ほぼすべての製造業が悩む業務課題とは?

原材料や製品在庫を最適に保ちながら、いかに市場の需要に応じた精緻な生産計画を立てるか——。これは多くの製造業が抱える共通の業務課題と言えるでしょう。しかしこれは、言葉でいうほど簡単なことではありません。顧客ニーズの多様化に伴い、現在では多くの工場で少量・多品種生産が恒常化し、製造工程がより複雑化しているからです。

さらに、市場の急激な変動やグローバルでの競争激化などによる納期短縮のニーズも、難しさの要因の1つとなっています。受注、販売の予測が目まぐるしく変わり、計画を立ててもその通りにいかず計画変更や調整が頻発。こうした課題に対し、多くの企業では、卓越した熟練工の経験やノウハウだけでなく、それを源泉とする機転も利かせて臨機応変に対応してきました。

鉄道のダイヤ編成ノウハウを製鉄所の生産ラインに適用

製鉄業のあるお客さまでも同様の課題を抱えていました。このお客さまは鉄鉱石を溶かしながら注文に応じてさまざまな厚さの板や、棒などの製品を作っています。熟練工数名だけで生産計画を立てていますが、注文に対してどの製品をどの順番で生産すると効率がよいかという生産計画の立案作業が非常に複雑になっていたのです。設備や納期、コストなどの制約条件が複雑に絡みあい、卓越した熟練工以外に担当することはできませんでした。そのため熟練工でなくても同じレベルの計画立案ができるようなノウハウの伝承に取り組んできましたが、その時々の機転が求められるその業務のデジタル化は20年以上困難に思われていたのです。

この課題を解くカギとなったのが、鉄道のダイヤ編成でした。日立には鉄道分野の運行計画や運行乱れの対策で培った技術があり、トラブルの際に素早くダイヤを再編成して安定運行に復旧するノウハウを有しています。この技術・ノウハウを生産ラインに応用し、需要の変動、設備トラブルが発生した際に短時間で再計画を行うといったことに役立てようと考えました。

熟練工が立案する生産計画の86%が再現可能に

今回この技術をお客さま製鉄所の生産ラインに応用。AIを活用して熟練工の作業のデジタル化に取り組みました。設備の制約条件など生産計画を作成する際のルールだけでなくこれまでの大量の生産計画を解析して抽出した計画パターンもインプット。さらに、熟練工のその都度変わる判断のパターン、つまり機転まで機械学習させます。それを基にシステムが提案した生産計画を熟練工がチェックし、熟練工ならではの気づきをフィードバック。このサイクルを繰り返すことでさまざまな制約条件の変化にも対応できるようになります。これにより、今後はさらに磨き上げられた計画を提案していくことも可能になるかも知れません。現在では熟練工の生産計画の86%が再現可能になりました。ただし、これがゴールではありません。これからも、100%をめざして挑戦は続いていきます。

市場の需要に応じた精緻な生産計画をいつでも、誰でも立てられるようにする——。熟練工の“知恵や機転”とAIのタッグによって、製造業の長年の夢が果たされるかもしれません。

画像: 熟練工が立案する生産計画の86%が再現可能に

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