社会インフラを革新する社会イノベーションの最前線で進む日立グループとGlobalLogicの協創事例は、新たな業務プロセスで働き方を変革し、持続的な価値創出を可能にしている。安定と変革という相反する要素を共存させ、協創を戦略から「文化」へと変えつつある日立グループとGlobalLogicの融合。その未来像が語られる。

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「第3回:日立グループ全体のケイパビリティを結集し、世界に変革の力を」

ビジネスの最前線で進むデジタルトランスフォーメーション

GlobalLogicは、前回挙げた以外にも多くの協創事例を手掛けています。その直近の例をいくつかご紹介しましょう。

BuilMirai――ビルの価値を高める統合デジタルサービス

日立ビルシステムが提供する「BuilMirai」は、ビル管理の効率化や業務品質の向上、利用者の快適性向上などを実現するLumadaのデジタルサービスです。GlobalLogicはこの開発に参加し、規模の拡大・縮小などにも柔軟に対応できるas a Service 型の「HMAX for Buildings : BuilMirai」へと発展させました。as a Service 型BuilMirai は2025年10月から提供を開始しており、今後、順次サービスを拡充していく計画です。

GlobalLogicがクラウドの設計とUXデザインを主導したこのサービスでは、昇降機をはじめとするビルのさまざまな機器の運用データ、ビルを利用する人々の活動データを収集、ビル管理のドメインナレッジと合わせてクラウド上で分析することにより、メンテナンス品質とエネルギー効率の向上、オペレーションの最適化を実現します。それらの成果は、ビルの居住者や利用者のウェルビーイングとビルの付加価値向上につながります。

原子力メタバースプラットフォーム――データドリブン原子力発電所をめざす

原子力ビジネスユニットとGlobalLogicが共同開発している「原子力メタバースプラットフォーム」は、原子力発電所をメタバース上に再現し、既存発電所の安全対策工事や、今後の新規建設、保全業務、廃止措置などにおいて、設計から現場施工までの作業の効率化を支援します。認証された複数のエンジニアがアバターとなって同時にメタバース空間に入り、現場状況の確認や寸法測定、オンライン会議などを行えるほか、AIを活用した設計図書の検索機能などにより迅速な意思決定を支援します。

今後、設備状態を評価するAsset Performance Managementや資産管理を実現するEnterprise Asset Managementと連携し、メタバースを現場データ活用のプラットフォームへ進化させ、顧客プラントの投資最適化と稼働率向上を支援します。

この取り組みにより、データに基づく発電所運営を実現し、データドリブン発電所の構築をめざします。

建設承認メタバース――業務スタイルを変革する生産プロセスのDX

大成建設と、日立コンサルティング、GlobalLogic Japan、日立ソリューションズは、建設承認プロセスをメタバース上で可視化する「建設承認メタバース―CONSTRUCTION CONTRACT QUEST」を共同開発しました。

このシステムでは、建築物の意匠・構造・設備などのデジタルデータが統合されたBIM(Building Information Modeling)を基にメタバース上に3D建物空間を構築、ゲーミフィケーションも取り入れ、アバターを使って内部を確認できるようにしました。さらに、生成AIを利用して仮想空間で検証した確認から承認に至るまでの議事録などを記録、保管することも可能です。あらゆる情報をデジタル空間で一元管理することにより、従来の建設業における働き方を変え、データやAIと共に未来へつなぐ働き方への変革を支援します。

開発には世界水準の開発力を持つGlobalLogicのインドチームも参画。現場のニーズを短期間で実装することに貢献しました。

このプロジェクトは2025年7月に、一般社団法人日本デジタルトランスフォーメーション推進協会が主催する「日本DX大賞2025 奨励賞」を受賞したほか、11月にはXRコンソーシアムが主催する「AIxRクリエイティブアワード法人部門優秀賞」を受賞し、建設業界のビジネスモデルに変革をもたらすものとして注目されています。

日立グループの一員として、協創文化で世界に変革を

日立グループは、長年にわたり社会インフラを支える中で信頼性や継続性を培ってきました。一方、GlobalLogicがシリコンバレーで磨いてきたのは、変化を前提としたスピードと創造性です。両者の融合は、日立グループに「安定と変革」という一見相反する要素を共存させる新しいビジネスモデルをもたらし、グローバルな成長を加速させています。

GlobalLogicのデザインシンキングやアジャイル開発の技術と文化は、日立グループ各社、各事業部門に広く浸透し始めています。アイデアの初期段階からお客さまやエンドユーザーを巻き込み、プロトタイプを通じて価値を検証するという考え方は、プロダクトを中心としてきた日立の仕事の進め方を根底から変えつつあります。お客さまのそばで、ニーズや課題を深く理解して価値創出につなげるGlobalLogicのゼロディスタンスのアプローチと、日立の社会課題起点の発想が融合したことにより、「協創」は戦略ではなく「文化」になりつつあると言えるでしょう。

デジタルセントリック企業をめざす日立がGlobalLogicに期待しているのは、日立全体のDXを推進する旗手となること、そして日立グループの組織文化を変えるきっかけとなることだと考えています。GlobalLogicのインドや東欧の人財を日本のシステム開発に投入するインソーシングも拡大しており、日本のデジタル人財の不足を補うことも期待されています。

私たちは、「イノベーションで社会の困難な課題を解決する」という日立のビジョンを共有できることを誇りに思います。そして、私たちはAIのリーディングカンパニーとして、AI、特に生成AIやエージェンティック AI、フィジカルAIの活用を通じて、グローバル規模でのデジタルイノベーションをさらに加速させる力を持っています。これにより、単なる効率化やデジタル化にとどまらず、社会に対して具体的で持続的な変革のインパクトを生み出すことが可能になります。GlobalLogicが「真のOne Hitachi」を推進する触媒の役割を果たし、日立グループ全体のケイパビリティを結集して共にEnd-to-EndのDXを実現していくことは、世界に変革の力をもたらすと確信しています。

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スリニ・シャンカール(Srini Shankar)
GlobalLogic 社長兼CEO。2023年にGlobalLogic入社、最高事業責任者およびグローバルインダストリー部門の責任者として、業界別事業部門におけるGo-to-Market戦略の加速を主導。2025年2月より現職。約30年にわたるデジタルビジネスとリーダーシップの経験を生かし、企業ビジョンの策定から事業戦略の実行、グローバル組織の運営まで、全体を統括するリーダーとして同社の成長と変革を牽引している。
Birla Institute of Technologyで工学の学士号を、Indian Institute of Managementで経営学修士号(MBA)を取得。GlobalLogic入社以前はCognizantおよびInfosysにて複数の重要なリーダー職を歴任し、市場の拡大と持続的な成長に貢献してきた。現在は家族とともにニュージャージーに在住。オフにはテニスや歴史書、旅行を楽しむ。