毎週月曜日に配信されている、楠木建の「EFOビジネスレビュー」。その中で載せきれなかった話をご紹介する、アウトテイク。これが、めちゃめちゃ面白いです。

本を作る側も読む側も、タイトルと最初の10ページっていうのはかなり気合が入るところです。最近は、ネットでも読めたりしますから。もちろん本屋さんでもすぐ見れるんですけど。だいたい10ページ読むと、面白い本かどうかわかりますよね。読んでもらいたいと思っていれば、一番最初を一番面白くしたいと思うのが人情なんで。そこがつまんないってことは、やっぱり相当つまんないんです。

美点ばかりの読書ですが、本の唯一の問題点は、量的にかさばるっていうことです。電子書籍によってこの問題もほぼ解決したわけですけど、僕は電子書籍をあまり使っていないので、読んだ本は捨てるようにしています。

読んだらTwitterに著者と書名と一言コメント、感想だけ自分のためのメモとして書いて、本はよほどのことがない限り捨てます。必要な時は、ブックオフで中古を買い直します。
※ブックオフコーポレーション株式会社:書籍・パッケージメディア、アパレル等の総合リユース事業の運営

直近では私小説を20冊ほど読みました。三島由紀夫とかが全力で否定してた、わりと日本に多い小説の形態ですけど。自分のことについて書くっていう、人間の矛盾をさらけ出すみたいな。そういうのが多いんで、まあ不幸な話が多いんですけど。でもしょせん人間なんで、どういう不幸かっていうと、「金がない」とか「女に振られた」とか、よくありがちなことなんですね。

この間、それ読みながら、ああ面白かったーって思って寝たらですね、すごい不幸な夢を見たんですよ。やっぱり小説のパワーってあるなあと。起きた時思いました。

これも108円ですね。

本を売る側から見ると、本は一つの商業的な商品でもあるので、売りたいっていう気持ちを当然持つわけです、出版社の方は。ものすごく、なんていうのかな、みっともないことを平気でする業界なんですね。

例えばタイトルの付け方ひとつとっても、「○○の力」「○○力」って、次から次に出てくるじゃないですか。あれ、絶対出版社が売ろうと思ってやっているんですけど、センスないですよね。著者の人怒んないのかなあと、あんなタイトル付けられて……といつも思ってるんですけど。

だから僕は本を出す時は、絶対にタイトルだけは、強く交渉します。ひと通り仕上がって内容も決まって、じゃタイトルはって時になると、かならず最初にそういう提案をされるんですよ。「何とかの力」とか、「何とかの武器」とか、「何とかの技術」みたいな。

僕は、自分の本だけはそういうタイトルにしたくないんです。とにかく、極力そっけないタイトル。ニュートラルでそっけないタイトル。そっけない装丁。で、「○○氏推薦!」とか絶対入れない。もう、超そっけない本にするために、バトルを出版社と毎回繰り広げています。

例えば『経営センスの論理』っていう本があります。これも、極力僕はそっけなくしたくて。新潮社との交渉ののちに、このタイトルに落ち着いたんですけども。僕が最初に提案したのは、『経営についての随筆』っていうものでした。もうただ、無味乾燥な。内容は経営についての随筆なんでそれがいちばんしっくりくるタイトルだったんですね、僕にとっては。

「それだけはやめてくれ」って言われましたけど。

画像: タイトルをめぐるバトル。

楠木 建
一橋大学ビジネススクール教授
1964年東京生まれ。幼少期を南アフリカで過ごす。一橋大学大学院商学研究科博士課程修了(1992)。一橋大学商学部専任講師、一橋大学商学部助教授、一橋大学イノベーション研究センター助教授、ボッコーニ大学経営大学院(イタリア・ミラノ)客員教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授、2010年より現職。
著書に『「好き嫌い」と才能』(2016、東洋経済新報社)、『好きなようにしてください:たった一つの「仕事」の原則』(2016、ダイヤモンド社)、『「好き嫌い」と経営』(2014、東洋経済新報社)、『戦略読書日記』(2013、プレジデント社)、『経営センスの論理』(2013、新潮新書)、『ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件』(2010、東洋経済新報社)などがある。

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