画像: 和泉 洋人氏 内閣総理大臣補佐官

和泉 洋人氏
内閣総理大臣補佐官

1953年神奈川県横浜市出身。東京大学工学部都市工学科卒業。建設省入省。 内閣官房都市再生本部事務局次長、国土交通省大臣官房審議官、国土交通省住宅局長、内閣官房地域活性化統合事務局長、内閣官房参与(国家戦略担当)を経て、現在、内閣総理大臣補佐官(国土強靭化及び復興等の社会資本整備、地方創生並びに健康・医療に関する成長戦略担当)。慶應義塾大学先導研究センター特任教授、政策研究大学院大学客員教授及び東京大学教授を兼任。 著書に『容積率緩和型都市計画論』『サスティナブル建築と政策デザイン(共著)』『CASBEE入門(共著)』などがある。


社会イノベーションの実現には、科学技術と社会制度の変革が不可欠

社会イノベーションとは、社会課題を解決すべく、社会のさまざまな活動をよりよい方向へ変革することだと思います。その手段としては大きく分けて科学技術システムと社会制度システムの変革の二つがあり、互いに相互作用を及ぼすことが重要です。そうした中、科学技術に関しては、私たちが子どもの頃、SF映画や小説などに描かれ夢見た技術は、ロボットやコンピューター、ナノテクノロジーなど、タイムマシン以外、ほとんどすべて実現できたと言ってもいいでしょう。その大部分には日本の科学技術力が活かされています。

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一方、社会制度においても、近年、大きな変革が進んでいます。いまや企業は、ROE(株主資本利益率)に代表される投資家への利益の還元だけでは評価されず、Philanthropy(社会貢献活動)やCSR(企業の社会的責任)を伴う活動体であることが求められています。また、そうした非財務的な企業の価値を、格付けに反映しようという動きも本格化しています。

古くから日本企業は、公害対策や環境保全などの社会貢献のほか、従業員のための福利厚生、終身雇用、企業内組合といった独自のシステムを築き上げ、従業員や地域社会のwelfare(幸福、福利)に貢献してきました。その意味で、社会制度の変革においても、日本企業には一日の長がある。つまり、日本には、世界に先駆けて社会イノベーションの先陣を切る下地が、十分に備わっていると考えられるわけです。

持続的発展のために、さまざまな働き手、働き方が不可欠な時代へ

今後、日本が持続的発展を遂げるためには、次の4つの施策が重要になります。(1)イノベーションによる生産性の向上、(2)新陳代謝を促す設備投資、(3)労働力の確保、(4)海外の需要の増大です。とりわけ(3)の労働力の確保は、量、質、働き方のいずれにおいても、喫緊の課題です。そこで必要になるのが、少子化対策であり、女性や高齢者の社会参画のための環境整備であり、外国人労働者の活用などの社会制度改革です。

中でも女性の活躍はアベノミクスの柱の一つであり、先の内閣改造でも歴代最多となる5名の女性が入閣するなど、変革が始まっています。また、高齢者については、日本では働くことを希望するシニアが多く、労働人口に占める65歳以上の労働者の割合はすでに10%を超えています。

さらに情報格差の解消により、いまや皆が大学を出て、都会の大企業で働き、高給取りに憧れるような時代ではなくなりました。地方で、農業や手仕事に従事しながら暮らすことを望む若者が増えているように、今後ますます、働き手も働き方も多様化していくことになるでしょう。

いずれにせよ、今、日本が世界に先駆けて直面している超少子高齢化問題、環境エネルギー問題を乗り超え、科学技術や社会制度のノウハウを蓄積し、社会イノベーションを実現できれば、世界に対して大きな貢献ができることは間違いありません。それにより、多様な価値観が共存する、真に豊かな社会が築かれていくと考えています。


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