自分の能力を生かして働きたい人がいる。一方で、有能な人材には積極的に仕事を依頼したい企業がある。利害は一致しているのに、両者はなかなか出会えずにいた。なぜか?――この疑問を解決するべく立ち上がったのが秋好陽介氏だ。企業にも、働く側の人間にも、もっと自由に、もっとわくわくする働き方を届けたい。その夢を実現するための手だてとして到達したのが、ネットを使ったマッチングサービス「クラウドソーシング」だった。

秋好陽介 -Yosuke Akiyoshi-

1981年生まれ。インターネットとの出会いからプログラミングに目覚め、大学在学中からサイト構築等の受託ビジネスで個人事業を展開。卒業後、大手IT企業のWebディレクターとして活躍した後、2008年12月にランサーズ株式会社を設立。スキルのある個人と、有能な人材を求める法人が出会う仕事マーケットプレイス「ランサーズ」をインターネット上で展開し、日本では先例のないクラウドソーシングのサービスを確立している。


インターネット活用で「働き方」に革命を

「クラウドソーシング」――この言葉を初めて聞いた人でも「アウトソーシング」という言葉は知っているだろう。業務を外部委託し、コスト削減、社内リソースのコア事業への集中を実現するご存知の手法である。クラウドソーシングは、これをクラウドで行うものと考えればいい。ただしこの「クラウド」は、クラウドコンピューティングのクラウドとは違う。秋好陽介氏はこう説明する。

「IT領域でクラウドと言えば『Cloud』、雲のことですが、クラウドソーシングのクラウドは『Crowd』、群衆のことを指します。従来、アウトソーシング受託企業に発注していた業務を、不特定多数の個人(Crowd)に向けて発注していこう、というのがクラウドソーシングです」

簡単に言えば、仕事を発注したい企業が、インターネットを通じて業務を受注してくれる人を募集。受注者が決まると、こなした業務に対して報酬を支払う仕組みだ。

秋好氏は、このクラウドソーシングサービス「ランサーズ」を日本でいち早く立ち上げ、日本最大級のクラウドソーシング・プラットフォームとして確立した。日本には今、クラウドソーシングで仕事を得ている人が約40万人いると言われており、実にその6割超の約25万人がランサーズに登録しているという(2014年3月現在)。

画像: 「ランサーズ」のトップ画面(2014年3月現在)。 依頼総額、クライアント数、依頼件数、登録者数といった指標が日々更新されている

「ランサーズ」のトップ画面(2014年3月現在)。
依頼総額、クライアント数、依頼件数、登録者数といった指標が日々更新されている

金銭的成功を捨て、インターネットの可能性を追求

1981年生まれの秋好氏いわく「僕らの世代は、学生時代にインターネットと出会い、強い衝撃を受けた世代」。その出会いに人一倍大きなショックを受け、突き動かされたのが、ほかならぬ秋好氏自身だった。

20歳でPCを購入すると、プログラミングの面白さにのめり込み、やがてWebサイト構築やシステム開発といったインターネットビジネスの個人受託を開始。「学生ながら、普通の新卒サラリーマン以上に稼いでいたと思います」と秋好氏は振り返る。

だが、秋好氏の関心は、金銭的な成功よりも、インターネットが持つ可能性の追求に向けられていた。とはいえ、個人で追求できる範囲は、技術的にもビジネス的にも限界がある。もっと大きな視点でネットビジネスと向き合いたい――そこで秋好氏は、個人受託事業を辞め、大手通信サービス企業に就職する道を選んだ。

就職後は、希望どおり、インターネットの可能性をそれまで以上のスケールで追求できた。ただ、秋好氏にとって一番大きかったのは、業務を発注する側の実情を知ることができた点だ。

「よりよい仕事を数多く引き受けたいという受注側だけでなく、発注サイドである企業も、最適な発注先に出会うために苦労をしている。それを身をもって学べたことで、非常に価値ある経験になりました」(秋好氏)。

就職して初めて知った、発注者サイドの苦労

画像: 就職して初めて知った、発注者サイドの苦労

2000年代中盤、秋好氏が身を置くIT業界でも、業務受託を請け負うアウトソーシング企業は多数存在していた。しかし、プログラミングの委託1つをとっても、企業 対 企業では一定よりもコストを抑えることは難しく、クオリティやスピードの面でも、万全が保証されるわけではない。

「それよりは、能力のある知人のフリーランスに委託した方が、コスト、クオリティの面で安心だと感じることが少なくありませんでした。しかし、一般的に、大企業が個人の委託先を見つけ、業務を発注することは簡単ではありません。逆に言えば、個人のフリーランサーが大企業からの受注を得ることは難しい。そこで、企業と個人を結びつけるよい手立てはないか、と考えるようになったのです」(秋好氏)。

そんな時に出会ったのが、アメリカで注目され始めていたクラウドソーシングという考え方だった。

「ないなら、作ればいい」起業家の道へ

企業が不特定多数の個人に業務委託を打診できるクラウドソーシング。2006年頃には、アメリカですでにいくつかのサービスが生まれていたが、日本にはまだ存在していなかった。

「安心して仕事を頼める働き手を求める企業があり、一方では、自分の力を発揮して働きたい個人もたくさんいる。なのに、両者を結び付ける仕組みがない。そんな不幸な状況が当時の日本にはあったのです」(秋好氏)

学生時代からの経験で、インターネットには人と人とを結びつける強い力があることは感じていた。これをうまく活用すれば、こうした状況を変えられるのではないか。そう考えた秋好氏は、1つの決断を下す。

「既存のサービスがないのなら、自分が作ればいい」

こうして2008年、ランサーズは、日本の「働き方」に新たな可能性をもたらすために走り始めた。


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