製造業の未来をきりひらくスマートファクトリーでは、多品種少量生産ラインでも生産性を向上し、ライン全体の最適化を図ることが重要な課題だ。そこで日立は、プリント基板生産における高度なプロダクトで強みを持つJUKIグループと協創。ITとOT※1を融合した日立のIoT※2で部品や設備をつなぎ、生産ラインの上流から下流までをトータルに一元管理する新たなデジタルソリューションを創出した。
※1 Operational Technology
※2 Internet of Things

プリント基板生産ラインの最適化に向けた協創

2018年12月に創立80周年を迎えたJUKI株式会社(以下、JUKI)。同社は工業ミシンを含む縫製機器事業と、電子回路基板の生産を支える表面実装機(マウンタ)、印刷機、検査機などの産業機器事業を大きな柱としている。
そのグループ企業であるJUKI産機テクノロジー株式会社(以下、JTEC)は、JUKI産業装置の生産拠点として高品質な製品を国内外の顧客に提供。JUKIグループ各社とともにJUKI製品を生産するなかで培った開発・設計・生産・調達のノウハウを生かし、さまざまな製品の開発・製造・加工などを受託するグループ事業の拡大にも取り組んでいる。

画像: 日立製作所 大みか事業所

日立製作所 大みか事業所

「JUKIの産業装置は、日立の大みか事業所のプリント基板生産ラインでも長年活用されています。その装置を更新する準備を進めるなかで、日立の高効率化や高信頼化への取り組みを聞き、われわれとしてもとても共感できる部分がありました。そこで互いの強みを活かし、プリント基板生産ラインの最適化に向けた協創をスタートさせたのです」と語るのは、JTEC 代表取締役社長の和泉 潔氏だ。

電子回路基板の多品種少量生産に取り組む日立の大みか事業所では、JUKIの表面実装機の更新を機に、新たにJUKIの電子部品用自動倉庫と自動搬送装置(AGV※3)を導入。オペレーションのさらなる高効率化・高信頼化を図るとともに、IoTを活用して部品や生産設備をつなぎ、上流の部品在庫管理から下流の保守・予防保全までをトータルに最適化するデジタルソリューションの開発を検討していた。

「実はJTECでもスマートファクトリーの実現をめざし、さまざまな生産革新に取り組んでいました。日立さんのデジタルソリューションの構想を聞くなかで、当社の生産ラインで課題となっていた生産工程の可視化に、そのアプローチがたいへんマッチすることがわかったのです」と、JTEC 生産技術部生産技術課 課長の菅 浩平氏は語る。

※3 Automatic Guided Vehicle

導入1カ月で生産性が約30%も向上

日立の大みか事業所が構想したプリント基板生産ライン向けのデジタルソリューションは、「Sense(見える化)」→「Think(分析)」→「Act(対策)」のサイクルを循環させながら、「生産進捗・実績管理」「稼働実績分析」「不具合解析」「設備保全」「在庫管理」といった5つのソリューションにより、生産性向上や不具合発生時の原因解析率向上を実現するものだ(図1)。

画像: 図1 プリント基板生産最適化ソリューションの概要図 * 本ソリューションは、開発元(株式会社 日立製作所)、販売元(JUKI株式会社)、導入エンジニアリングなどのサポート(株式会社日立産業制御ソリューションズ)による提供となります。

図1 プリント基板生産最適化ソリューションの概要図
*本ソリューションは、開発元(株式会社 日立製作所)、販売元(JUKI株式会社)、導入エンジニアリングなどのサポート(株式会社日立産業制御ソリューションズ)による提供となります。

このソリューションの協創プロジェクトとしてJUKIと日立は2017年、「生産進捗・実績管理」のプロトタイプをJTEC本社工場の実ラインに導入。両社のプロダクトとソフトウエア、IoTなどの運用ノウハウを組み合わせながら、ソリューションの効果検証と改善点の抽出に取り組んだ。

「これまでは月次の生産計画を現場リーダーが日次化し、それぞれの作業者に指示を出すというアナログな手法をとっていたため、着手と完了以外の進捗状況を把握することができませんでした。しかし、生産管理システムのデータと実績をリアルタイムに可視化できる生産進捗・実績管理モニターにより、それぞれの担当者はその情報を見ながら、次に何をやるべきか、どういった段取りを事前にしておくべきかといった、納期遅延を防ぐ対策をタイムリーに判断できるようになったのです。生産管理者は作業者に明確な目標を与えることが可能となり、モニターを通じて相互の意識共有も図れるようになりました。その結果、導入1か月で生産性が約30%も向上しました」と菅氏は喜ぶ。

生産進捗・実績管理モニターでは、ラインを構成するさまざまな生産設備の稼働状況と、エラー発生設備をリアルタイムに可視化することもできる。2018年度中に導入予定の「稼働実績分析」「不具合解析」「設備保全」「在庫管理」といったソリューションとの連携により、計画と実績の差分分析によるタクトバランスの改善や、部品搭載不具合の障害解析性の向上、部品管理や保全業務の効率化といった、さまざまな価値創出が期待されている。

「JUKI産業装置のショーケースとなっているJTEC本社工場には、国内外から多くのお客さまが生産ラインを見学に来られます。日立さんと一緒に創り上げたデジタルソリューションの成果をご覧いただくことで、当社の高いモノづくり力をアピールできるだけでなく、グローバルで求められている高効率ソリューションへのビジネス拡大も期待できます。今後は秋田にあるJTECの3工場を連携した可視化に挑戦していくほか、設備不具合の早期発見や適切なメンテナンス、設計部門へのフィードバックによる設備改善などにもデータ活用を進めていきたいですね」と、和泉氏は意気込みを語る。

相互の強みを生かしたソリューションを世界へ

今回の協創を通して、日立への印象をJUKI システム開発部 部長の渥美 匡氏は「大みか事業所のラインでは、さまざまな生産設備の稼働率や品質基準が想像以上に高いレベルで維持されています。JUKIの設備についても、開発者であるわれわれが驚くほど、その能力を最大限に引き出し、利用されているとても理想的なユーザーだと感じました。現在、産業装置事業は他社との差別化が難しくなっており、今後はお客さま向けのソリューション提案がたいへん重要になってきます。そのなかで取り組んだ今回の協創では、信頼し合えるパートナーとなった両社の強みを融合することで、部品入出庫作業の自動化や生産ラインの高効率化・高品質化を実現する新たなデジタルソリューションを創出できたのではないかと考えています」と語る。

さまざまな電子機器で使われるプリント基板は、今後も世界市場でますます需要が見込まれる。ニーズの多様化に対応する多種多様なプリント基板の生産力強化には、IoTを活用したデジタルソリューションによる高効率化・高信頼化が不可欠だ。今後も両社は、JUKIの高度なプロダクトと日立の実績あるITとOTを融合したIoTデジタルソリューションによる協創で、世界の市場変化とスピードに柔軟に対応しながら、社会や顧客から選ばれるトータルソリューションを提供していく。

画像1: JUKIと日立の協創で、
次世代スマートファクトリーを

渥美 匡 氏

JUKI株式会社

画像2: JUKIと日立の協創で、
次世代スマートファクトリーを

和泉 潔 氏

JUKI産機テクノロジー株式会社

画像3: JUKIと日立の協創で、
次世代スマートファクトリーを

菅 浩平 氏

JUKI産機テクノロジー株式会社

関連リンク

JUKIと日立、IoT活用によるプリント基板生産ラインの最適化に向けて協創開始設備データを活用し、変種変量生産を最適化するソリューションを開発
Lumadaユーケース多品種少量生産の製造業における生産計画の最適化
はいたっく2018/12 CaseStudy JUKI株式会社

その他の様々なユースケースをご紹介 デジラルシフトで、世界に新しい正解を

This article is a sponsored article by
''.