Z世代のリーダー2人と、企業における人財育成、事業開発のエキスパート3人によるシンポジウムも、活発な議論の中、幕を閉じました。その総括として、5人の方々の思いを最後に披露していただいた。

「第1回:サステナブルを自分ごとに」はこちら>
「第2回:気候危機下で私たちができること」はこちら>
「第3回:イノベーションの敷居を下げるには?」はこちら>
「第4回:起業の原点となった志とは?」はこちら>
「第5回:サステナブル時代の人財開発戦略とは?」はこちら>
「第6回:サステナブル時代の人財育成のあり方とは?」はこちら>
「第7回:組織におけるイノベーションの仕組み」はこちら>
「第8回:社会課題を自分ごと化して創る未来」

イノベーションのストリートとしてのSHIBUYA QWS

佐藤
それではパネルディスカッションを終えまして、拙いですがまとめさせていただきたいと思います。じつは、今回のタイトルは佐座さんたちとディスカッションして決めました。会社に相談すると「Z世代に興味あります」ということもありこの企画につながりました。社内から「Z世代と、じゃないほうの人たちの対決ですか」なんて言われましたが、二項対立ではなく、融合し合う形にしたかったのです。

Z世代の若い2人の話を参考として、企業組織の人財育成の観点、またイノベーションの仕組みという観点について新たな視点を取り入れていただけたんじゃないかなと思います。

このSHIBUYA QWSという場所で、佐座さん、山内さんも、日々活動されていて、本当にストリートのような場でパフォーマンスをして、それに対して惜しみない応援をいただく。またお互いに学び合う、そして自分ごと化するっていう影響を与えていただくような場を提供していただいてます。渋谷らしい、イノベーションのストリート、交差点でこれからも頑張っていただきたいと思います。
では、登壇者の皆さんに簡単に一言ずついただきたいと思います。

実学で身につけた視点をポジティブサイクルに

佐座
皆さんもいろいろな取り組みにおいて、社会を本当に変えようとしている中、ただ社会貢献で終わらせるだけでなく、ビジネスとして皆さんが参加できるように取り組みのお話を聞けて本当に嬉しかったです。

また、若者たちを育成して、そのパワーを環境保護やサステナブルな方向に行けるように使っていただければと思っています。日立や東急の社員さん、そして関わってくる若者たちと、どんどんアイデアを一緒に創出して、協創できればと思います。

ディスカッションを通じて「自分ごと化」の重要性が語られた。

山内
何かに挑戦をするときに、まず自分たちの居る場所を確認するのはすごく大事です。持っているアセット、活用できるアセットから自覚をしていくのが大事かなと。その上で、自分の会社でしかできない、自分の会社でしか起こせないイノベーションを重要な軸として考えていくと、新しいイノベーションが生まれていくのかなと思ってますし、それに対しては、会社もどんどん許容していくはずです。

座学よりも実学だと僕は思っています。それ通して気づいたことが、後から理論を見たときに、すっと自分の中に落とし込まれて、それがまたさらにポジティブなサイクルを回していく。そうした企業文化を、より若者中心につくっていければ、さらに大企業が今持っているアセットが最大限活用されて、世界はより良くなっていくのでは。僕も勉強させていただきたいですし、皆さんのことも応援しています、とお伝えしたいです。

「スタートは志」に尽きる


Z世代という括り方には留保したいところもありますが、そういう人たちとお話をする機会はありそうでないものですので、2人の活動そのものからくる自信、あるいは信念を感じました。

ある意味で、目をつぶれば容姿は見えませんが、目を開けて見ると、そこには変なレンズが入ることもあるでしょう。それをやってはいけないと改めて感じました。日立の中で、今回のお話をどうやって実のところに落とすかは、難しい部分もあると思います。うまく体質を変えるという表現がいいかもわかりませんけど、何らかのチャレンジをしていきたいと思いますので、引き続きいろいろなご意見をいただけると助かります。

迫田
貴重なお話をありがとうございました。大変力をいただけました。「スタートは志」というところは間違いないことを確信できました。同時に今、ダイバーシティに取り組んでいますが、ジェンダー、カルチャーと、ジェネレーションの三つの柱があるという中で、やはり、ジェネレーションのところを真剣に取り組まねばならないと強く感じました。

SHIBUYA QWSではイノベーションのストリートの拠点になる活動が日々行われている。

東浦
今日はご説明できませんでしたが、東急にも社内起業家育成支援制度があって、若手に限らず、社員はアイデアをどんどん提案して、うまくいけば社長プレゼンを経て事業する仕組みがあります。

私も立場上提案をしてくる人たちと、何度もその事業のアイデアについて考える機会があります。皆さん「ここをこうしたい」とか、志がすごく強いものを持ってるんですけど、ビジネスプランに落とし込むときに、どこかで壁にぶつかったり、隘路に入ってぽしゃってしまうこともあります。今日2人の話を聞いていると、志の高さを元に、知らないまま壁にぶち当たっても、きちんとピボットして今に至るという、すごく柔軟な動きをされてて素晴らしいなと思いました。これからも成長されると期待しております。

佐藤
本日は、どうもありがとうございました。継続して何か実施できたらなと思いますし、また今日をきっかけに、新たな取り組み、チャレンジしていければと思います。ぜひご一緒にいろいろやってまいりましょう。

協力:SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)

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東浦亮典(とううら・りょうすけ)
東急株式会社 常務執行役員(フューチャー・デザイン・ラボ、 沿線生活創造事業ユニット 管掌 沿線生活創造事業部長)
1985年、東京急行電鉄(現・東急)入社。 自由が丘駅駅員、大井町線車掌研修を経て、都市開発部門に配属。 その後、東急総合研究所に出向し、復職後は、商業施設開発やコンセプト賃貸住宅ブランドの立ち上げなど、新規事業を担当。

山内萌斗(やまうち・もえと)
株式会社Gab 代表取締役CEO 
2000年、静岡県浜松市生まれ。静岡大学情報学部行動情報学科2年次休学中(22歳)
東京大学起業家育成プログラムEGDE-NEXT2018年度、同プログラムシリコンバレー
研修選抜メンバー、MAKERS UNIVERSITY 5期生 水野雄介ゼミ代表。大学一年次の2月にシリコンバレーを訪れた際に、人類の存続に必要不可欠な「must haveな事業」をつくることを決意し、同年12月に「ポイ捨てをゼロにする。」ことをミッションに掲げ、株式会社Gabを創業。現在3期目。フォロワー3.9万人のInstagramアカウント「エシカルな暮らし」の運営や、ゲーム感覚ゴミ拾いイベント「清走中」を全国展開など、「社会課題解決の敷居を極限まで下げる。」ことをミッションに掲げて複数の事業を展開中。

佐座槙苗(さざ・まな)
一般社団法人SWiTCH 代表理事
1995年生まれ。カナダUBC卒業。ロンドン大学大学院 サステナブル・ディベロプメントコース在学中。2020年、COP26の延期を問題視した若者たちが設立した「Mock COP26」のグローバルコーディネーターに就任。140ヵ国の代表をまとめ、COP26と各国首相に18の政策提案を行い世界的な注目を浴びる。2021年1月、若者のアイデアや意見を大人世代がサポートし、循環型社会をつくるプラットフォーム「一般社団法人SWiTCH」を設立。代表理事として活躍。

森正勝(もり・まさかつ)
株式会社日立製作所 イノベーション成長戦略本部副本部長
1994年京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、日立製作所入社。システム開発研究所にて先端デジタル技術を活用したサービス・ソリューション研究に従事。2003年から2004年までUniversity of California, San Diego 客員研究員。横浜研究所にて研究戦略立案や生産技術研究を取り纏めた後、2018年に日立ヨーロッパ社CTO 兼欧州R&Dセンタ長に就任。2020年より研究開発グループ 社会イノベーション協創統括本部(統括本部長 兼 東京社会イノベーション協創センタ長。2022年より現職。
博士(情報工学)

迫田雷蔵(さこだ・らいぞう)
株式会社日立アカデミー 取締役社長 
1983年日立製作所入社。電力,デジタルメディア,情報部門の人事業務を担当後,2000年から本社にて処遇制度改革を推進。2005年米国駐在,Hitachi Data SystemsでHR部門Vice President(~2009年)。2012年本社グローバルタレントマネジメント部長,2014年中国・アジア人財本部長,2016年人事勤労本部長,2017年日立総合経営研修所取締役社長。2019年4月に日立アカデミーが設立され,初代社長に就任。

佐藤雅彦(さとう・まさひこ)
株式会社日立製作所 Team Sunrise代表
NGOのIT責任者を経て、2001年日立製作所に入社。情報通信事業のシステムエンジニアリングや新会社設立、M&Aなど新事業企画に従事しながらMBAを取得。本社IT戦略本部などを経て、現在、研究開発グルーブ 社会イノベーション協創センター主任研究員。2006年より社内ネットワーク活動「Team Sunrise」の代表を務める。