2022年10月21日(金)に開催されたオンラインイベント『楠木建、一問一答』。仕事への構えやキャリアに関する悩み、子育てなど、個人としての生き方、考え方について、読者からさまざまな質問が楠木氏に寄せられた。

「第1回:GDPに代わる指標、など。」はこちら>
「第2回:人的資本経営、など。」はこちら>
「第3回:自由闊達に意見交換できる組織への改革、など。」はこちら>
「第4回:教養教育、日本人の英語力、など。」

Q:もし楠木氏が学校をつくるとしたら?

――楠木先生がもし学校をつくられるとしたら、どんなカリキュラムになるでしょうか。高校、大学などカテゴリーは何でも構いません。長年教鞭を執られてきた楠木先生が考える理想の学校教育像をぜひ伺いたいです。

楠木
僕が考えるのは、「カッコいいとはどういうことか」だけにフォーカスした教育です。スキルには一切触れない。スキルは大切ですが、それを身につける手段は他にある。

一方、センスは千差万別です。「センスいいね」と言っても、山ほど種類がある。いろいろな切り口で、かっこいいとはどういうことかを考え、学生自身に実行させる。対象は大学生くらいの年代です。

どんな分野でも、「カッコいいよね、あの人」と言われる人はいます。その「カッコいい」とはいったいどういうことで、なぜそうなったのか。逆に、かっこ悪いってどういうことだろうか。要するにスタイルであり、「カッコよさ」は、その人の行動に表れる。ここがポイントです。

――楠木先生がよくおっしゃっている「しびれる」も、「カッコいい」ことの1つなのかなと思いました。

楠木
そうです。世の中、カッコ悪い大人がいるものです。そういう人が若者を阻害するんです。例えば、その辺を歩いている大人を2人連れてきて、「この人とこの人、どっちがカッコいい?」と学生に問いかけ、みんなで考える。そんな教育ができたら面白いですね。

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楠木 建
一橋ビジネススクール教授
1964年東京生まれ。幼少期を南アフリカで過ごす。一橋大学大学院商学研究科博士課程修了(1992)。一橋大学商学部専任講師、一橋大学商学部助教授、一橋大学イノベーション研究センター助教授、ボッコーニ大学経営大学院(イタリア・ミラノ)客員教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授、2010年より現職。

著書に『逆・タイムマシン経営論』(2020,日経BP社)、『室内生活 スローで過剰な読書論』(2019、晶文社)、『すべては「好き嫌い」から始まる』(2019、文藝春秋)、『「好き嫌い」と才能』(2016、東洋経済新報社)、『好きなようにしてください:たった一つの「仕事」の原則』(2016、ダイヤモンド社)、『「好き嫌い」と経営』(2014、東洋経済新報社)、『戦略読書日記』(2013、プレジデント社)、『経営センスの論理』(2013、新潮新書)、『ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件』(2010、東洋経済新報社)などがある。

楠木教授からのお知らせ

思うところありまして、僕の考えや意見を読者の方々に直接お伝えするクローズドな場、「楠木建の頭の中」を開設いたしました。仕事や生活の中で経験したこと・見聞きしたことから考えたことごとを配信し、読者の方々ともやり取りするコミュニティです。
この10年ほどTwitterを使ってきて、以下の3点について不便を感じていました。

・140字しか書けない
・オープンな場なので、仕事や生活経験の具体的な中身については書きにくい
・考えごとや主張をツイートすると、不特定多数の人から筋違いの攻撃を受ける

「楠木建の頭の中」は僕のTwitterの拡張版というか裏バージョンです。もう少し長く書ける「拡張版」があれば1の問題は解決しますし、クローズドな場に限定すれば2と3の不都合を気にせずに話ができます。加えて、この場であればお読みいただく方々に質問やコメントをいただき、やりとりするのも容易になります。
不定期ですが、メンバーの方々と直接話をする機会も持ちたいと思います。
ビジネスや経営に限らず、人間の世の中について考えることに興味関心をお持ちの方々のご参加をお待ちしております。DMM社のプラットフォーム(月額500円)を使っています。

お申し込みはこちらまで
https://lounge.dmm.com/detail/2069/

ご参加をお待ちしております。