出に貢献するテクノロジーと考えています。

日立の人工知能 「Hitachi AI Technology/H」(以下、Hという)の特長は二つあります。まず一つ目は、「汎用AI」であることです。ボードゲーム向けなどに開発された「専用AI」ではなく、プログラムを変えることなく、日々の業務や設備、システムなど、さまざまな用途に、Hを「つなぐ」だけで結果を導く、世界初の商用「汎用AI」です。もう一つの特長は、「目標設定」と「最終判断」は人が行うということです。人が与えた目標に対してHが自ら学習し、成長しながら結果を出していきます。

ここで、Hの持つ「汎用性」がわかるデモをご覧いただきます。これは、ブランコを漕ぐロボットですが、このコードの先に、日立のHがつながっています。Hには「ブランコの振り幅を最大にする」という目標を与えるだけで、事前にブランコに関する知識は一切インプットしていません。Hは初めはただやみくもにブランコを漕いでいますが、徐々にコツをつかみ始めます。そして、ひざを曲げるタイミングを学習し、人と同じような漕ぎ方ができるようになります。Hはその後さらに学習し、前と後ろの両方でひざを曲げるという技を見出すに至りました。人はなかなか前でひざを曲げることはできませんが、Hは力学的に非常に合理的な方法を導き出したのです。このように試行錯誤しながら、目標を最大にするためのパラメータを見出し、学習しながら目標を達成していきます。

画像: 1)人工知能

次に、Hをブランコのロボットから、鉄棒のロボットにつなぎ替えて、確認してみたいと思います。やはり初めはやみくもに体を振っているだけですが、徐々にコツをつかみ、人のように足を振ることができるようになってきます。パラメータである「足を振るタイミング」を自ら学び、やがて人を超える大きな振りをするようになります。異なるロボットにつないでも自ら学習しながら目標を達成する様子から、Hの汎用性がおわかりいただけるのではないでしょうか。

Hはすでに14分野57案件で生産性の向上や運転コスト削減、電力消費削減などに貢献しています。例えば流通分野では、店舗や業界の知識を与えず、お客さまの流れや陳列している商品などのデータだけを活用したところ、Hが売上が最も高くなる「店員の立ち配置」を提案し、顧客単価を15%向上させました。

物流分野では、需要変動や現場の改善活動を理解した上で業務改善の提案をするように指示したところ、「作業の最適な優先順位」などを提案して生産性を10%以上向上させました。また、コールセンターでは、従業員のコミュニケーションの状況を踏まえ、昼休みに誰と会話をすれば生産性が向上するかなど、コミュニケーションの改善策を提案することによって、受注率を27%向上させています。

2)アナリティクス

データアナリティクスは、データから価値を創出する際の重要なコア技術です。ここでご紹介するソフトウェア「Pentaho」は、実際に「つなぐ」ことが困難なさまざまなデータを迅速に、統合、分析、可視化する際に役立ちます。企業内のERPなど一定のルールに基づく「構造データ」や、SNSの画像、音声、テキストのようなさまざまな「非構造データ」など、100種類以上のデータフォーマットに対応し、データ分析の専門家がいなくても迅速にデータを統合、分析、可視化できる点が特長です。「Pentaho」は金融、公共、流通分野など、グローバルで1,500ものお客さまにビッグデータアナリティクスによるソリューションを提供しています。

たとえば船舶業界においては、船舶内の機器に取り付けられたセンサーから得られるデータや整備記録を取り込み、航路や位置、天候データなどと組み合わせて統合、分析、可視化することで、船舶の稼働効率の向上、燃料費の低減、効率的なパーツ交換などを実現し、その結果、1隻あたり年間50万~150万ドルのコスト削減に貢献しました。

マイニング分野では、過去の油井掘削データを分析して最適な掘削計画を立てることで、プロジェクト全体コストを最大で60~80%減らすことに成功しました。また、金融分野では「米国金融規制機構」向けに不正取引の検知システムを導入。数兆件におよぶ膨大な証券や株式取引データを統合・蓄積しながら不正な取引傾向を分析し、アラートをあげることで、不正取引の見逃しの低減に貢献しています。

3)ロボティクス

日立は、ヒューマノイドロボット「EMIEW」の公共施設での活用をはじめ、物流、製造、モビリティなど、さまざまな分野で活躍するロボットの開発を行っています。日立のロボティクスは、ロボット単体で完結するのではなく、IoTのセンサー、またはエッジコンピュータとして現場のデータをクラウド上のロボットIT基盤に伝え、最適解をリアルタイムで現場にフィードバックするのが特長です。ロボットIT基盤を通じて複数のロボットが連携できることから、現場から得た最新の情報を多くの現場にフィードバックすることも可能です。

EMIEWは時速6㎞での自律走行、人と対話するための画像・言語認識のほか、ロボット間のリアルタイム・コミュニケーションもできます。今からEMIEW君に出てきてもらって、実際にどういうことができるのか、その一端をご紹介したいと思います。

東原社長
「ねえ、EMIEW君、君とシステムが連携するとどんなことができるのか示してもらえますか」

EMIEW
「わかりました。お任せください。(会場のスクリーンに展示会場の映像が映し出される)こちらは、展示会場の様子です。このように会場のシステムとつながり、情報を共有することができます。さらに、映像を解析し、業務システムと連携することで、目の前にいる人の情報を取得できます。あっ、この人は僕の開発チームのメンバーです。展示会場で行うデモの確認をしているのかな。このように、業務データやセキュリティ、認証などと連携することで、いろいろお客さまのお役に立てると思っています」

東原社長
「EMIEW、どうもありがとう」

EMIEW
「どういたしまして」

画像: 3)ロボティクス

多様なシステムがロボットIT基盤と連携することで、公共機関や交通機関、病院、金融機関など、さまざまな分野で人々をアシストできるようになります。すでに羽田空港や東京駅で道案内の実証実験も始まるなど、近い将来のサービスインに向けて、着々と準備を進めています。

4. 価値創出事例――「協創」を「つないで」新しい価値を創出

次に、「Lumada」のコア技術を中心に、「協創」を「つなぐ」ことで、新しい価値創出を行った事例をご紹介します。

1)スマート製造1:大みか事業所×日立(社内複数部門の協創)

日立大みか事業所では、制御用の機器の多品種少量生産を行っています。この事業所において、生産現場のデータ(OTデータ)と、経営の業務データ(ITデータ)を「つなぎ」、一元的に「見える化」したことで、設備の稼働率を向上させました。具体的には、生産現場に導入していた約8万個のRFIDタグによる「生産監視システム」に、画像分析などを用いて作業や設計の改善を行う「作業改善システム」と、受注や納期、生産実績データをもとに最適な生産計画を立てる「工場シミュレーター」などを「Lumada」上でつなぎました。これにより代表製品のリードタイムが約50%短縮し、生産実績が大幅に改善しました。

2)スマート製造2:ダイセル×日立

エアバッグの基幹製品を製造している株式会社ダイセルの播磨工場では、画像解析システムと製造実行管理システムを「つなぐ」ことで、品質保証効率の改善をめざしています。ここでは特殊なカメラを使って、目視検査を行う作業員の手やひじ、肩などの関節の位置を検知し、標準動作からの逸脱状態をモニタリングし、逸脱動作が発生した場合、直後にアラームで警告します。監督者にもアラームが届き、監督者が現場に来て指導します。これにより目視検査の漏れなどを減少させ、トラブルや不具合を未然に防ぐことが可能となりました。

3)FinTech:三菱東京UFJ銀行×日立

デジタル化が進展する一方、セキュリティリスクも拡大する中で、金融機関には業務効率の向上やコスト削減と同時に、新たな金融サービスの開発も求められています。日立は株式会社三菱東京UFJ銀行と、シンガポールの金融当局が設けた取引の枠組みを使い、ブロックチェーン(分散型台帳技術)を活用した小切手の電子化サービスの実証実験を開始しました。ブロックチェーン技術の活用における課題抽出と実装検証を進め、さまざな分野のビジネスと融合した新たなFinTechサービスの協創を進めていきます。

4)Public Safety:米国スポーツ団体×日立

日立は米国で最も人気の高いスポーツイベントにおいて、750台の監視カメラ、顔認証システム、不審ドローン検知システムなどのフィジカルセキュリティと、ツイッター監視などのサイバーセキュリティを組み合わせたPublic Safety ソリューションを提供しました。サイバー空間からフィジカル空間まで、あらゆるセキュリティ技術を「つなぐ」ソリューションにより、数万人が来場する大イベントを安全に運営することができました。

画像: 4)Public Safety:米国スポーツ団体×日立

5. 豊かな社会の実現に向けて

最後に、これから日立がめざしていく姿についてお話しします。

1)つなぐ社会イノベーション:産業・流通

産業・流通分野において、日立は製造業、金融業界、流通業界など、それぞれにソリューション・価値を提供してきましたが、そうした個々の社会イノベーションをデジタル技術で「つなぐ」ことで、製造現場から調達、決済、eコマース、物流、流通までを含めて、産業・流通業界のバリューチェーン革新に貢献できると考えています。

2)つなぐ社会イノベーション:アーバン

地域コミュニティでも、エネルギーや鉄道をはじめとする社会インフラや、ビジネス空間や商業エリア、住空間に提供してきた社会イノベーションをデジタル技術で「つなぐ」ことで、より快適で便利なコミュニティを実現できます。例えば、駅構内の人流解析と駅ビルの店舗配置の連動や、鉄道の回生エネルギーの活用による駅ビル全体のエネルギー効率向上など、さまざまな分野を「つなぐ」ことで、そこで働く皆さまの暮らしの質、クオリティ・オブ・ライフの改善に貢献していきます。

3)つなぐナレッジ

世界の優れた研究機関や大学は、社会の抱える課題の解決につながる英知、技術を持っています。日立はこれらの世界各国のナレッジと「つながる」ことで、「人」や「くらし」「価値観」への理解を深め、 より深い知見や幅広い洞察に基づいた協創を進めています。

不確実性が高まりデジタル化が加速する中、課題の解決に向けて新たな価値を創出していくためには、皆さまとの「協創」と、データやナレッジを「つなぐ」ことが重要です。ビジネスとビジネス、インダストリーとインダストリー、データとデータ、人と人、コミュニティとコミュニティ、そして産官学をデジタルでつなぎ、課題を解決しながら大きな価値を創出し、そこに暮らす一人ひとりのクオリティ・オブ・ライフを向上させる。それがIoT時代のイノベーションパートナー、日立のめざす姿です。未来はオープンであり、アイデアで変えていくことができます。日立は、個々の取り組み、社会イノベーションを「つなぐ」ことで、皆さまとともに新たな価値を創出してまいります。

画像: 3)つなぐナレッジ
画像: 東原敏昭 株式会社日立製作所 執行役社長兼CEO

東原敏昭 
株式会社日立製作所 執行役社長兼CEO

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「Hitachi Social Innovation Forum 2016 TOKYO」 基調講演 - 日立(YouTubeサイト) >

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