さらなる経済発展をめざし、東部沿岸3県にまたがる経済特区の開発を進めるタイ王国(以下、タイ)。日立製作所(以下、日立)では、その経済特区に新しい拠点を開設した。その目的は、タイをはじめとしたASEAN地域における顧客との「協創」を加速し、日本のモノづくり品質を世界に広げていくこと。具体的には「Lumada」を活用し、これまでの協創で培ったデジタルソリューションを提供していくという。既に新しいモノづくりに向けたプロジェクトが着々と進みつつある。

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日本のモノづくり品質を世界にタイにおける協創の取り組み - 日立

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日立がデジタルソリューションの展開拠点をタイに開設した理由とは

ASEAN最大の工業国として、目覚ましい発展を続けるタイ。現在、タイでは長期的にめざすべき経済社会のビジョンとして「タイランド4.0(Thailand 4.0)」を掲げ、高度な経済基盤の確立と、さらなる経済発展をめざした政策を推進している。その重要な施策の一つがタイ東部沿岸3県にまたがる経済特区「EEC(東部経済回廊)」の開発だ。官民合わせて総額1.5兆バーツ(約5兆円)の投資規模が見込まれており、空港や高速鉄道の整備に加え、ロボティクスやデジタル技術産業、次世代自動車産業などといった10の重点産業の誘致・育成などを図っている。

これに対し、多くの企業がEECの開発協力を行っている。その一つが日立だ。社会イノベーション事業を展開し、タイをASEANにおける重要な拠点と捉える同社では、「EEC開発政策委員会」とIoT技術の活用に向けた協力合意書を締結。「Lumada」を活用したデジタルソリューションの展開を担う新しい拠点を設立した。それが「Lumada Center Southeast Asia」(以下、Lumadaセンター)だ。

今回開設されたLumadaセンターの役割は、タイをはじめとしたASEAN地域における顧客との「協創」を加速し、日本のモノづくり品質を世界に広げる支援をすること。その実現に向け、同センターでは、日立がこれまで培ってきたOT(Operational Technology:制御系の技術)とITを活用したソリューション事例を確認したり、ビジネス課題の発見と分析、その課題に対して提供可能なソリューションを議論したりすることが可能だ。今後は、業種をまたがるソリューションの提供などをはじめ、顧客企業それぞれに最適なソリューションの提供をめざし、積極的に協創を図っていく予定だ。

画像: 東南アジア地域でLumadaを活用したデジタルソリューションの展開を担う拠点 「Lumada Center Southeast Asia」

東南アジア地域でLumadaを活用したデジタルソリューションの展開を担う拠点
「Lumada Center Southeast Asia」

Lumadaを活用し顧客企業との協創を加速

Lumadaとは、日立が社会イノベーション事業で培ってきたノウハウや技術などを活用したソリューションである。その源流は日立の基幹工場・大みか事業所にある。同工場では、IoTを活用し、各工程や工程間の進捗状況をデータ化(見える化)することで、遅延や滞留などの原因を迅速に把握。高効率生産モデルを確立し、同事業所の代表製品における生産リードタイムを50%も短縮している。

もちろんLumadaの実績はこれだけではない。既に様々な企業に導入され、多くの成果を生み出している。例えば、幅広い事業領域を誇るダイセルはその一例だ。同社との協創では現場作業員の逸脱動作や設備不具合の予兆を複数のカメラで把握・評価する「画像解析システム」を協創により開発。既に国内外の複数工場へ導入され、グローバルレベルでの製品品質の安定化や生産性の向上に大きく寄与している。

空調事業をグローバルに展開するダイキン工業とは、熟練者と訓練者の技能を定量的に評価できる「ろう付け技能訓練支援システム」を構築。熟練者と訓練者の作業との違いをバーチャルに比較表示できるシステムにより、技能伝承が迅速かつ効率的に行えるよう環境を整備した。

さらに工作機械メーカーであるオークマとは、リアルタイムで部品搬送の作業指示を行う「工程管理システム」と、生産の進捗状況や設備の稼働状況を一元的に分析・可視化して全体最適を図る「進捗・稼働状況監視システム」を協創により開発。次世代のモノづくりに向けた取り組みを加速させている。

海外拠点のモノづくり品質向上のカギ

こうした取り組みが必要となるのは国内だけではない。いかに海外生産拠点の品質・生産性向上を高めていくかが、グローバルに展開する多くの製造業にとって共通した課題となっているからだ。そこで、現在日立では、日本のモノづくり品質に貢献するLumadaを活用したソリューションのグローバル展開を図っており、ASEAN地域におけるその中核拠点がLumadaセンターというわけだ。

グループ内ではその取り組みも始まっている。舞台となっているのは、日立金属グループにおいて、東南アジア地域最大規模の中核生産拠点Hitachi Metals(Thailand)。

この取り組みの背景をHitachi Metals(Thailand)の清水 道晃氏は、「当工場では、日立金属の数多くの製品の生産を担当していますが、一部製品の製造工程に課題を抱えていました。もともとはモノの流れもシンプルで製品数も少なかったのですが、お客様や品種の増加に伴って次第に工程が複雑化。その結果、生産効率の改善が課題になっていたのです」と振り返る。

こうした課題の解決をめざし、Lumadaのソリューションを導入し、実証を開始。「ソリューションを提案していただく中で感じたのは、一緒になって課題を見つけながら解決していくというスタンスです。システムを渡して終わりではなく、運用していく中で課題が見つかれば、その課題に対してシステム側をチューンアップしていく、あるいは我々の要望に対してシステムをカスタマイズする、そういったことができる。今回かなりの短期間で導入して試行運用する形になりましたが、達成までのスピード感というのはほかにはない強みだと感じています」とHitachi Metals(Thailand)の木村 賢治氏は話す。

今後は、実証フェーズで明らかになった改善点などを加えた上で、生産性の向上やリードタイム短縮、マス・カスタマイゼーションなどへの対応に役立てていく考えだ。「海外では日本と違って、暗黙知が通じないところがあります。そうした文化や考え方の違うところで、日本以上の品質を作り出すためには、データを収集し、それに基づくデジタル的な解析を行い、“共通言語”で対話を重ねていくことが非常に重要です。タイで実現できれば、次にまた展開を考えていきたい。その意味でも、Lumadaの導入への期待は大きいですね」と日立金属の村上 和也氏は抱負を語る。日立金属グループとしても、今回の取り組みで得た知見を、ほかの海外生産拠点へと展開していくという。

日立では、「Lumada」を活用しながら、顧客企業との協創を推進。新しい国づくりに挑む、ここタイの地でも、IoT時代のイノベーションパートナーとして、より豊かな社会の実現に貢献していく考えだ。

画像: 海外拠点のモノづくり品質向上のカギ
画像1: 日本のモノづくり品質を世界に
タイにおける協創の取り組み

村上 和也
日立金属株式会社
執行役

画像2: 日本のモノづくり品質を世界に
タイにおける協創の取り組み

清水 道晃
日立金属グループ
Hitachi Metals (Thailand) Ltd.社長

画像3: 日本のモノづくり品質を世界に
タイにおける協創の取り組み

木村 賢治
日立金属グループ
Hitachi Metals(Thailand)Ltd.ゼネラルマネージャー

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