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株式会社 日立製作所 マネージド&プラットフォームサービス事業部 岡部大輔/檜垣誠一/酒井宏昌
クラウドの活用範囲を拡張する多くの企業が直面している、複雑化するシステムの「運用」という課題。その解決にフォーカスした新しいサービスが、2023年6月に提供を開始したHARC(Hitachi Application Reliability Centers ハルク)だ。この運用代行ともコンサルティングとも異なるサービスの価値について、株式会社 日立製作所 マネージド&プラットフォームサービス事業部の酒井宏昌、檜垣誠一、岡部大輔の3名に話を聞いた。第1回は、HARCの概要とサービス誕生の背景について。

「第1回:運用改善サービス『HARC』の誕生」
「第2回:クラウド運用の健康診断」はこちら>
「第3回:運用の成熟度は、運用者の成熟度」はこちら>
「第4回:HARCのカスタマージャーニー」はこちら>
「第5回:HARC活用事例:オリックス銀行」はこちら>

クラウド運用の課題解決に伴走するシェルパ

――はじめに、HARCにおける3名それぞれの役割について教えてください。

酒井
私はフロントに立って、HARCを理解していただくためのプロモーションやメディア対応、お客さまへの提案や見積り、契約交渉までを幅広く行っています。私たちはGo to Marketと呼んでいますが、実際の契約が済んでデリバリーに引き継ぐまでの業務全般が私の仕事になります。

画像: 酒井宏昌

酒井宏昌

檜垣
HARCは北米のHitachi Digital Services(※)がはじめたサービスですが、私はHARCを日本でリリースするためのHitachi Digital Servicesと日本をつなぐパイプ役を担ってきました。現在はHARCを軸にした戦略の立案やプロジェクトマネジメントを担当しています。
※ Hitachi Digital Servicesは、2023年11月1日付で、Hitachi Vantara LLCのデジタルソリューション事業を分社化し、クラウド、データ、IoTを駆使したサービスをベースに、OT×ITを実装するインテグレーターとして設立。

画像: 檜垣誠一

檜垣誠一

岡部
私はHARCのデリバリーリーダー、そしてサービス開発のリーダーという役割です。お客さまとの見積りや契約の段階から入り、サービス提供においてアセスメント(評価・分析)や、お客さまと伴走した運用改善を行います。それに加えて、日本のお客さまに向けたサービスのカスタマイズや、開発したサービスのエンハンスなども行っています。

画像: 岡部大輔

岡部大輔

――HARCというサービスの概要を解説してください。

酒井
HARCは、Googleが提唱しているSite Reliability Engineering(以下:SRE※)という運用手法をベースにしたクラウド運用改善サービスです。この手法に基づいて、複雑化・高度化するクラウドの信頼性とアジリティ(機敏性)を改善する。それがHARCです。
※ 開発チームと運用チームが連携し、迅速にシステムの改善を実現するとともに、システムの信頼性を向上させるための方法論。

私たちは「伴走」という言葉を使っていますが、お客さまのクラウド運用の課題に共に向き合い、解決するまでお付き合いさせていただく。運用というのはシステムが停止するまで続きますから、常により良い運用をめざしてクラウドエンジニアがシェルパ(※)のように伴走する、それがHARCというサービスです。
※ シェルパ:ヒマラヤにおける登山案内人

そして純粋にお客さまの課題解決にフォーカスしていることも、大きな特徴です。これまで日立はモノやシステム、ソリューションなどを売ることでビジネスをしてきました。しかしHARCはクラウドの運用課題に日立のクラウドエンジニアがお客さまと共に取り組み、運用を改善していくサービスです。何か形のあるものを売るわけではありません。

岡部のデリバリーチームには優秀なクラウドエンジニアが揃っています。AWSやAzure、Google Cloudの認定を全部持っている人や、AWS Top Engineersに選ばれている人など、クラウド運用に対するハイスキルな人財が豊富にいます。お客さまに伴走することでお客さまのクラウド運用の成熟度を上げていく。その時のシェルパは人ですから、人財こそHARCの最大のセールスポイントです。

クラウド運用の課題は世界共通

――HARCは北米で数年先行して生まれたサービスだということですが、このサービスが生まれた背景について教えてください。

檜垣
HARCが北米で誕生したのは2022年です。アメリカでは世界に先行してクラウドの導入が進んでいましたが、さまざまな課題が発生していました。そんなタイミングで、コンサルティングからシステム開発までを一貫して手がけるグローバル企業から、Hitachi Digital Servicesに加わったメンバーがいました。彼らはサービスのデリバリーなどの豊富な経験を持っていて、現場のクラウド運用の課題も認識していた。Hitachi Digital Servicesも自らのトランスフォーメーションを指向していた時期でもあったので、まずは社内ベンチャー的に取り組んだことが始まりでした。

実際にお客さまのところに提案を持っていくと、きわめて良い感触があったため、これをサービスとして展開することが決まりました。2022年9月には、ダラスにHARCのサービス拠点を開設し、事業として本格的な取り組みが始まりました。その後、Hitachi Digital Servicesから日本国内に向けての協業の話があり、2023年6月に日本でもHARCというサービスを立ち上げ、サービス提供しています。

――ビジネスとしての展開がとてもスピーディーですが、Hitachi Digital Servicesとの協業で何か壁はありませんでしたか。

檜垣
HARCはビジネスのグローバル拠点として、ダラスに次いでインドのハイデラバードに拠点を開設しています。その拠点に、岡部をはじめとする日本のデリバリースタッフは2回ほど、それぞれ数週間かけて、ナッレジトランスファーのトレーニングを受けに行きました。それをベースに日本におけるサービスを構築していきましたが、彼らとは直感的に組みやすい相手であると感じました。

酒井
私は檜垣と同様に以前からHitachi Digital Servicesの人たちと付き合いがありましたが、アメリカとインド、そして日本はとても相性がいいと感じています。彼らは積極的にコミュニケーションの時間を取ってくれるし、ユースケースなども概要を伝えるだけではなく、さまざまなノウハウやエンジニアリングの構造なども丁寧に教えてくれます。こういうグローバルチームの親密さも、大切な成功要因だと思います。パブリッククラウドは全世界共通なので、課題先進国であるアメリカやインドの事例は、日本で伴走する私たちにとって貴重な財産になっています。(第2回へつづく

あなたの知らないクラウド運用へ Hitachi Application Reliability Centers (HARC)

「第2回:クラウド運用の健康診断」はこちら>

画像1: クラウドの運用改善でDX体制を強化する
【第1回】運用改善サービス『HARC』の誕生

酒井宏昌(さかい ひろまさ)
株式会社 日立製作所 マネージド&プラットフォームサービス事業部 クラウドマネージドサービス本部 クラウド&デジタルマネージドサービス部 担当部長
1989年、日立製作所に入社。通信・ネットワーク機器、ストレージ・サーバ等の海外への拡販や新規事業推進に従事。2016年からデータ利活用を可能にするプラットフォーム「Pentaho」の拡販・営業支援を経験したのち、2022年より現職。

画像2: クラウドの運用改善でDX体制を強化する
【第1回】運用改善サービス『HARC』の誕生

檜垣誠一(ひがき せいいち)
株式会社 日立製作所 マネージド&プラットフォームサービス事業部 クラウドマネージドサービス本部 クラウド&デジタルマネージドサービス部 担当部長 兼 HARCグローバルビジネス推進センタ センタ長
1993年、日立製作所に入社。ストレージ等のIT製品事業の海外展開に従事。2015年からHitachi Vantaraの米国本社に出向し海外での業務に従事後、2022年より現職。

画像3: クラウドの運用改善でDX体制を強化する
【第1回】運用改善サービス『HARC』の誕生

岡部大輔(おかべ だいすけ)
株式会社 日立製作所 マネージド&プラットフォームサービス事業部 クラウドマネージドサービス本部 クラウド&デジタルマネージドサービス部 担当部長
1996年、日立製作所に入社。通信システムの設計・開発に従事。2018年からLSH(Lumada Solution Hub)ポータルやクラウド向けデジタルソリューションの開発を経験したのち、2022年より現職。

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