画像: 夏野 剛氏 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特別招聘教授

夏野 剛氏
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特別招聘教授


1988年早稲田大学卒業後、東京ガスへ入社。1995年ペンシルベニア大学経営大学院(ウォートンスクール)卒業。ベンチャー企業副社長を経て、NTTドコモへ入社。「i モード」「おサイフケータイ」などの新たな多くのモバイルサービスを立ち上げた。2005年NTTドコモ執行役員、2008年に退社。現在は、ドワンゴ、セガサミーホールディングス、ぴあ、トランスコスモス、グリー、DLEなど複数の取締役を兼任する傍ら、特別招聘教授を務める慶應義塾大学政策・メディア研究科では「ネットワーク産業論」をテーマに講義する。2001年、ビジネスウィーク誌にて世界のeビジネスリーダー25人の一人に選ばれる。著書に、『ケータイの未来』(ダイヤモンド社)、『夏野流 脱ガラパゴスの思考法』(ソフトバンククリエイティブ)、『iPhone vs. アンドロイド』(アスキー・メディアワークス)、『なぜ大企業が突然つぶれるのか』(PHP 研究所)、『ビジョンがあればプランはいらない』(中経出版)等多数。


効率、検索、ソーシャルを変えたIT革命により、個人の力が強大になった現代

21世紀になり、規模もスピードも前世紀までとは比べものにならないほど大きく社会が変化してきた背景には、当然のことながらITの急速な進展があります。そのITがもたらした革命の第1は「効率革命」でしょう。そして第2が「検索革命」、第3が「ソーシャル革命」と言えます。これらの革命を経て、世界は劇的な変貌を遂げてきました。

画像: 効率、検索、ソーシャルを変えたIT革命により、個人の力が強大になった現代

とりわけ、第2、第3の革命は、個人と組織の関係を決定的に変えました。前世紀までは、たとえば自動車のことは自動車業界で仕事をしなければ知り得なかったように、所属する組織によって個人が入手できる情報が決まっていましたが、今や誰もがインターネットで自在に検索でき、専門家になれる時代です。しかも、その情報をソーシャルメディアで簡単に人に伝えることができる。こうして、個人の影響力が強大となった結果、エジプトやチュニジアの例に見るように、ときには政府を倒すことさえ可能になったわけですから、凄まじい勢いの社会変化です。

また、個人が情報を自由に発信することで、社会全体がイノベーションの苗床と言ってもいいほど、さまざまな課題が浮き彫りになっています。それをいかにして、社会システムに組み入れていくかが、現代の最大のテーマと言えるでしょう。

人口減少時代に不可欠なのは、社会システムのイノベーションである

とりわけイノベーションが必要なのが、終身雇用、年功序列、新卒一括採用といった、従来型の企業組織の在り方であり、時代の変化に対応できない法律制度であり、リスクマネーを取ろうとしない金融システムなどの社会システムです。そうした中で、前世紀までの社会システムを徹底的に作り変えて再び発展しているのが米国であり、見直さずにここまで来てしまったのが日本と言ってもいい。その結果、過去25年で日本のGDPがほとんど横ばいなのに対し、米国は約3倍に拡大しているのです。

この大きな違いは何か。その最たるものがダイバーシティでしょう。イノベーションの源泉はそこで生じる摩擦にあり、異質性が同居するダイバーシティが大前提です。ゆえに従来のような画一的な企業組織の在り方を、根底から見直す必要があるのです。
日本の喫緊の課題は、超少子高齢化による人口減少、とりわけ労働人口の減少です。政府は、2030年までに出生率を人口維持が可能な2.07%まで引き上げることを目標に掲げていますが、少子化対策の他に必要となるのが、一人当たりの生産性の向上と女性の活躍、そしてフレキシブルな働き方です。性別や年齢、その人の状況に関わらず社会全体で雇用を柔軟に吸収できる仕組みを構築し、一方では、社会的弱者に対するセーフティネットを設ける必要があります。

少子高齢化は、もはや社会イノベーションなくしては解決できない課題であり、今後、多くの先進国も同じ課題に直面することになります。日本が先駆けてこの課題を技術力と知恵で解決し、サステイナブルな社会システムを実現すれば、世界の共通モデルになることは間違いありません。日本の動向を今、まさに世界中が注目しているのです。


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