同社の強みと日立グループの一員としてのビジョンについて、2025年2月に社長兼CEOに就任したスリニヴァス(スリニ)・シャンカール氏にインタビュー。その模様を3回にわたってお届けする。「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」という日立グループの企業理念のもと、両社はシナジーにより次々とデジタルイノベーションとグローバル変革の先進事例を生み出している。「真のOne Hitachi」をめざし、デジタルで世界の変革をリードする新しい協創のかたちがここにある。
協創型エンジニアリングの原点
GlobalLogicは2000年に米国シリコンバレーで設立されました。創業時は世界的なテック企業をはじめとする独立系ソフトウェアベンダーの製品開発を手がけていましたが、当初から私たちが意識していたのは、単に開発を請け負う存在ではなく、お客さまと協力して製品とその価値を創造するパートナーであるということでした。
その思想は、のちに「ラボモデル」へと発展します。これは、お客さま企業の中に専用チームを設置し、「ゼロディスタンス(お客さまとの距離ゼロ)」のアプローチで長期的にお客さまと価値を「協創」するというスキームです。当社のエンジニアたちはお客さまの開発組織の一部として機能し、お客さまの戦略や企業文化を深く理解した上で仕事にあたります。この協創スキームがGlobalLogicの独自性であり、シリコンバレーの多くのテクノロジー企業から高く評価されてきた要因の一つです。
創業から数年後、通信や医療、モビリティ、メディアなどの分野を中心に、産業界はSDx(Software Defined anything:あらゆるものがソフトウェアで定義される)時代へと急速に移行していきました。その変化を追い風に、私たちはデジタルエンジニアリングのリーディングカンパニーへと成長。現在、世界25カ国に約3万2,000人の従業員を擁し、約600社のお客さまと共に事業を展開しています。
またAIのリーディングカンパニーとしても知られており、全社員を対象にAIトレーニングを実施し、組織全体でのAI活用を積極的に推進しているほか、2,000人のAIデータエンジニアとエキスパートを含む、16,000人のAI人財を擁し、500件以上の製品エンジニアリング実績を誇っています。業界をリードする専門知識と能力は、ISGプロバイダーLensから生成AIサービスのリーダーとして2024年に認定されるなど、世界的に高い評価を得ています。


日立グループとのケイパビリティ融合
2021年、私たちは日立グループの一員となりました。当時、GlobalLogicの社名は日本ではほとんど知られていなかったため、日立がこの買収に巨額の投資を行ったことは大きな話題となりました。ただ注目していただきたいのは金銭的なことではなく、このM&Aが日立の社会イノベーションを次の段階に進めるためのケイパビリティの融合を意味していたということです。
日立は110年以上の歴史を持ち、エネルギー、モビリティ、社会インフラ、産業などの領域で蓄積してきたOT(Operational Technology)とプロダクト、そしてITという3つの強みを活用したLumada事業をグローバルに展開しています。Lumada事業は、最新のデジタル技術によりお客さまのデータから価値を創出し、ユーザーエクスペリエンスの設計から製品やサービスの開発・改善に至るビジネス創出プロセスやデジタルイノベーションをEnd-to-Endで支援する協創スキームを特長としています。
GlobalLogicの協創アプローチもまた、お客さまのデジタルジャーニーをEnd-to-Endで支援する点を特長とします。デザイン思考でユーザーエクスペリエンスを設計するデザイナー、デジタル戦略を策定するアドバイザー、豊富な専門知識を持ち短期間にプロダクトを開発・実装するエンジニア、AIを活用したデータ分析によりインサイトを獲得するデータサイエンティストなどのプロフェッショナル人財が「ラボ」としてチームを組み、グローバル規模での協創を通じてお客さまのデジタルイノベーションを加速、新たなデジタル製品やユーザーエクスペリエンスの開発を支援しています。

日立とGlobalLogic、協創アプローチの符合
つまり、GlobalLogicのアプローチはLumadaの協創アプローチと合致し、補完するものだと言えます。日立とGlobalLogicの融合は、これまで日立がLumadaを通じて蓄積してきたデジタルソリューションのグローバル展開を加速し、お客さまや社会が直面する課題の解決をめざす社会イノベーション事業の強化につながっています。さらに、日立がめざす「真のOne Hitachi」――エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズ、デジタルシステム&サービスの4セクターで展開する日立グループの各事業を、デジタルをコアに強く連携させ、日立ならではの価値を創出する――その実現を加速するものです。
私がGlobalLogicに入社したのは2023年のことですが、私たちと日立、それぞれのこれまでの歩みと、こうした融合の意味にとても魅力を感じました。そして2025年2月に社長兼CEOに就任したときには、革新的で創造的なGlobalLogicを率いることを誇りに思うと同時に、日立グループの一員として、社会や地球環境に大きな影響をもたらすデジタル製品・サービスのデザインやエンジニアリングを通じてお客さまの変革を支援し、日立が注力する社会イノベーションの実現に取り組めることに大きな高揚感を覚えました。
第2回は、2月9日公開予定です。


スリニ・シャンカール(Srini Shankar)
GlobalLogic 社長兼CEO。2023年にGlobalLogic入社、最高事業責任者およびグローバルインダストリー部門の責任者として、業界別事業部門におけるGo-to-Market戦略の加速を主導。2025年2月より現職。約30年にわたるデジタルビジネスとリーダーシップの経験を生かし、企業ビジョンの策定から事業戦略の実行、グローバル組織の運営まで、全体を統括するリーダーとして同社の成長と変革を牽引している。
Birla Institute of Technologyで工学の学士号を、Indian Institute of Managementで経営学修士号(MBA)を取得。GlobalLogic入社以前はCognizantおよびInfosysにて複数の重要なリーダー職を歴任し、市場の拡大と持続的な成長に貢献してきた。現在は家族とともにニュージャージーに在住。オフにはテニスや歴史書、旅行を楽しむ。
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