消費者・従業員・社会が抱える課題の解決なくして、リテール企業の持続的成長は望めない。日立は、AIをはじめとするデジタル技術を活用したHitachi Digital Solution for Retailを軸にリテール企業と協創し、課題解決を支援している。ここでは、三井物産との協創による配送業務効率化の事例をはじめ、小売業と旅行会社による異業種連携のユースケース、さらにはバリューチェーンの最適化を前提とした「ショールーム型ストア」のひとつの形を紹介。その先にあるのは、消費者・従業員・社会すべての満足を実現した、持続可能な豊かな社会だ。

消費者、従業員、社会。3者3様の課題を解決

つねに高い利便性を追い求める「消費者」、人手不足に悩む現場の「従業員」、廃棄ロスやCO2排出量など環境問題を抱える「社会」――これら立場の異なる三者の課題に取り組み、「消費者の満足」、「従業員の満足」、「社会の満足」を実現することは、リテール企業が次の時代も成長し続けるための条件である。

しかし、これらを同時に向上させることは非常に難しい。そこで登場するのが、Hitachi Digital Solution for Retailだ。バリューチェーンのデータ、そして社会から生まれるさまざまなデータをAIなどで高度に分析し、PDCAを実践することで配送ルート最適化や販促最適化、需要予測などの施策を立案するソリューションである。

これによって日立は、以下の3つの価値をリテール企業とともに協創していく。まず、つねにひとの生活に寄り添い、消費者の課題を解決するサービスを提供すること。次に、働きやすい職場づくりへ現場のデジタル改革を推進すること。そして、事業の持続的成長のためにバリューチェーンを最適化し、さまざまなロスの削減を図ること。つまり、消費者・従業員・社会の満足を向上させることで、持続可能な豊かな社会の実現に貢献するのだ。

三井物産と日立との協創。デジタル技術の活用で配送業務を最適化

新たな価値を提供する挑戦は、もう始まっている。三井物産株式会社と日立は、小売業向けの配送業務にHitachi Digital Solution for Logistics/配送最適化サービスを昨年、試験的に活用。ドライバー不足や長時間労働が課題になっている配送業務の最適化に着手した。

まず、日立はIoTの技術を用いて配送現場のデータを収集。納品日時や物流拠点の位置、走行ルートや時間、ドライバー条件といったデータをAIが分析し、配送計画を自動で立案する。これにより、物流コストの削減や配送業務の効率化、働き方改革を支援する。

効果検証の結果、従来に比べてトラック台数を最大10%削減できることがわかった。これによって、消費者に商品をタイムリーに届けられると同時に、配送ドライバーが働きやすい現場を実現できるうえ、環境負荷の低減にも貢献。まさに消費者・従業員・社会の満足を向上させることができる。

異業種とのエコシステムで販促施策を進化

データの適用範囲は、リテールのバリューチェーンだけにとどまらない。例えば鉄道、金融、旅行会社といった異業種企業から発生するデジタル化された多様なデータと連携しエコシステムを作ることにより、消費者像を多角的に描けるようになる。

ここに、GMS(*)を展開する小売業A社があると仮定する。今、スマートフォンアプリを通じて消費者の年齢・性別に応じたクーポンを発行し、購買履歴を分析することで消費者像を描いている小売業は少なくないだろう。A社もその1社だ。例えば、A社のある70代女性顧客はいつもオーガニック食材を購入し、時折、スポーツコーナーにも立ち寄っていることから、自然食への関心が強くアウトドア派であることがわかっているとしよう。

こうした情報を、本人同意のうえA社が提携している旅行会社B社と共有すれば、B社は「野菜収穫体験ツアー」などの旅行商品を、その女性顧客にレコメンドすることが可能になる。

このツアーに、70代女性顧客が家族を連れて参加したとしよう。すると、B社が得た顧客情報から、女性顧客には娘夫婦や孫がいるといった家族構成が見えてくる。この情報を活用すれば、ちょうどツアーが終わったタイミングで70代女性顧客に、例えば「孫割クーポン」を、娘に「祖母のために割引で安く代理購買できるクーポン」を発行するといった施策をA社は打てる。

このようにリテール企業が異業種とつながることで、消費者像をより具体的に描けるようになる。つまり、消費者の満足の向上につながり、一人ひとりの生活に寄り添った販促施策が可能になる。

* GMS:General Merchandise Store

画像: 異業種とのエコシステムで販促施策を進化

消費者の感情を数種類から数十種類に分類

今はコト消費、トキ消費の時代。リテール企業に求められるのは、消費者を振り向かせられる魅力的な商品企画だ。もし、提携先の異業種企業が持つ顧客情報を活用できれば、消費者のニーズやトレンドを深く読み取ることができる。そのときに活躍するのが、日立の「感性分析サービス」。アンケート結果やコールセンターの会話音声、SNSのコメントなど消費者の膨大な声をAIで分析し、数種類から数十種類の感情に分類するというものだ。

例えば、先ほどの「野菜収穫体験ツアー」。参加者がSNSでコメントを発信すると、その感情は感性分析サービスで分類される。仮に、ネガティブな感情として「不快」が最も多い場合、さらにその理由として「服が泥だらけ」「爪に入った土が汚い」といったコメントを容易に深掘りできる。これらの情報は、新たな商品企画のヒントになる。つまり、消費者のニーズが「農業を手軽におしゃれに楽しむこと」にあるとわかれば、例えば地場野菜の収穫を体験でき、お昼には地場野菜を使ったフレンチが食べられる……なんていうツアーを旅行会社と連携して開発し、レコメンドすることだって可能だ。

ムダを最小化し豊かな社会につなぐ「ショールーム型ストア」

消費者・従業員・社会それぞれの満足を同時に向上させる店舗形態のひとつとして「ショールーム型ストア」が挙げられる。在庫は置かず、商品の展示のみ。スマートフォンなどで決済し、消費者の自宅に商品を届けるという販売スタイルだ。店舗での在庫管理が要らないため、少数の従業員でオペレーションができる。ただし、その実現にはバリューチェーンの最適化が前提条件だ。

例として、アパレルの店舗の未来像を頭に浮かべてほしい。まず、顧客は会員制の店舗の入り口ゲートで指静脈認証を行い、売り場にチェックインする。真っ先に手に取るのは、事前にECサイトでチェックしたワンピース。すると、タブレットを手にした店員がタイミングよく声をかけ、丁寧に商品説明を始める。実は入店と同時に、店員のタブレットには顧客情報とECサイトの閲覧履歴が表示される。品出し作業から解放された店員は、接客に時間を割けるようになる。しかもさまざまなデータがサポートしてくれるので、質の高い接客が可能だ。

顧客が手に取った商品の需要予測データをバリューチェーン全体で共有しているため、つねに適正な量が生産され、各エリアの物流拠点には適正な量の在庫があるため欠品の心配はない。

顧客がスマートフォン決済で商品を購入すると、物流拠点ではその日の注文データに基づきデジタル技術を活用し、タイムリーに顧客の自宅に商品を送り届ける。

こうして、消費者は商品を欲しいタイミングで受け取れるうれしさを、従業員は働きやすい職場を、経営者は競争力を高めることができる。さらに、在庫を最適化することで、廃棄ロスも削減できることも見逃せない。地球環境への配慮なくして、事業の持続的な成長は望めない。日立は、リテール企業の皆さまとともに、より豊かな社会の実現に貢献していく。

異業種とのデジタル連携でデータ活用の幅は広がり、消費者に満足のいく買い物体験を提供することができる。連携のデジタルネットワークをさらに広げれば、消費者一人ひとりの生涯にわたり、ライフイベントに即した商品やサービスを提供し続けることも可能だ。日立は、Hitachi Digital Solution for Retailの活用でそのお手伝いをする。

その他の様々なユースケースをご紹介 デジラルシフトで、世界に新しい正解を

関連リンク

リテールテックJAPAN 2019 日立グループブースご紹介
Hitachi Digital Solution for Retail

シリーズ紹介

楠木建の「EFOビジネスレビュー」

一橋大学ビジネススクールの楠木教授の思考の一端を、切れ味鋭い論理を、毎週月曜日に配信。

山口周の「経営の足元を築くリベラルアーツ」

山口周氏をナビゲーターに迎え、経営者・リーダーが、自身の価値基準を持つための「リベラルアーツ」について考える。

新たな企業経営のかたち

SDGs、人工知能(AI)、デザイン思考、ブロックチェーンなど、経営戦略に関わるホットイシューについて、斯界の第一人者に聞く。

Key Leader's Voice

各界のビジネスリーダーに未来を創造する戦略を聞く。

経営戦略としての「働き方改革」

今後企業が持続的に成長していくために経営戦略として取り組むべき「働き方改革」。その本質に迫る。

ニューリーダーが開拓する新しい未来

新たな価値創造に挑む気鋭のニューリーダーに、その原動力と開拓する新しい未来を聞く。

日本発の経営戦略「J-CSV」の可能性

日本的経営の良さを活かしながら利益を生み出す「J-CSV」。その先進的な取り組みに迫る。

ベンチマーク・ニッポン

日本を元気にするイノベーターの、ビジョンと取り組みに迫る。

デジタル時代のマーケティング戦略

マーケティングにおける「デジタルシフト」を、いかに進めるべきか、第一人者の声や企業事例を紹介する。

This article is a sponsored article by
''.