特定非営利活動法人クロスフィールズが提供する留職プログラムとは、具体的にどんな内容なのか。第4回の主人公は、株式会社日立製作所の留職第5期生として、2015年1月から8週間にわたりインドのある企業で業務に取り組んだ、同情報・通信システム社の若手技術者、増田周平氏。サポートを担当したクロスフィールズの三ツ井稔恵(としえ)氏の同席のもと、2週間前に帰国したばかりの増田氏に話を聞いた。

画像: プロフィール 増田周平(ますだしゅうへい) 1986年、徳島県生まれ。徳島大学工学部電気電子工学科卒業、大阪大学大学院工学研究科博士前期課程電気電子情報工学専攻修了。2011年、株式会社日立製作所 情報・通信システム社に入社し、技術者として当時のエンタープライズサーバ事業部第二サーバ本部に配属。その後、情報ITプラットフォーム事業本部BladeSymphony設計部を経て、現在、同・プラットフォーム設計部に所属。入社以来、大企業向けサーバのハードウェア設計に携わっている。同社の留職第5期生。

プロフィール
増田周平(ますだしゅうへい)
1986年、徳島県生まれ。徳島大学工学部電気電子工学科卒業、大阪大学大学院工学研究科博士前期課程電気電子情報工学専攻修了。2011年、株式会社日立製作所 情報・通信システム社に入社し、技術者として当時のエンタープライズサーバ事業部第二サーバ本部に配属。その後、情報ITプラットフォーム事業本部BladeSymphony設計部を経て、現在、同・プラットフォーム設計部に所属。入社以来、大企業向けサーバのハードウェア設計に携わっている。同社の留職第5期生。

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リーダーシップとは何かを突き止めたい

画像: リーダーシップとは何かを突き止めたい

株式会社日立製作所 情報・通信システム社が初めて留職プログラムを導入したのは、2013年。以来、2014年まで4期にわたって若手技術者を留職に送り出してきた。それまでの留職者は、いずれも所属部署の上長による推薦だった。しかし、留職経験者による社内報告会を重ねたことで、社員の間で留職への理解が浸透。参加を希望する声が増えたため、第5期で初めて留職者を公募することになった。その第5期留職の社内公募に手を挙げ、選ばれた6名の一人が増田周平氏。この4月で入社5年目を迎えた、28歳の若き技術者だ。

「大企業向けサーバの、ハードウェアの設計をしています。ものづくりが大好きで、なかでもコンピュータの仕事がやりたくて、日立に入りました」

公募に手を挙げたきっかけは「海外で働くことへの純粋な興味だった」と続ける増田氏。それ以上に留職への思いをかき立てたのは、日々の仕事を通じて増田氏のなかに生まれた、ある疑問だった。

「業務のプロジェクトがうまくいかなかったときに、その原因として僕自身のリーダーシップ不足を痛感したんです。僕はまだ仕事でのリーダー経験はありませんが、リーダーシップというものは立場に関係なく必要なはず。そこまで考えた時に、じゃあ、リーダーシップって何なんだろう?という疑問に至りました。リーダーの育成を目的としている留職プログラムに参加すれば、それが見つかるかもしれない。それから、日立は"社会イノベーション"を中核事業に掲げていますが、普段の設計の仕事では、それをなかなか実感できていない自分がいました。留職で新興国に行けば、それを身近に感じられるのではと考えました」

留職者のスキルと興味にマッチした留職先

画像: インタビューに答えるクロスフィールズの三ツ井氏

インタビューに答えるクロスフィールズの三ツ井氏

留職プログラムを提供している特定非営利活動法人クロスフィールズは、留職者が新興国で過ごす数カ月間をより価値のある研修にするために、きめ細かいバックアップを行っている。増田氏の留職をサポートしたクロスフィールズのアカウント・マネージャー、三ツ井稔恵氏は、留職先が決まるまでの留職者とのやり取りを、こう説明する。

「留職プログラムへの参加が決定したのち、約2カ月かけて留職先を決定します。その間、3回程度のミーティングを行い、留職者の過去の業務経験やスキル、そして、このプログラムで本人がどんな成長を遂げたいかなどをヒアリングします。その上で、いくつかの候補団体から、留職者に最適な団体をクロスフィールズにて選ばせていただき、現地と調整して留職先を決定します。増田さんの場合、ハードウェアの設計者というバックグラウンドを持ち、リーダーシップのあり方に強い興味を示していました。増田さんのスキルが活かせ、かつ、優れたリーダーシップを学べる可能性が高い団体を、留職先として選びました」

留職先が決まると、出発までの2~3カ月間に、留職者に対して3回にわたる事前研修を行う。

「1回目の事前研修では、留職期間中の目標設定を行います。なぜ留職に行くのか、留職で何を実現したいのかを改めて深く掘り下げ、目標として言語化します。2回目では、留職先団体への理解を深めていただくほか、現地の生活で注意すべきことなど、一般的な安全管理についての講習を行います。最後の3回目では、スカイプを使って留職先団体とキックオフミーティングを実施します。現地でスムーズに業務を開始できるよう、お互いに自己紹介していただき、業務内容についての理解を深めるためにディスカッションします。また、現地に向かう前に"出発前報告会"として、留職者を送り出していただく部署の皆さんを前にして、留職における決意表明を必ず行っていただいています」

そして、2015年1月26日。増田氏は、クロスフィールズのスタッフとともに、8週間の留職へと旅立った。向かった先は、インドだ。

インドの電力問題に挑むベンチャー企業へ

インド南端に位置するタミル・ナドゥ州の州都、チェンナイ。国内五大都市のひとつで、自動車産業とITが盛んな街だ。増田氏の留職先は、そのチェンナイにオフィスを構えるE-Hands Energy(以下、E-Hands)。インドの無電化地域に、風力や太陽光といった再生可能エネルギーのソリューションを提供するというソーシャルビジネスを展開している企業だ。

画像: チェンナイ市の位置図

チェンナイ市の位置図

自然エネルギー世界白書 2014*によれば、2011年時点においてインド国内で電気を利用できる人は全人口の75.3%にとどまっており、約3億人がいまだに電気を使えない状況にある。そして、電線が通っている大都市圏でさえも、その電力インフラは依然、脆弱なままだという。増田氏自身も、その実情を体感した。

「E-Handsのオフィスでも、出勤したら停電で仕事ができない、なんて日もありました。都市部ですら、停電は日常茶飯事なんです」

留職者は、まず1週目に、期間内に現地で取り組む課題を設定する。増田氏がE-Handsから依頼されたのは、インドの電力問題解決に直接つながる、ソーラーホームライティングシステム(以下、SHS)という電気機器の改良だった。

画像: ソーラーホームライティングシステムの試作機

ソーラーホームライティングシステムの試作機

「電気が通っていない農村部の一般家庭や小さな商店などを使用対象としています。日中はソーラーパネルにつないで充電し、夜間はバッテリーとして照明につないで使える。昨年の11月に発売されたばかりの製品です」
しかし、E-Handsからの依頼を前にして、増田氏は大きなプレッシャーを感じていた。

「昨年、同じ日立製作所の研究員もE-Handsに留職されて、風力発電機の羽根をゼロからつくったそうなんです。それが大成功だったので、僕に対する彼らの期待がすごかった。でも、既製のプロダクトの改良だけでそれに応えられるのか、とても不安でした。自分もゼロから新しい物をつくるくらいの、大きなことをしなきゃいけないんじゃないかと…」

そんな増田氏を救ったのは、同行したクロスフィールズのスタッフの一言だった。留職の1週目は、慣れない現地生活のサポートや、留職者の悩みに対して客観的な視点を提供するために、スタッフが行動をともにする。

「そこで言われたのは、"重要なのは、何か新しい物を作ることではなく、既製のプロダクトをよりよくすることで、自分がどれだけ前に進められるかではないですか"ということでした。E-Handsのビジネスにプラスになる改良ができれば、それが自分にとっての成長につながるのではないか。そう、考え方を変えました」

その翌週、クロスフィールズのスタッフは現地を離れた。残りの7週間、増田氏は唯一の日本人として、E-Handsで活動することになる。

*自然エネルギー世界白書 2014:「21世紀のための自然エネルギー政策ネットワーク」が2014年6月に公表した。

開発の先にある、ユーザーの存在

画像: 農村部のユーザーを訪ねる増田氏

農村部のユーザーを訪ねる増田氏

留職、2週目。増田氏は、E-Handsの営業部長・サントス氏とともに、タミル・ナドゥ州南部へと向かった。SHSを実際に使う人々のもとを廻る、1週間のツアーに出たのだ。

「この製品は、Fullerton Indiaという、マイクロファイナンス*を行っている金融機関が販売しています。実際に製品を使うのは、その購入資金をFullerton Indiaに借りに来る農村部の方たち。使用されるうえでの問題点をつかむために、いくつかの集落を訪ねて廻りました」

二人がたどり着いたのは、チェンナイから車で8時間南下した先にある農村地帯。そこで増田氏は、現地の集落における暮らしの実態を、その目に焼き付けることになる。

「まだSHSを導入していない家は、照明に灯心ランプを使っているので、夜になるとかなり暗い。ある農村には、ナッツの殻をむいて生計を立てているおばあちゃんがいたのですが、ナッツにカッターを押し当てなくてはいけないので、夜間に作業すると血だらけになってしまう。それに、子どもが学校の宿題をすることもできない。そういう話を聞いて、彼らの生活や教育の質を上げるために、SHSが絶対に必要だと強く感じました」

すでにSHSを導入している人々からは、実使用に際してのさまざまな声を聞くことができた。

「照明につなぐケーブルが短くて使えない、ソーラーパネルでの充電がちゃんとできないといった、具体的な問題点が挙がりました。この製品の価格は約5,000ルピーなんですが、彼らにとってはとても高価なもので、マイクロファイナンスを利用しても支払いに1年はかかる。それだけに、SHSに対する彼らの期待の大きさを感じました。同時に、お客さまのリアルな声を聞くことってこんなに面白いんだと思いました」

普段の仕事では接する機会のないユーザーの実態に触れ、SHSの必要性を改めて深く認識した増田氏。それ以上に増田氏の心を揺り動かしたのは、彼らのもとに連れて行ってくれた営業マン・サントス氏の情熱だった。

「SHSが持つ可能性を、最初に熱く語ってくれたのがサントスさんでした。彼は、人を巻き込んで、自分の志と同じ方向に持って行くという、非常に優れたスキルの持ち主。彼の話を聞いて、こんなに一生懸命頑張って売ろうとしている人がいるのなら、僕も一緒にやらずにはいられない、なんとかしてこの製品をもっとよくしたいという思いでした」

それまで経験のなかった営業という仕事に1週間どっぷりと浸かることで、増田氏のなかには、普段の仕事に対する新たな意識が芽生えていた。

「僕は技術者ですが、製品をつくってもお客さまに使っていただかないと何の価値もない。それを届けている営業の人たちがどんな思いを持っているのかを、サントスさんから直接感じることができました。彼から学んだのは、SHSの販売者であるFullerton Indiaへの営業だけにとどまるのではなく、改良のためにユーザーのところまで足を運ぶという姿勢。かなり地道でタフな仕事ですが、この製品が持つ社会的意義の大きさやビジネスとしてのポテンシャルを信じて、彼は走りまわっている。営業の方たちのそういった努力を、日立の技術者として仕事をするなかでも意識しなきゃいけないんだ、と気づきました」

* マイクロファイナンス:貧困層向けの小規模金融の総称。貧困層の人々の経済的な自立を促すことで、貧困問題を解決することを目的とする。

現地のベンダーとともに、改良を進める

留職、3週目。ユーザーから聞き取ったSHSの課題をもとに、増田氏は改良すべき点を洗い出して検討し、リストアップした。E-Handsには、SHSを担当する技術者がおらず、製造は外部のベンダーに委託していた。そのため増田氏は、E-Handsを代表する技術者としてSHSの改良を依頼するため、4週目から5週目にかけてベンダー2社を訪問。改良案を、インドのエンジニアたち相手にプレゼンした。

画像: 現地ベンダーのエンジニアと増田氏

現地ベンダーのエンジニアと増田氏

画像: 増田氏が提案したスタンドを実装したソーラーパネル

増田氏が提案したスタンドを実装したソーラーパネル

「例えば、製品マニュアルはすべて英語で書かれているんですが、現地で使われているのはタミル語。しかも、農村部では英語が読める人自体が少ない。そこで僕が提案したのは、タミル語表記への変更でした。また、文字ばかりでとてもわかりにくかったので、もっと図やイラストを多く載せたほうがいいと伝えました。そのほか、ユーザーから短くて使いにくいと言われたケーブルの長さの改良だとか、効率的に充電できるようソーラーパネルに角度をつけることができるスタンドの設置、1段階しかなかったライトの強さを使用環境にあわせて調節できるようにするなど、10個ほどの改良案を出しました」

留職中、増田氏が実際に設計をする機会こそなかったが、E-Handsが提供するソリューションの効果を最大限に高めるため、慣れない英語と必死に格闘しながら、ディスカッションを重ねた。その熱意に、ベンダー側も真摯に応えたという。
「基本的には、僕の改良案に納得していただき、現時点で反映できないものについては、その理由を丁寧に説明してくださいました。これはユーザーからの意見になかったことですが、バッテリーを従来のリチウムイオン電池から、電極にLFPという素材を用いた、より寿命が長い電池に変えてはどうかという提案もしたんです。それに対しては、まだインドの市場に出ていないから現状では実現できないけど、市場に出たらすぐ導入すると言っていただけました。また、ケーブルの長さについては、どこまで延ばせるか検討するとの回答でした。とても協力的で、僕の提案にフレキシブルに対応してくださいました」

現時点でできる改良だけでなく、E-Hands の今後のビジネス展開も見すえた増田氏の提案に、スタッフの反応も上々だった。6週目以降も増田氏のリードでベンダーとやり取りを続け、製品改良を進めた。そして最終週には、E-Handsにベンダーからの試作機が到着した。

リーダーシップに不可欠な、3つのE

増田氏が留職したE-Handsは2009年創業、現在スタッフ20人ほどの少数精鋭部隊だ。新興国インドにおけるソーシャルビジネスの最前線にいる彼らと過ごした8週間という時間は、リーダーシップの何たるかを探し求めていた増田氏に、強烈なインパクトを与えた。

画像: リーダーシップに不可欠な、3つのE

「E-Handsの社長は、ラグーさんという50歳くらいの方です。実はいくつかの会社でCEOやCFOもされているので生活には困らないはずなんですが、"再生可能エネルギーでインドを豊かにする"という明確なビジョンを掲げてこのビジネスを立ち上げた、ハングリー精神旺盛な起業家です。自分がやりたいことをチームのメンバーに示すというスキルがずば抜けていて、とても情熱的で、人を惹きつける強い魅力を持っている。ディスカッションでは僕の英語レベルに合わせて話してくださるんですが、E-Handsの思いについてものすごい勢いで熱く語られるので、話についていくのに必死でした(笑)」

もう一人、増田氏が刺激を受けた人物がいる。E-Handsの副社長を務めるシュレーカン氏だ。
「シュレーカンさんはまだ29歳で僕と1つしか違わないんですが、社長のラグーさんの片腕として、E-Handsのビジネス戦略を練っています。そして、社内のあらゆる事業を、責任をもって一つひとつ確実に実行している。いわば、E-Hands全体の実務を取り仕切るリーダーです。彼らの働きぶりを見ていくうちに、僕が追い求めていたリーダーシップはこれだ!と気づきました」
社長のラグー氏、副社長のシュレーカン氏、そして、2週目にユーザーのもとを一緒に廻った営業部長のサントス氏。E-Handsで出会った3人の仕事への取り組み方に、増田氏は目指すべきリーダーシップの本質を見たという。それが、3つのEだ。

「ENVISION(思い描く)、ENGAGE(巻き込む)、EXECUTE(実行する)。最終週に、8週間の留職で僕が得た成果についてE-Handsの皆さんにプレゼンし、大きな気づきとして、この3つのEを挙げました。そこでラグーさんに言われたのは、"リーダーシップにはこの3つすべてが必要なのであって、どれか1つだけできても意味はないんだよ"と。日本に帰ったら、これらの3つのポイントすべてを意識してアクションしていこうと、決めました」
そして、3月下旬。増田氏は、濃密な8週間を過ごしたインドを発った。

技術に特化していた視野が、一気に拡がった

画像: 技術に特化していた視野が、一気に拡がった

留職先から帰国した留職者は、クロスフィールズと2度の事後研修を行い、約半年間にわたるプログラムを終える。事前の面談から増田氏に接し、インド滞在中も週に1度のスカイプミーティングを行い、その週の出来事や気づきをやり取りしてきた三ツ井氏は、こう振り返った。

「留職前の面談で衝撃だったのが、増田さんがご自身の設計の仕事を説明するために、実際の電子回路基板を持って来られたことです(笑) そのぐらいものづくりが好きで、技術に特化したものの見方が得意な人なんだなと感じました。でも、今の増田さんなら、きっと別の説明の仕方をしてくれると思います。なぜなら、留職を通じて、一気に視野が拡がったからです」

その大きな変化を三ツ井氏が感じ取ったのは、増田氏がサントス氏とともに農村部を廻った翌週のスカイプミーティングでのことだった。

「増田さんがこんなことを言ってきたんです。"僕は、日立のバリューチェーンが見えていないことに気づきました"と。増田さんはそこから、ビジネスにおける設計という仕事の位置づけや、自分の役割を考えられるようになったんですね。そして、リーダーシップとは何なのか、ご自分の言葉で語れるようになった。これってとても大きな変化だと思います」

E-Handsという、小所帯ながらも優れたリーダーシップを持った人たちの集団が、かつては技術一辺倒だった増田氏を大きく変えた。そもそも、クロスフィールズは、こうした留職先をどうやって見つけ出したのか。

「私自身、以前NGOのプロボノ*に参加してインドで活動した経験がありますし、クロスフィールズの代表の小沼が青年海外協力隊出身だったこともあって、海外のNPOやNGO、社会的企業に詳しい各国の方々との太いネットワークを持っているんです。そこで紹介してもらった団体のなかで、留職が単なるボランティアではなく、日本企業の高度なプロフェッショナルを持った人たちのリーダーシップ開発のプログラムであることを理解してくださった団体が、留職者を受け入れてくださっています」

*プロボノ:専門的な技能を持つ人たちが、社会貢献のために無償または低報酬でサービスを提供すること。「公共善のために」を意味するラテン語「pro bono publico」に由来する。

バリューチェーンを意識した技術者に

画像: バリューチェーンを意識した技術者に

インドでの留職を終えた今、増田氏はどんなキャリアビジョンを描いているのか。

「自分たちの製品やビジネスの先にある、社会のことを考えて開発できるエンジニアになりたいですね。留職に行くまでの僕は、開発の中だけで物事を考えていました。つまり、日立のビジネスが持つバリューチェーンが見えてなかった。でも、インドで、販売者やユーザー、ベンダーといったビジネスを取り巻く一連のステークホルダーと、じかに関わることができた。販売者やユーザーの視点に立った商品開発がいかに大事かを、身を持って知ることができました。設計に取り組む際もそれを意識したいですし、製品の販売に携わっている人たちにも自分なりにアクセスしていって、情報を得るよう心掛けたいです。それに、今回せっかくインドに行けたので、もっと語学力を鍛えて、いつかインドで仕事がしたい。そう、強烈に思いましたね」

帰国してまだ2週間。増田氏は、社内で開催予定の留職報告会が待ち遠しくて仕方ないという。

「周りの同僚も、僕が向こうでどんな経験をしてきたのか、すごく気にしてくれていて。僕としても、気持ちが高まっているうちにプレゼンをして、早く周囲からのフィードバックをもらいたいんです(笑)」

次回、最終回。数年前に初めて日立製作所から留職に参加した、同情報・通信システム社の鳥越収氏に、留職で手に入れたものとその後の自身の変化、そして周囲に与えた影響について、話を聞く。


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