働き方改革実現会議のメンバーのお一人 白河桃子さんと株式会社日立製作所 IT統括本部の中島透による対談 第2回。仕事の目的は会社にいることではなく、結果を出すこと。そのためには、多様な働き方と多様な能力を生かす環境が求められます。私たちにとって大事なワークライフバランスが保たれるために不可欠なサポートなどについて、意見を交換しました。

「第1回:女性の活躍には環境整備とアクションチェンジが不可欠」はこちら >

画像: 白河 桃子 少子化ジャーナリスト、相模女子大学客員教授 東京都生まれ、住友商事、外資系金融などを経て著述業に。婚活、妊活、就活、 キャリアプランなど女性のキーワードについて発信する。 山田昌弘中央大学教授とともに、「婚活」を提唱し、 「婚活ブーム」を巻き起こす。少子化対策、女性のライフデザイン、キャリア、 ワークライフバランス、ダイバーシティ、働き方改革などがテーマ。 現在、少子化ジャーナリスト、作家、相模女子大学客員教授、 昭和女子大学女性文化研究所客員研究員として多方面で活躍。著書多数。

白河 桃子
少子化ジャーナリスト、相模女子大学客員教授
東京都生まれ、住友商事、外資系金融などを経て著述業に。婚活、妊活、就活、
キャリアプランなど女性のキーワードについて発信する。
山田昌弘中央大学教授とともに、「婚活」を提唱し、
「婚活ブーム」を巻き起こす。少子化対策、女性のライフデザイン、キャリア、
ワークライフバランス、ダイバーシティ、働き方改革などがテーマ。
現在、少子化ジャーナリスト、作家、相模女子大学客員教授、
昭和女子大学女性文化研究所客員研究員として多方面で活躍。著書多数。

画像: 中島 透 株式会社日立製作所 IT統括本部 統括本部長 一橋大学経済学部を卒業後、1977年に三井物産株式会社に入社。 2008年に同社 IT推進部長、2011年には理事に就任。 その後、三井情報株式会社 執行役員などを経て2016年1月 株式会社日立製作所に入社し、現職。三井物産時代に、英国、米国、韓国での 計16年にわたる海外駐在を経験。プライベートでは、アイスホッケーの レフェリーを務めるスポーツマン。

中島 透
株式会社日立製作所 IT統括本部 統括本部長
一橋大学経済学部を卒業後、1977年に三井物産株式会社に入社。
2008年に同社 IT推進部長、2011年には理事に就任。
その後、三井情報株式会社 執行役員などを経て2016年1月
株式会社日立製作所に入社し、現職。三井物産時代に、英国、米国、韓国での
計16年にわたる海外駐在を経験。プライベートでは、アイスホッケーの
レフェリーを務めるスポーツマン。

ダイバーシティが仕事を面白くする

白河
いろいろな可能性を担保することはまさに重要なところです。数年前、グーグルがプロジェクト・アリストテレス(Project Aristotle)で心理的安全性の高い職場は生産性も高いということを証明したニュースがありました。私はすごく注目しているのですが、心理的安全性とは一種のダイバーシティで、いろいろな人がいるけれどみんな受け入れられているというような安心感です。たとえば、介護や育児がある方って、職場に迷惑をかけていないかとか、子供が熱を出して休んだらどうしようとか、心理的安全性がすごく低い状態で仕事をしてしまう。そうすると、活躍も何もできなくなってしまう。ワーキングマザーの取材をしていてすごく思うことですが、そういうときにチームの誰かがカバーしあったりとか、その人を助けてあげられるようなチームのサポートみたいな空気があったりすることが非常に重要なんですね。

それから、この前、ビジネスデザイナーの濱口秀司さんがコントラバーシャルなものでないといけない、とおっしゃっていたのはすごく面白いと思いました。全員が反対じゃダメだけど、えっ、それ何なの?って、2~3人くらいしか賛成してくれないものが良いといった意味です。みんなに支持されないような意見でも思い切って言えたり、失敗をしてもある程度許容されたりするようなところじゃないと、思い切った発想は何も出てこないと、最近つくづく思います。

中島
韓国に駐在していたときに、ダイバーシティの話を大学生に話したことがあります。他人と違うってことは面白いよねって。いわゆる異質なものに興味を持つということは非常に大事で、もしかしたら、いままでの学校教育や企業文化のなかでは、同じものを探して、共通点を探すということを一生懸命やっていて、共通でない人のことを異端と呼んでいたのかもしれないと。実際、本当に必要なことはみんなとは違うことだと。でも、違うけれども一緒に共存しなければいけないわけで、そのためにはどうしたらよいのかということが正しいフリクションなんですね。摩擦の中からアイデアや工夫が生まれることが大事なので、自分の意見というものを主張し続けて欲しいと思っています。

もちろん、みんなが持っているそれぞれ違う能力を最大限に発揮できるように環境を整えることが一番大事なわけで、そのなかには足りない部分を補う、手伝いをしてあげるということも非常に重要な要素なのではないかと思います。

白河
しかし昔と比べると、管理職はより大変な時代になりますね。昔は一律に育てて、ついてこない人は仕方がないという時代でしたが、いまそんなことを言っているとすぐに人手不足になってしまいますから。

中島
日立の場合、社長をはじめ幹部のしっかりとしたサポートはありますが、最後はやはり現場なんですね。社員は非常に重要なステークホルダーですから、その人たちが働いて楽しかったと、家に帰って今日の仕事を家族に言いたいというのが非常に大事で、そういうものではなくて、辛い仕事で人にも言えないというのはまずいわけです。そこをしっかりと体系立ててコントロールしていくことがマネジメントの仕事で、まあ大変といえば大変ですけど、そのためにお金をもらっていますので…。

白河
とは言っても、いまの日本の会社では管理職でありながらプレイヤーの人が多くて、自ら顧客のところにも行かなければいけないし、自分の達成目標も抱えています。そのうえ多様な人財のマネジメントまではできないというように、かなり一杯いっぱいになっている人も多いと思いますが、そういう人にはどのようにしてあげればよいのでしょうか。

中島
やっていればできるようになると思います。ただ経験上、仕事は有限責任だという認識を持つことは大事ですね。結局、みなさん真面目だから、無限に責任を取ろうとしてしまいます。そうすると、どうしても自分にストップがかけられなくなります。有限責任だからこそ責任感も大事なんですが、取れもしない責任を自分で勝手に抱え込むことをしないことはもっと大事です。これは非常に微妙なバランスなので、どうやって覚えるかというと非常に難しい。無限に責任を取ろうと思って限界を見ないと覚えられないのかもしれません。でも、一線を越えそうな時はよくよく見ていてあげないといけません。一線を越えると本当に崩れますので。そのためには、自分たちの上下関係だけではなくて、周りの部課も含めて、様子がおかしいなと感じるセンシビリティをマネジャー同士で共有して相互にサポートしていくことが大事だと思います。昔は大部屋だったので比較的やりやすかったのですが、いまは何となくフロアが小さいとそれがしにくくなっているところもあって、そういう意味ではもう一度大部屋感というイメージのなかでコミュニケーションを取ることも必要かもしれません。

白河
そうですね。いま会社を引っ越しして新しいビルになって、物理的にも大部屋になっている会社は、考えたら結構ありますね。フロアの垣根やパーティションが無かったり、あとは、席が決まっていない企業も結構あったりします。そういういつでもどこでも仕事ができる時代になってきたので、逆に、そういう場の設計も大事なのかもしれませんね。

中島
オフィス環境と働き方について、私はよく「会社に何しに来るの?」って聞いています。すると、「仕事をしに来ます」って。いや、仕事は家でもできるし、もっとITを活用しないと働き方の改革にならないですよね。別の人に、会社に何しに来るんだって聞くと、人に会いに来ると答える人もいる。それでは、せっかく人に会いに来たのだから、オフィスはみんなが自然に動線のなかで人とめぐり会えるような形に設計することも、これからは考えておくべきかもしれません。

白河
自分の席に向かうだけでは会えないですものね。

中島
たとえば、食堂のテーブルを長くしてしまって、席順も端から順番に詰めて座るようにしてみるとか…。

白河
そうすると、思わぬ出会いが生まれたり、この人誰?とか…。

中島
実は、それは僕がイギリスにいたときに体験したことなんです。有名なイギリスの名門ゴルフ場ミュアフィールドへ呼ばれて行ったときに、そこのランチのテーブルセッティングに特徴があったんです。日本だとどうしても4人ずつ座ったりしますよね。それがみんな、長いテーブルに順番に座って行って、たまたま座った席の隣で英国のロイヤルバンク・オブ・スコットランドの総裁がお昼を食べていた。「日本から来たの? 若いね」みたいなことを話しかけてきたのですが、「日本人もゴルフするんだ?!」って言われたときにはびっくりしました。

白河
それもいいかもしれないですね。どうせ毎回席が違うようなことをするのでしたら、そういうことをやってもおもしろいかもしれないですね。

画像: ダイバーシティが仕事を面白くする

ワークライフバランスにはメリハリが効く

中島
私は管理職として自分が部下に見せなければいけないことは、まず我慢しなくていいということだと思っています。長く働く必要もないし、お酒の席に行く必要もない。お酒も飲みませんがお酌もしない。要するに、裸の自分でいいと。無理やり朝早く来て会社にいますって必要もない。昼食も外に行って少し豪華な食事をするとか、いろんな背中を見せていかなければいけない。ずっと会社にいて、席にいて、会議に出てというのを見ていたら息がつまるでしょう。自分の価値観を大事にしながら、時間も大事にして結果を出せるようにするために、自分が一番パフォームできるものを自分で示していないと、結局、みんなにステレオタイプを押し付けることになってしまいます。そこは自分の強い責任だと思っています。だから、自分のまねをしてほしいとは全然思いません。

白河
メリハリって大事だと思っていまして、よくワークライフバランス施策をやると、甘い会社だと思って若い人は勘違いすると言われています。ワークライフバランスを大事にしていますと言うと、この会社はすごく甘いんじゃないかと思われると。人によってはワークライフバランスという言葉は好きではない人も多いので、時と場合により使わなかったりすることもあるくらいです。ただ働き方改革に取り組まれている会社を見れば、全然甘い働き方ではないと思います。メリハリとか集中の度合いが全然違いますね。逆に、厳しい働き方だと思います。ただ、厳しいけれど、これがずっと永遠に続くわけではない。ある程度の時間でピシッと終わるとか、時間内に結果を出すために頑張るわけです。テレワークでどこでも働けるようになるとルーズになるという意見もありますが、逆に厳しくて、自分で環境をしっかり作って集中してやっていかないといけないので、決して楽な働き方ではないと思います。でも辛い働き方ではないというところがポイントだと思っています。

中島
肝心なのは、ワークもライフもどれだけ真剣にやっていますかということです。レクリエーションとライフを一緒にしてほしくないと。人間は心身を休めるということも必要ですからレクリエーションももちろん大切ですが。ワークもライフも真剣にやればその間に多少の葛藤が生まれます。真剣にやっているからこそ、周りで見ている仲間は「あっ、だったら」と、ワークの方は手伝ってあげるからライフに行きなさいって言ってくれるのだと思います。

真剣にやれば人間の体力には限界があります。もうこれ以上無理だと思ったときには、先程言った有限責任でちゃんと体を休められるかどうか、疲れをちゃんと感じられるかどうかということも結構大事なことです。そして無理だなと感じたら、終業と同時に会社から連れ出す方法もマネジャーは知っておくべきです。つらい説教話はダメですよ。美味しい焼鳥屋があるからとか、子供のいる女性であればランチにしようとか、ケーキ買ってきたとか、やはりそういう気遣いっていうのがないと机上の空論になってしまいます。大変ですけど、それが面白いと思えれば、人のためになります。

どうすれば彼、彼女のモチベーションを上げられるか、そしてやった仕事を家に帰って自慢できるようになるかを、管理職の人はよく考えて欲しいと思います。こうしたベーシックなことをみんなでやっていこうとすると、当然方法論としての働き方改革や制度改革をしていかないとできません。日立の場合はそれができる環境にあるので、我々は現場として実行するだけという考え方がすごく強くあります。ぜひそれを実現してみんなで働きたい会社にしていくと、人財も集まってきていろんな意味でプラスのスパイラルアップが加速するのかなと思っています。

「第3回:『評価』まで辿りついてこそ、真の働き方改革」に続く >

関連情報

日立ワークスタイル変革ソリューション >

This article is a sponsored article by
''.